東京23区の区役所職員になるには、特別区の人事委員会が実施する採用試験に合格しなければいけません。
特別区の職員に興味がある方は、その難易度がどれくらいか気になると思います。
そこで今回は、難易度の指標となる特別区の採用倍率について紹介します。
職種ごとに12年分の申込者、受験者、合格者、合格倍率など分かりやすくまとめています。
【この記事を書いた人】
・政令市の消防士と行政職、町役場を経験
・公務員試験は独学・予備校両方で合格を経験
・YouTube ⇒ ハチサン公務員
★目次
- 16の区分と職種
- 倍率&傾向・分析
- 採用倍率ランキング
- 紹介
- まとめ
1.16の区分と職種

今回紹介する試験区分・職種は以下の16種類です。
- Ⅰ類事務
- Ⅰ類土木造園(土木)
- Ⅰ類土木造園(造園)
- Ⅰ類建築
- Ⅰ類機械
- Ⅰ類電気
- Ⅰ類福祉
- Ⅰ類心理
- Ⅰ類衛生監視(衛星)
- Ⅰ類衛生監視(化学)
- Ⅰ類保健師
- Ⅰ類土木造園(土木) [新方式]
- Ⅰ類建築 [新方式]
- Ⅲ類事務
- 障害者対象事務
- 就職氷河期世代
特別区が職員募集しているのはⅠ類区分(大卒程度)が多いです。
Ⅲ類区分(高卒程度)は事務職のみ。
経験者採用試験の倍率についてはいずれ紹介します。
なお特別区の場合、人事委員会による試験に最終合格したあとに、港区や新宿区といった区ごとの面接を受ける必要があります。
区の面接で落ちる受験者はごく僅かなようです。
2.倍率&傾向・分析
今回の倍率一覧表は、特別区人事委員会で公表されているデータを基に作成しています。
倍率は職種ごとに順番に紹介。
各職種の平均倍率は直近5年間の倍率を平均しています。
♦①Ⅰ類事務
■倍率

■傾向と分析
特別区の職種の中で受験者数は最多。
そして全国の地方公務員の事務職区分の中でも一番受験者数が多いです。
平成26年まで採用倍率は8倍前後で推移していましたが、近年は4倍前後まで下がっており以前より難易度は低下しています。
1次試験に合格しても2次試験を受けない人が多いので、2次試験の倍率は常に2倍を切っています。
- 1次試験の平均倍率:2.3倍
- 2次試験の平均倍率:1.5倍
- 最終合格の平均倍率:4.8倍
♦②Ⅰ類土木造園(土木)
■倍率

■傾向と分析
令和4年度は久しぶりに採用予定者が60名を超えました。
しかし、ふたを開けると最終合格者は令和2年度に次ぐ少なさ。
ただ受験者数が過去最低を記録したため、採用倍率も過去最低に。
- 1次試験の平均倍率:1.2倍
- 2次試験の平均倍率:1.3倍
- 最終合格の平均倍率:2.2倍
♦③Ⅰ類土木造園(造園)
■倍率

■傾向と分析
過去には採用倍率が5倍を超えることもありましたが、令和4年度は過去最低倍率を記録しました。
受験者数はピーク時の半分以下。
- 1次試験の平均倍率:1.3倍
- 2次試験の平均倍率:1.4倍
- 最終合格の平均倍率:2.4倍
♦④Ⅰ類建築
■倍率

■傾向と分析
特別区の採用試験の中で2番目に平均採用倍率が低い区分です。
過去10年間で7回も採用倍率が2倍を切りました。
非常に合格しやすい職種。
- 1次試験の平均倍率:1.1倍
- 2次試験の平均倍率:1.2倍
- 最終合格の平均倍率:1.8倍
♦⑤Ⅰ類機械
■倍率

■傾向と分析
令和2年度はここ11年間で最も採用倍率が高くなりました。
受験者は6年連続で減少しています。
- 1次試験の平均倍率:1.2倍
- 2次試験の平均倍率:1.2倍
- 最終合格の平均倍率:2.1倍
♦⑥Ⅰ類電気
■倍率

■傾向と分析
ここ令和2年度、3年度は最終合格者が減少したため、採用倍率も上昇しました。
ただ過去15年で採用倍率が4倍を超えたことはありません。
- 1次試験の平均倍率:1.2倍
- 2次試験の平均倍率:1.3倍
- 最終合格の平均倍率:2.4倍
♦⑦Ⅰ類福祉
■倍率

■傾向と分析
もともと福祉職の最終倍率は高い傾向でしたが、7倍→5倍→4倍→3倍→2倍とどんどん低下していきました。
そして令和3年度はついに2倍を切りました。
- 1次試験の平均倍率:1.2倍
- 2次試験の平均倍率:1.4倍
- 最終合格の平均倍率:2.0倍
♦⑧Ⅰ類心理
■倍率

■傾向と分析
心理職は平成29年度から採用試験が始まりました。
受験の年齢制限は39歳までとなっています。
いまのところ倍率は3倍前後で推移。
- 1次試験の平均倍率:1.5倍
- 2次試験の平均倍率:1.7倍
- 最終合格の平均倍率:3.2倍
♦⑨Ⅰ類衛生監視(衛星)
■倍率

■傾向と分析
少しずつ採用倍率は低下し、2倍を切る年も出てきました。
3年連続で採用予定数の倍以上の受験者が最終合格しています。
- 1次試験の平均倍率:1.2倍
- 2次試験の平均倍率:1.4倍
- 最終合格の平均倍率:2.0倍
♦⑩Ⅰ類衛生監視(化学)
■倍率

■傾向と分析
採用倍率に波はありますが、平均的に倍率は高くなる傾向です。
平成24年は採用倍率20.0倍を記録しました。
しかし令和4年度は過去最低倍率の3.8倍。
- 1次試験の平均倍率:1.5倍
- 2次試験の平均倍率:2.3倍
- 最終合格の平均倍率:5.4倍
♦⑪Ⅰ類保健師
■倍率

■傾向と分析
Ⅰ類保健師の採用倍率は低下傾向で、ここ5年間で4回も倍率は2倍を切りました。
特に令和2年度の2次倍率は低く、171人が面接を受けて155名が合格しています。
- 1次試験の平均倍率:1.2倍
- 2次試験の平均倍率:1.4倍
- 最終合格の平均倍率:1.9倍
♦⑫Ⅰ類土木造園(土木) [新方式]
■倍率

■傾向と分析
平成26年度から実施されている採用方式で、一般方式に比べ筆記試験の負担が少ないのが特徴です。
令和2年度は初めて一般方式より採用倍率が低くなりました。
採用倍率は平均的。
- 1次試験の平均倍率:1.3倍
- 2次試験の平均倍率:1.4倍
- 最終合格の平均倍率:2.5倍
♦⑬Ⅰ類建築 [新方式]
■倍率

■傾向と分析
土木と同じく平成26年度から実施されている採用方式で、一般方式に比べ筆記試験の負担が少ないです。
例年、筆記試験の倍率がかなり低いです。
令和元年度と4年度の1次倍率はなんと1.0倍。
- 1次試験の平均倍率:1.1倍
- 2次試験の平均倍率:1.2倍
- 最終合格の平均倍率:1.7倍
♦⑭Ⅲ類事務
■倍率

■傾向と分析
特別区唯一の高卒程度区分。
同じ事務職でもⅠ類事務に比べ、採用予定数がかなり少ないです。
そのため特別区の中では非常に採用倍率が高くなります。
ただ令和4年度は受験者が減少し、過去12年間で最も採用倍率が低くなりました。
- 1次試験の平均倍率:3.5倍
- 2次試験の平均倍率:1.7倍
- 最終合格の平均倍率:8.2倍
♦⑮障害者対象事務
■倍率

■傾向と分析
他の特別区の職種と比べ、採用予定者数と最終合格者数にそこまで差がありません。
また、採用倍率は年度による差が少なく安定しています。
しかし令和3年度は8年ぶりに採用倍率が3倍を超えました。
- 1次試験の平均倍率:1.1倍
- 2次試験の平均倍率:2.1倍
- 最終合格の平均倍率:2.6倍
♦⑯就職氷河期世代
■倍率

■傾向と分析
令和2年度から実施されている採用区分です。
実施されるのは令和6年度まで。
35人前後の採用枠を1000人前後で争う狭き門。
- 1次試験の平均倍率:6.1倍
- 2次試験の平均倍率:3.9倍
- 最終合格の平均倍率:25.7倍
■試験日程について
【関連記事】都庁・特別区・市役所など東京の地方公務員の試験日程が気になる方はこちら
⇒【東京都庁・特別区・市役所】東京都内の自治体の試験日程一覧!【
3.採用倍率ランキング
♦1次倍率
平均1次倍率が高い順に並べています。
- 就職氷河期世代 :6.1倍
- Ⅲ類事務 :3.5倍
- Ⅰ類事務 :2.3倍
- Ⅰ類衛生監視(化学):1.5倍
- Ⅰ類心理 :1.5倍
- Ⅰ類土木造園(造園):1.3倍
- Ⅰ類土木造園(土木):新方式:1.3倍
- Ⅰ類保健師 :1.2倍
- Ⅰ類土木造園(土木):1.2倍
- Ⅰ類機械 :1.2倍
- Ⅰ類電気 :1.2倍
- Ⅰ類福祉 :1.2倍
- Ⅰ類衛生監視(衛星):1.2倍
- Ⅰ類建築:新方式 :1.1倍
- 障害者対象事務 :1.1倍
- Ⅰ類建築 :1.1倍
1次試験の倍率が高いのはダントツで「就職氷河期世代」。
6,7人に1人しか突破できません。
逆に「Ⅰ類建築」や「障害者対象事務」の場合、ほとんどの人が1次試験に合格。
ほとんど採用区分で2倍を切っています。
♦2次倍率
平均2次倍率が高い順に並べています。
- 就職氷河期世代 :3.9倍
- Ⅰ類衛生監視(化学):2.3倍
- 障害者対象事務 :2.1倍
- Ⅲ類事務 :1.7倍
- Ⅰ類心理 :1.7倍
- Ⅰ類事務 :1.5倍
- Ⅰ類衛生監視(衛星):1.4倍
- Ⅰ類土木造園(土木):新方式:1.4倍
- Ⅰ類土木造園(造園):1.4倍
- Ⅰ類福祉 :1.4倍
- Ⅰ類保健師 :1.4倍
- Ⅰ類土木造園(土木):1.3倍
- Ⅰ類電気 :1.3倍
- Ⅰ類建築:新方式 :1.2倍
- Ⅰ類機械 :1.2倍
- Ⅰ類建築 :1.2倍
「障害者対象事務」は1次倍率がかなり低かったですが、逆に2次倍率は高いです。
より面接を重視していることが分かります。
一方、最も2次倍率が低い採用区分は「Ⅰ類建築」と「Ⅰ類機械」で平均1.2倍。
面接が苦手な方にはオススメの区分と言えます。
♦最終倍率
平均最終倍率が高い順に並べています。
- 就職氷河期世代 :25.7倍
- Ⅲ類事務 :8.2倍
- Ⅰ類衛生監視(化学):5.4倍
- Ⅰ類事務 :4.8倍
- Ⅰ類心理 :3.2倍
- 障害者対象事務 :2.6倍
- Ⅰ類土木造園(土木):新方式:2.5倍
- Ⅰ類土木造園(造園):2.4倍
- Ⅰ類電気 :2.4倍
- Ⅰ類土木造園(土木):2.2倍
- Ⅰ類機械 :2.1倍
- Ⅰ類衛生監視(衛星):2.0倍
- Ⅰ類福祉 :2.0倍
- Ⅰ類保健師 :1.9倍
- Ⅰ類建築 :1.8倍
- Ⅰ類建築:新方式 :1.7倍
「就職氷河期世代」は特殊な採用区分のため、平均倍率は25倍を超え群を抜いてます。
また、「Ⅲ類事務」も唯一の高卒区分のため倍率が高くなります。
「Ⅰ類衛生監視(化学)」の倍率が高くなるのは、例年採用人数が少ないため。
逆に特別区で最も採用倍率が低い職種は「Ⅰ類建築:新方式」。
多くの採用区分は、2~3倍の数字に落ち着いていますが、「建築」と「保健師」は平均2倍を切っています。
♦特別区以外の採用倍率
参考に、特別区以外の公務員試験の令和4年度における採用倍率を紹介します。
- 東京都庁Ⅰ類B一般方式(行政):3.1倍
- 横浜市役所大卒程度(事務) :6.1倍
- 川崎市(行政事務) :5.9倍
- 千葉市役所(行政A) :4.8倍
- さいたま市(行政事務A) :3.5倍
東京都、千葉市、さいたま市は令和3年度に比べて倍率が下がりました。
【関連記事】東京都庁Ⅰ類試験の採用倍率が気になる方はこちら
⇒ 東京都庁Ⅰ類AB【過去10年分の採用倍率】全職種まとめて紹介!
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5.まとめ

特別区の12年分の採用倍率について紹介しました。
最も受験者が多い「Ⅰ類事務」の平均倍率は4.8倍で、最も難易度が低い「Ⅰ類建築:新方式」区分の平均倍率は1.7倍でした。
特別区は受験者数が多いですが、採用数もかなり多いため全国的に見て採用倍率は低めです。
さらに、近年は採用倍率は低下傾向なので、少しでも公務員に興味がある方は特別区の職員を目指してみてはいかがでしょうか。
ただし採用者数をかなり絞る年度もあるので、そのときは倍率が急上昇します。