東京都庁Ⅰ類採用試験に興味がある方へ。
今回は、過去に実施された東京都庁Ⅰ類採用試験の採用倍率を10年分紹介します。
全職種掲載しているので、受験しようか迷っている方は是非参考にしてください。
難易度を知る上での目安になると思います。
★目次
- 東京都庁Ⅰ類の試験について
- Ⅰ類Aの採用倍率
- Ⅰ類B(一般方式)の採用倍率
- Ⅰ類B(新方式)の採用倍率
- 倍率比較
- おわりに
1.東京都庁Ⅰ類の試験について

♦採用区分
■Ⅰ類AとⅠ類B
東京都庁Ⅰ類の採用区分にはⅠ類AとⅠ類Bの2つの区分が設けられています。
これは何の違いかというと、Ⅰ類Aは大学院卒業程度の試験、Ⅰ類Bは大学卒業程度の試験で試験レベルの違いによるものです。
ただ、あくまで試験レベルによる区分なので、年齢要件などをクリアしていれば大卒でもⅠ類Aを受験することが可能ですし、院卒でもⅠ類Bを受験することができます。
■B(一般方式)とB(新方式)
また、Ⅰ類Bには一般方式と新方式の2つの試験区分があります。
これは試験方法による違いです。
共に筆記試験と人物試験が実施されますが、一般方式では教養試験・専門試験など筆記試験がより多く実施され、新方式ではプレゼンテーションやグループワークなど、人物試験が中心です。
詳しい内容は受験案内で確認できます。
- 【参考:令和4年度】
♦紹介する職種と倍率
今回、採用倍率を紹介するのは以下の3区分27職種です。
- Ⅰ類A
- ①事務、②土木、③建築、④機械、⑤電気
- Ⅰ類B(一般方式)
- ①行政、②土木、③建築、④機械、⑤電気、⑥環境検査、⑦林業、⑧畜産、⑨水産、⑩造園、⑪心理、⑫福祉A、⑬福祉C、⑭衛生監視、⑮栄養士、⑯獣医、⑰薬剤A、⑱薬剤B
- Ⅰ類B(新方式)
- ①行政、②ICT、③土木、④建築
紹介するのは、平成24年から令和3年度までに実施された10年間の採用倍率です。
各職種で紹介している平均倍率は、直近5年間の倍率を平均したものです。
2.Ⅰ類Aの採用倍率
大学院卒業程度の区分です。
平成24年と平成25年は、3次試験まで実施されましたが記載は省略しています。
♦①事務

受験者数がⅠ類B(一般方式)に次いで多い区分です。
令和3年度は採用人数がかなり減ったため、採用倍率が跳ね上がりました。
- 1次試験の平均倍率:4.0倍
- 2次試験の平均倍率:2.1倍
- 最終的な平均倍率 :9.6倍
♦②土木

5年連続して最終合格者の数が減少しました。
採用倍率は例年非常に低いです。
- 1次試験の平均倍率:1.2倍
- 2次試験の平均倍率:1.7倍
- 最終的な平均倍率 :2.5倍
♦③建築

7年連続して受験者が減少しています。
令和3年度の最終合格者は過去10年で最も少ない人数でした。
- 1次試験の平均倍率:2.1倍
- 2次試験の平均倍率:2.3倍
- 最終的な平均倍率 :5.3倍
♦④機械

受験者が5年連続減少しており軟化傾向です。
今後は2倍を切ることもあるかもしれません。
- 1次試験の平均倍率:1.3倍
- 2次試験の平均倍率:1.8倍
- 最終的な平均倍率 :2.9倍
♦⑤電気

ここ数年1次試験も2次試験も2倍を切ることが多いです。
令和3年度はここ10年でもっと採用倍率が低くなりました。
- 1次試験の平均倍率:1.5倍
- 2次試験の平均倍率:1.7倍
- 最終的な平均倍率 :3.3倍
- 【関連記事】都道府県庁採用試験の年齢制限が気になる方はこちら
- ⇒ 都道府県庁は何歳まで受けられる?年齢制限を一覧で紹介します
3.Ⅰ類B(一般方式)の採用倍率
大卒程度の採用区分です。
平成24年と平成25年の行政・土木・建築・機械・電気職では、3次試験まで実施されましたが記載は省略しています。
♦①行政

Ⅰ類試験全体で最も受験者が多く、唯一毎年1,000人以上が受験しています。
令和3年度は採用人数が激減したことから、採用倍率が例年と比べて一気に跳ね上がりました。
- 1次試験の平均倍率:3.1倍
- 2次試験の平均倍率:2.2倍
- 最終的な平均倍率 :7.3倍
♦②土木

行政職に次いで受験者が多い区分です。
令和3年度、初めて最終合格者が100名を切りました。
- 1次試験の平均倍率:1.3倍
- 2次試験の平均倍率:1.9倍
- 最終的な平均倍率 :2.9倍
♦③建築

- 1次試験の平均倍率:1.6倍
- 2次試験の平均倍率:2.3倍
- 最終的な平均倍率 :4.2倍
令和2年度は最終倍率1.5倍という低倍率を叩き出しました。
令和3年度は受験者、最終合格者ともに過去10年間で最少でした。
♦④機械

2年連続して採用倍率が2倍を切りました。
東京都の採用区分の中で、最も1次試験の倍率が低い区分になります。
- 1次試験の平均倍率:1.1倍
- 2次試験の平均倍率:2.0倍
- 最終的な平均倍率 :2.7倍
♦⑤電気

2年連続して最終倍率が2倍を切りました。
特に、令和2年度は稀に見る低倍率となりました。
- 1次試験の平均倍率:1.4倍
- 2次試験の平均倍率:1.7倍
- 最終的な平均倍率 :2.8倍
♦⑥環境検査

平均して採用倍率は高く、4年連続して7倍を超えています。
受験者数は4年連続して減少。
- 1次試験の平均倍率:3.1倍
- 2次試験の平均倍率:2.2倍
- 最終的な平均倍率 :7.7倍
♦⑦林業

年度によって採用倍率の差が激しいですが、平均すると倍率はやや高い傾向です。
ここ数年は10名前後の採用が続いています。
- 1次試験の平均倍率:2.8倍
- 2次試験の平均倍率:2.4倍
- 最終的な平均倍率 :7.7倍
♦⑧畜産

平成27年から平成30年までの4年間は、異様に2次試験の倍率が上昇しました。
現在は低下傾向です。
- 1次試験の平均倍率:1.3倍
- 2次試験の平均倍率:3.7倍
- 最終的な平均倍率 :6.0倍
♦⑨水産

ほかの区分に比べ、例年2次倍率が高い傾向。
たまに倍率が10倍を超えることがあるので要注意。
- 1次試験の平均倍率:2.5倍
- 2次試験の平均倍率:2.7倍
- 最終的な平均倍率 :7.8倍
♦⑩造園

基本的に2次試験の倍率は高くなる傾向です。
ここ数年採用予定数は減少傾向。
- 1次試験の平均倍率:2.1倍
- 2次試験の平均倍率:2.9倍
- 最終的な平均倍率 :6.5倍
♦⑪心理

令和3年度は、ここ10年間で最も最終合格者が多くなりました。
最少の平成29年24年と比べると約4倍の採用数です。
- 1次試験の平均倍率:2.1倍
- 2次試験の平均倍率:1.9倍
- 最終的な平均倍率 :4.4倍
♦⑫福祉A

全職種の中で、最も採用倍率が低い職種です。
ここ5年で3倍を超えたのは1度のみ。
- 1次試験の平均倍率:1.3倍
- 2次試験の平均倍率:1.6倍
- 最終的な平均倍率 :2.3倍
♦⑬福祉C

福祉Cは点字で問題が出題されます。
過去10年で受験者は2人のみ。
なかなか受験する人がいないため、受験資格がある方にはオススメです。
- 1次試験の平均倍率:ー
- 2次試験の平均倍率:ー
- 最終的な平均倍率 :ー
♦⑭衛生監視

東京都庁Ⅰ類採用試験の中では、ちょうど平均的な採用倍率です。
年度による最終倍率の差も少なく安定しています。
- 1次試験の平均倍率:1.9倍
- 2次試験の平均倍率:2.4倍
- 最終的な平均倍率 :5.0倍
♦⑮栄養士

平成28年度から、栄養士もⅠ類区分が設けられました。
東京都庁の採用試験で最も平均採用倍率が高い区分です。
- 1次試験の平均倍率:5.1倍
- 2次試験の平均倍率:2.0倍
- 最終的な平均倍率 :10.4倍
♦⑯獣医

偶然にもここ3年は連続して最終合格者が13名です。
令和2年度の試験では、1次試験2次試験ともに落ちたのは1名のみでした。
- 1次試験の平均倍率:1.4倍
- 2次試験の平均倍率:1.8倍
- 最終的な平均倍率 :3.0倍
♦⑰薬剤A

令和2年度を除くと、Ⅰ類試験の中では平均的な採用倍率です。
日本国籍がなくても受験できます。
- 1次試験の平均倍率:1.8倍
- 2次試験の平均倍率:2.1倍
- 最終的な平均倍率 :4.2倍
♦⑱薬剤B

採用倍率は例年高いです。
日本国籍がないと受験できません。
- 1次試験の平均倍率:3.6倍
- 2次試験の平均倍率:2.7倍
- 最終的な平均倍率 :9.3倍
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4.Ⅰ類B(新方式)の採用倍率
1類B採用(新方式)では、3次試験まで実施されています。
♦①行政

一般方式の行政職とそこまで倍率は変わりません。
ただ過去9年間のうち、8回は新方式の方が若干倍率が高くなっています。
- 1次試験の平均倍率:3.0倍
- 2次試験の平均倍率:1.4倍
- 3次試験の平均倍率:1.6倍
- 最終的な平均倍率 :8.1倍
♦②ICT

令和2年度から実施されている採用区分です。
今後、採用倍率がどう変わっていくか注目です。
- 1次試験の平均倍率:1.3倍
- 2次試験の平均倍率:1.7倍
- 3次試験の平均倍率:1.9倍
- 最終的な平均倍率 :4.7倍
♦③土木

ほかのⅠ類土木職よりは倍率が若干高めです。
令和2年度と3年度は採用がありませんでした。
- 1次試験の平均倍率:1.2倍
- 2次試験の平均倍率:1.3倍
- 3次試験の平均倍率:1.6倍
- 最終的な平均倍率 :3.3倍
♦④建築

筆記試験の倍率はかなり低いです。
また、ほかのⅠ類建築職と比べると若干採用倍率は低い傾向です。
- 1次試験の平均倍率:1.2倍
- 2次試験の平均倍率:1.3倍
- 3次試験の平均倍率:1.9倍
- 最終的な平均倍率 :3.3倍
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5.倍率比較

♦最終倍率ランキング
各試験の平均最終倍率を低い順に掲載しています。
- 福祉A(Ⅰ類B一般方式) ・:2.3倍
- 土木(Ⅰ類A)・・・・・・:2.5倍
- 機械(Ⅰ類B一般方式)・・:2.7倍
- 電気(Ⅰ類B一般方式)・・:2.8倍
- 土木(Ⅰ類B一般方式)・・:2.9倍
- 機械(Ⅰ類A)・・・・・・:2.9倍
- 獣医(Ⅰ類B一般方式)・・:3.0倍
- 土木(Ⅰ類B新方式)・・・:3.3倍
- 電気(Ⅰ類A)・・・・・・:3.3倍
- 建築(Ⅰ類B新方式)・・・:3.3倍
- 薬剤A(Ⅰ類B一般方式)・ :4.2倍
- 建築(Ⅰ類B一般方式)・・:4.2倍
- 心理(Ⅰ類B一般方式)・・:4.4倍
- ICT(Ⅰ類B新方式) ・・・:4.7倍
- 衛生監視(Ⅰ類B一般方式):5.0倍
- 建築(Ⅰ類A)・・・・・・:5.3倍
- 畜産(Ⅰ類B一般方式)・・:6.0倍
- 造園(Ⅰ類B一般方式)・・:6.5倍
- 行政(Ⅰ類B一般方式)・・:7.3倍
- 林業(Ⅰ類B一般方式)・・:7.7倍
- 環境検査(Ⅰ類B一般方式):7.7倍
- 水産(Ⅰ類B一般方式)・・:7.8倍
- 行政(Ⅰ類B新方式)・・・:8.1倍
- 薬剤B(Ⅰ類B一般方式)・ :9.3倍
- 事務(Ⅰ類A) ・・・・・ :9.6倍
- 栄養士(Ⅰ類B一般方式) :10.4倍
- 福祉C(Ⅰ類B一般方式)・:ー
■福祉Aと栄養士
最も平均最終倍率が低かったのは、福祉Aで2.3倍でした。
10年間で倍率が4倍を超えたのは1回のみで、ここ4年間は3倍すら超えたことがありません。
一方、最も倍率が高かったのは栄養士で、唯一平均して10倍を超えました。
特に筆記試験の倍率が高いため、興味がある方はしっかり筆記試験の対策を行ってください。
♦周辺自治体の倍率
東京都庁を受験する人が併願を検討しそうな自治体や、国家公務員の倍率を紹介します。
紹介するのは主に令和3年度の大卒程度行政職の採用倍率です。
東京都についてはⅠ類B(一般方式)の行政職が比較対象です。
■都道府県庁
- 東京都 :13.7倍(受験者:1,507人)
- 神奈川県: 5.5倍(受験者: 873人)
- 千葉県 : 5.4倍(受験者: 699人)
周辺の都道府県庁の倍率はだいたい3~7倍程度です。
例年なら都庁の採用倍率も、ほかの自治体とそこまで変わりませんが、令和3年度は都庁のみ採用人数が激減したので、第一志望にしていた方は運が悪かったです。
■区市町村
- 特別区 :4.8倍(受験者:9,019人)
- 横浜市 :5.2倍(受験者:2,000人)
- 川崎市 :3.3倍(受験者: 836人)
受験者は特別区がぶっちぎりで多いですね。
受験者が1万人を超えることもあります。
川崎市役所の採用倍率は3年連続で5倍を切りました。
- 【関連記事】特別区の採用倍率が知りたい方はこちら
- ⇒【特別区の倍率11年分】難易度は?全職種の採用試験倍率と分析』
■国家公務員
- 国家総合職(大卒程度):10.5倍(申込者:12,799人)
- 国家一般職(関東甲信越):4.8倍(申込者:8,753人)
- 国税専門官:3.1倍(受験者:13,163人)
国家公務員の倍率は、受験者数が不明なため、あくまで目安です。
なぜか受験者数は公表されていません。
実際の受験者は減るはずなので、国税専門官の採用倍率は確実に3倍を切っています。
6.おわりに

東京都庁Ⅰ類試験の10年間の採用倍率を紹介しました。
東京都庁の試験に興味がある方は、同日に実施される特別区の試験とどっちを受けるか迷う人も多いかもしれません。
判断材料の一つとして、この採用倍率が参考になれば幸いです。
学歴については、特別区を受験する人より東京都庁を受験する人の方が、より高学歴な人が多い印象です。
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