今回は公務員試験の採用倍率、中でも社会人採用区分(事務職・行政職)の倍率が気になる方に向けた記事です。

この記事をを見ればどこの自治体が狙い目か分かります。

  • 【この記事を書いた人】
    • 政令市の消防士、町役場の行政職員、政令市の行政職員を経験
    • 公務員試験は独学・予備校利用の両方で合格した経験あり
    • YouTube ⇒「3回公務員」

目次

  1. はじめに
  2. 各自治体の採用倍率
  3. 採用倍率ランキング
  4. 参考書籍
  5. まとめ

1.はじめに

社会人経験枠について 

市役所などの事務職を目指す場合、基本的に試験は「一般採用枠」か「社会人経験枠(呼び方は様々)」で受験することになります。

一般採用枠の場合は自治体によってバラバラですが、だいたい受験の年齢制限が30歳前後。

社会人経験枠の場合、30代、40代と年齢を重ねても受験ができる自治体が多く、50代で受験可能な自治体もあります。

社会人経験枠の多くは「職歴が〇年以上」などの受験資格を求める場合が多いです。

一般採用枠に比べ筆記試験の難易度が低く、敷居が低いため、多くの人が受験します。

一方で、採用人数は一般採用枠に比べ少ないため、採用倍率がかなり高くなります。

政令指定都市と特別区の倍率を紹介 

今回は、社会人経験枠の難易度が分かるように、政令指定都市と特別区の事務職採用試験における、過去数年間の採用倍率を掲載。

その他の官公庁の社会人採用を考えている方にとっても、難易度の目安になると思います。

ぜひ参考にしてください。

※数字については間違いのないように注意を払っていますが、志望先の倍率についてはご自身でもきちんと確認してください。

2.各自治体の採用倍率

ここで紹介する政令指定都市および特別区の一覧です。

  1. 札幌市  :社会人経験者 一般事務
  2. 仙台市  :社会人経験者 事務
  3. さいたま市:民間企業等経験者 行政事務
  4. 千葉市  :民間企業等職務経験者 行政
  5. 特別区  :経験者 事務(1級職)
  6. 特別区  :経験者 事務(2級職)
  7. 横浜市  :社会人 事務
  8. 川崎市  :民間企業等職務経験者 行政事務
  9. 相模原市 :-
  10. 新潟市  :民間企業等職務経験者 一般行政
  11. 静岡市  :創造力枠 大卒程度(事務)
  12. 浜松市  :民間企業等経験者 行政
  13. 名古屋市 :職務経験者 行政一般
  14. 京都市  :民間企業等職務経験者 一般事務(行政)
  15. 大阪市  :-
  16. 堺市   :社会人・職務経験者 事務
  17. 神戸市  :社会人 総合事務(事務)
  18. 岡山市  :-
  19. 広島市  :職務経験者 行政事務
  20. 北九州市 :-
  21. 福岡市  :社会人経験者 行政(一般)
  22. 熊本市  :社会人経験者 事務職

相模原市・大阪市・岡山市・北九州市は、ここ数年社会人経験者枠(事務職)での採用試験はありません。

※2次試験の受験者数が不明な場合、2次倍率は「1次合格者÷2次合格者」の概算で算出。3次倍率も同様。

①札幌市:社会人経験者 一般事務 

札幌市の1次倍率は例年ものすごく高いです。

平成30年度の1次試験は743人が受験して、合格したのはわずか35人のみです。

②仙台市:社会人経験者 事務 

仙台市の採用倍率は社会人採用区分の中では低い方です。

特に2次試験の倍率が低いため、人物試験が苦手な方にはオススメです。

③さいたま市:民間企業等経験者 行政事務 

ここ数年の採用予定数は5人が続いています。

令和3年度は受験者数がかなり減少したため、採用倍率も低下しました。

④千葉市:民間企業等職務経験者 行政 

平成28年度の採用倍率は136倍ととんでもない数字を叩き出しました。

ここ2年は平均的な採用倍率です。

⑤特別区:経験者 事務(1級職) 

特別区(1級職)は、社会人経験者枠がある大きな都市の中で最も採用倍率が低い自治体です。

平成30年度採用倍率は3.6倍という低さです。

ちなみに1級職は係員の業務を行う職です。

⑥特別区:経験者 事務(2級職) 

特別区(2級職)も1級職と並んで採用倍率が低いです。

しかしここ2年は採用予定数が減り、採用倍率が上がりました。

2級職は係長昇任を前提とした、係長を補佐する職のため、1級職より給料が高いです。

⑦横浜市:社会人 事務 

横浜市の社会人採用枠は平均的な採用倍率です。

4年連続で受験者は減少しています。

⑧川崎市:民間企業等職務経験者 行政事務 

令和3年度は試験が2回実施されました。

その1回目はかなり低い採用倍率となりました。

⑨相模原市:- 

ここ数年、相模原市では社会人経験者枠での事務職採用試験はありません。

⑩新潟市:民間企業等職務経験者 一般行政 

新潟市の採用倍率は例年非常に高いです。

令和2年度の採用倍率は92倍となっています。

一方で1次試験の採用倍率は他の自治体に比べ低い傾向。

⑪静岡市:創造力枠 大卒程度(事務) 

創造力枠は純粋な社会人経験枠ではありません。

何らかの高い知識、能力、経験がある人に向けた採用枠です。

年齢制限は40歳以内で、新卒でも受験可能。

社会人経験枠と捉えると、採用倍率はやや低め。

⑫浜松市:民間企業等経験者 行政 

政令指定都市、特別区の社会人経験枠の中で、ここ数年最も採用倍率が高いのが浜松市です。

平成30年度は97人受験して、最終合格者は1人です。

ただ、ここ3年は採用がありません。

⑬名古屋市:職務経験者 行政一般 

名古屋市の1次倍率は、例年かなり低い傾向。

受験者は4年連続して減少しています。

⑭京都市:民間企業等職務経験者 一般事務(行政) 

京都市は2年連続して最終合格者が増加しており、易化傾向です。

受験者についても4年連続して減少。

⑮大阪市:- 

ここ数年、大阪市では社会人経験者枠での事務職採用試験はありません。

⑯堺市:社会人・職務経験者 事務 

堺市の採用倍率は例年かなり高い傾向でしたが、4年連続で低下しています。

令和3年度は、ここ6年間で初めて採用倍率が10倍を切りました。

⑰神戸市:社会人 総合事務(事務) 

神戸市の社会人採用枠は、特別区に次いで採用倍率が低い傾向です。

特に1次倍率は、毎年3倍前後でかなり低い。

⑱岡山市:- 

ここ数年、岡山市では社会人経験者枠での事務職採用試験はありません。

⑲広島市:職務経験者 行政事務 

平成28年29年度の採用倍率は約50倍と高い数字でしたが、ここ4年間は連続して合格者数が増えたため、採用倍率が一気に下がりました。

特に令和3年度はここ6年間で最も低い採用倍率となりました。

⑳北九州市:- 

ここ数年、北九州市では社会人経験者枠での事務職採用試験はありません。

㉑福岡市:社会人経験者 行政(一般) 

福岡市の採用倍率は、毎年非常に高いです。

特に1次試験は、政令指定都市と特別区の中で最も難易度が高くなっています

㉒熊本市:社会人経験者 事務職 

熊本市は福岡市同様に、1次試験の倍率が高くなる傾向です。

事務職Aと事務職B、2つの採用区分がありますが、これは採用時期の違いです。

事務職Bの方が早期採用です。

3.採用倍率ランキング

1次倍率ランキング 

  1. 福岡市   :23.1倍
  2. 札幌市   :14.9倍
  3. 熊本市   :11.6倍
  4. 仙台市   :9.8倍
  5. 浜松市   :9.6倍
  6. 千葉市   :9.5倍
  7. さいたま市 :9.4倍
  8. 川崎市   :9.4倍
  9. 堺市    :6.6倍
  10. 京都市   :6.6倍
  11. 広島市   :4.9倍
  12. 静岡市   :4.9倍
  13. 特別区2級職:4.1倍
  14. 特別区1級職:3.8倍
  15. 横浜市   :3.4倍
  16. 新潟市   :3.0倍
  17. 名古屋市  :2.8倍
  18. 神戸市   :2.7倍

1次試験の倍率が高いのはダントツで福岡市でした。

低い年度でも採用倍率は10倍を超えています。

一方、神戸市と名古屋市は高くても4倍を超えることがありません。

筆記試験が苦手な方は、1次試験の倍率が低い自治体を受けることをオススメします。

最終倍率ランキング 

  1. 浜松市   :62.3倍
  2. 新潟市   :58.3倍
  3. 福岡市   :56.4倍
  4. 千葉市   :50.1倍
  5. 堺市    :42.2倍
  6. 札幌市   :39.6倍
  7. さいたま市 :38.5倍
  8. 熊本市   :35.6倍
  9. 京都市   :33.5倍
  10. 川崎市   :27.6倍
  11. 横浜市   :23.6倍
  12. 広島市   :22.9倍
  13. 静岡市   :21.6倍
  14. 名古屋市  :18.1倍
  15. 神戸市   :15.3倍
  16. 仙台市   :14.2倍
  17. 特別区2級職:10.3倍
  18. 特別区1級職:7.1倍

平均倍率を算出した結果、浜松市、新潟市、福岡市の採用倍率が非常に高いことが分かりました。

中でも福岡市の採用倍率は、安定して毎年高い数字となっています。

また、全体の平均は約30倍なので、特別区の採用倍率がいかに低いかが分かります。

ただこれはあくまで平均の数字ですので、その年度によって採用倍率は違ってきます。

4.参考書籍

「社会人が受けられる公務員試験 早わかりブック」

目次

⇒ 社会人が受けられる公務員試験 早わかりブック

  • 公務員ここがイイ!
  • 早わかりガイド
  • 教養試験の攻略法
  • 過去問の徹底研究
  • 実力判定&学習法アドバイス
  • 付録:適性試験
  • 別冊:過去問模試

こちらは実務教育出版から発行されている社会人に向けた公務員試験の概要本です。

国家公務員試験、地方公務員試験の概要と、実際に出題された過去問が模試形式で収録されています。

過去問模試は別冊として付いているので使いやすいです。

5.まとめ

社会人経験枠は採用倍率が非常に高いですが、自治体によってかなり差があります。

日程が被らないのであれば、複数受験することも方法の1つです。