東京23区の区役所職員になるには、特別区の人事委員会が実施する採用試験に合格しなければいけません。
特別区の職員に興味がある方は、その難易度がどれくらいか気になると思います。
そこで今回は、難易度の指標となる特別区の採用倍率について紹介します。
職種ごとに13年分の申込者、受験者、合格者、合格倍率など分かりやすくまとめています。
【この記事を書いた人】
・政令市の消防士と行政職、町役場を経験
・公務員試験は独学・予備校の両方を経験
・YouTube ⇒ ハチサン公務員
★目次
- 16の区分と職種
- 倍率&傾向・分析
- 採用倍率ランキング
- 紹介
- まとめ
1.16の区分と職種
今回紹介する試験区分・職種は以下の16種類です。
- Ⅰ類事務
- Ⅰ類土木造園(土木)
- Ⅰ類土木造園(造園)
- Ⅰ類建築
- Ⅰ類機械
- Ⅰ類電気
- Ⅰ類福祉
- Ⅰ類心理
- Ⅰ類衛生監視(衛星)
- Ⅰ類衛生監視(化学)
- Ⅰ類保健師
- Ⅰ類土木造園(土木) [秋採用]
- Ⅰ類建築 [秋採用]
- Ⅲ類事務
- 障害者対象事務
- 就職氷河期世代
特別区が職員募集しているのはⅠ類区分(大卒程度)が多いです。
Ⅲ類区分(高卒程度)は事務職のみ。
経験者採用試験の倍率についてはいずれ紹介します。
なお特別区の場合、人事委員会による試験に最終合格したあとに、港区や新宿区といった区ごとの面接を受ける必要があります。
区の面接で落ちる受験者はごく僅かなようです。
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2.倍率&傾向・分析
今回の倍率一覧表は、特別区人事委員会で公表されているデータを基に作成しています。
倍率は職種ごとに順番に紹介。
各職種の平均倍率は直近5年間の倍率を平均しています。
♦①Ⅰ類事務
■倍率
■傾向と分析
特別区の職種の中で受験者数は最多。
そして全国の地方公務員の事務職区分の中でも一番受験者数が多いです。
平成26年まで採用倍率は8倍前後で推移していましたが、近年は4倍前後まで下がっており以前より難易度は低下しています。
1次試験に合格しても2次試験を受けない人が多いので、2次試験の倍率は常に2倍を切っています。
- 1次試験の平均倍率:2.0倍
- 2次試験の平均倍率:1.5倍
- 最終合格の平均倍率:4.3倍
♦②Ⅰ類土木造園(土木)
■倍率
■傾向と分析
令和5年度の採用予定者は過去13年度で最多の94人。
しかし、ふたを開けると合格者数は過去3番目に少ない数に。
ただ受験者数が少なかったため採用倍率も2倍以下。
- 1次試験の平均倍率:1.1倍
- 2次試験の平均倍率:1.2倍
- 最終合格の平均倍率:2.1倍
♦③Ⅰ類土木造園(造園)
■倍率
■傾向と分析
過去には採用倍率が5倍を超えることもありましたが、令和5年度は過去2番目に低い数値となりました。
合格者数は4年連続で増加。
- 1次試験の平均倍率:1.2倍
- 2次試験の平均倍率:1.3倍
- 最終合格の平均倍率:2.2倍
♦④Ⅰ類建築
■倍率
■傾向と分析
特別区の春採用試験の中で最も平均採用倍率が低い区分です。
過去10年間で8回も採用倍率が2倍を切りました。
非常に合格しやすい職種。
- 1次試験の平均倍率:1.1倍
- 2次試験の平均倍率:1.1倍
- 最終合格の平均倍率:1.7倍
♦⑤Ⅰ類機械
■倍率
■傾向と分析
過去13年で最も採用倍率が高かったのは令和2年度。
意外と最近です。
受験者は7年連続で減少しています。
- 1次試験の平均倍率:1.1倍
- 2次試験の平均倍率:1.2倍
- 最終合格の平均倍率:2.1倍
♦⑥Ⅰ類電気
■倍率
■傾向と分析
令和5年の採用倍率は過去13年で最低の1.5倍。
また、過去13年で1度も採用倍率が4倍を超えたことはありません。
- 1次試験の平均倍率:1.2倍
- 2次試験の平均倍率:1.3倍
- 最終合格の平均倍率:2.3倍
♦⑦Ⅰ類福祉
■倍率
■傾向と分析
もともと福祉職の最終倍率は高い傾向でしたが、7倍→5倍→4倍→3倍→2倍→1倍台とどんどん低下していきました。
令和5年度は過去最低の1.6倍。
- 1次試験の平均倍率:1.2倍
- 2次試験の平均倍率:1.3倍
- 最終合格の平均倍率:1.9倍
♦⑧Ⅰ類心理
■倍率
■傾向と分析
心理職は平成29年度から採用試験が始まりました。
受験の年齢制限は39歳までとなっています。
いまのところ倍率は3倍前後で推移。
- 1次試験の平均倍率:1.4倍
- 2次試験の平均倍率:1.8倍
- 最終合格の平均倍率:3.2倍
♦⑨Ⅰ類衛生監視(衛星)
■倍率
■傾向と分析
少しずつ採用倍率は低下し、2倍を切る年度が増えてきました。
令和5年度は受験者数が過去13年で最少。
- 1次試験の平均倍率:1.2倍
- 2次試験の平均倍率:1.4倍
- 最終合格の平均倍率:2.0倍
♦⑩Ⅰ類衛生監視(化学)
■倍率
■傾向と分析
採用倍率に波はありますが、平均的に倍率は高くなる傾向です。
平成24年は採用倍率20.0倍を記録しました。
しかし令和5年度は過去最低倍率の3.2倍。
- 1次試験の平均倍率:1.4倍
- 2次試験の平均倍率:2.1倍
- 最終合格の平均倍率:4.9倍
♦⑪Ⅰ類保健師
■倍率
■傾向と分析
Ⅰ類保健師の採用倍率は低下傾向で、ここ5年間で4回も採用倍率が2倍を切りました。
特に令和2年度の2次倍率は低く、171人が面接を受けて155人が合格しています。
- 1次試験の平均倍率:1.2倍
- 2次試験の平均倍率:1.3倍
- 最終合格の平均倍率:1.9倍
♦⑫Ⅰ類土木造園(土木) [秋採用]
■倍率
■傾向と分析
令和5年度は秋採用が実施されました。
採用倍率は春採用の土木とそれほど変わりません。。
秋採用が実施されたのは土木と建築区分のみ。
- 1次試験の平均倍率:1.2倍
- 2次試験の平均倍率:1.2倍
- 最終合格の平均倍率:1.6倍
♦⑬Ⅰ類建築 [秋採用]
■倍率
■傾向と分析
春採用の建築と採用倍率はそれほど変わりません。
ただ受験者数は4分の1。
春採用に落ちた人はこの秋採用を受験する事が可能です。
- 1次試験の平均倍率:1.1倍
- 2次試験の平均倍率:1.2倍
- 最終合格の平均倍率:1.4倍
♦⑭Ⅲ類事務
■倍率
■傾向と分析
特別区唯一の高卒程度区分。
同じ事務職でもⅠ類事務に比べ、採用予定数がかなり少ないです。
そのため特別区の中では非常に採用倍率が高くなります。
ただ令和5年度は受験者が減少し、過去13年間で最も採用倍率が低くなりました。
- 1次試験の平均倍率:3.0倍
- 2次試験の平均倍率:1.7倍
- 最終合格の平均倍率:7.0倍
♦⑮障害者対象事務
■倍率
■傾向と分析
他の特別区の職種と比べ、採用予定者数と最終合格者数にそこまで差がありません。
また、基本的に採用倍率は年度による差が少なく安定しています。
しかし令和5年度は受験者が激増したため、採用倍率が過去13年で最高値をマークしました。
- 1次試験の平均倍率:1.2倍
- 2次試験の平均倍率:2.1倍
- 最終合格の平均倍率:2.9倍
♦⑯就職氷河期世代
■倍率
■傾向と分析
令和2年度から実施されている採用区分です。
実施されるのは令和6年度まで。
40人前後の採用枠を1000人前後で争う狭き門。
- 1次試験の平均倍率:5.4倍
- 2次試験の平均倍率:3.8倍
- 最終合格の平均倍率:22.6倍
■試験日程について
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3.採用倍率ランキング
♦1次倍率
平均1次倍率が高い順に並べています。
- ①就職氷河期世代 :5.4倍
- ②Ⅲ類事務 :3.0倍
- ③Ⅰ類事務 :2.0倍
- ④Ⅰ類心理 :1.4倍
- 〃Ⅰ類衛生監視(化学) :1.4倍
- ⑥Ⅰ類土木造園(造園) :1.2倍
- 〃障害者対象事務 :1.2倍
- 〃Ⅰ類保健師 :1.2倍
- 〃Ⅰ類土木造園(土木)(秋採用):1.2倍
- 〃Ⅰ類福祉 :1.2倍
- 〃Ⅰ類電気 :1.2倍
- 〃Ⅰ類衛生監視(衛星) :1.2倍
- ⑬Ⅰ類土木造園(土木) :1.1倍
- 〃Ⅰ類機械 :1.1倍
- 〃Ⅰ類建築 :1.1倍
- 〃Ⅰ類建築(秋採用) :1.1倍
1次試験の倍率が高いのはダントツで「就職氷河期世代」。
5,6人に1人しか突破できません。
逆に「Ⅰ類機械」や「Ⅰ類建築」の場合、ほとんどの人が1次試験に合格。
基本的にほとんどの採用区分で2倍を切っています。
♦2次倍率
平均2次倍率が高い順に並べています。
- ①就職氷河期世代 :3.8倍
- ②障害者対象事務 :2.1倍
- 〃Ⅰ類衛生監視(化学) :2.1倍
- ④Ⅰ類心理 :1.8倍
- ⑤Ⅲ類事務 :1.7倍
- ⑥Ⅰ類事務 :1.5倍
- ⑦Ⅰ類衛生監視(衛星) :1.4倍
- ⑧Ⅰ類福祉 :1.3倍
- 〃Ⅰ類保健師 :1.3倍
- 〃Ⅰ類電気 :1.3倍
- 〃Ⅰ類土木造園(造園) :1.3倍
- ⑫Ⅰ類機械 :1.2倍
- 〃Ⅰ類土木造園(土木)(秋採用):1.2倍
- 〃Ⅰ類土木造園(土木) :1.2倍
- 〃Ⅰ類建築(秋採用) :1.2倍
- ⑯Ⅰ類建築 :1.1倍
2次試験は「障害者対象事務」と「化学」の採用倍率が高め。
より面接を重視していることが分かります。
一方、最も2次倍率が低い採用区分は「Ⅰ類建築」。
なんと平均1.1倍。
面接が苦手な方にはオススメの区分と言えます。
♦最終倍率
平均最終倍率が高い順に並べています。
- ①就職氷河期世代 :22.6倍
- ②Ⅲ類事務 :7.0倍
- ③Ⅰ類衛生監視(化学) :4.9倍
- ④Ⅰ類事務 :4.3倍
- ⑤Ⅰ類心理 :3.2倍
- ⑥障害者対象事務 :2.9倍
- ⑦Ⅰ類電気 :2.3倍
- ⑧Ⅰ類土木造園(造園) :2.2倍
- ⑨Ⅰ類機械 :2.1倍
- 〃Ⅰ類土木造園(土木) :2.1倍
- ⑪Ⅰ類衛生監視(衛星) :2.0倍
- ⑫Ⅰ類福祉 :1.9倍
- 〃Ⅰ類保健師 :1.9倍
- ⑭Ⅰ類建築 :1.7倍
- ⑮Ⅰ類土木造園(土木)(秋採用):1.6倍
- ⑯Ⅰ類建築(秋採用) :1.4倍
「就職氷河期世代」は特殊な採用区分のため、平均採用倍率は20倍を超え群を抜いてます。
また、「Ⅲ類事務」も唯一の高卒区分のため倍率が高くなります。
「Ⅰ類衛生監視(化学)」の倍率が高くなるのは、例年採用人数が少ないため。
逆に特別区で最も採用倍率が低い職種はⅠ類建築の秋採用。
多くの採用区分は、2~3倍の数字に落ち着いていますが、建築の秋採用は今のところ1.4倍。
♦特別区以外の採用倍率
参考に、特別区以外の公務員試験の令和5年度における採用倍率を紹介します。
- 東京都庁Ⅰ類B一般方式(行政):3.1倍
- 横浜市役所大卒程度(事務) :8.1倍
- 川崎市(行政事務) :4.1倍
- 千葉市役所(行政A) :3.8倍
- さいたま市(行政事務A) :8.4倍
採用倍率は年度によってばらつきがあります。
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4.紹介
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5.まとめ
特別区の13年分の採用倍率について紹介しました。
最も受験者が多い「Ⅰ類事務」の平均倍率は4.3倍で、最も難易度が低い「Ⅰ類建築 秋採用」区分の平均倍率は1.4倍でした。
特別区は受験者数が多いですが、採用数もかなり多いため全国的に見て採用倍率は低めです。
さらに、近年は採用倍率は低下傾向なので、少しでも公務員に興味がある方は特別区の職員を目指してみてはいかがでしょうか。
ただし採用者数をかなり絞る年度もあるので、そのときは倍率が急上昇します。