【公務員試験の集団討論を攻略するコツ】流れや取るべき行動を解説!

集団討論(グループディスカッション)は多くの公務員試験に取り入れられています。

特に2次試験で実施されることが多いですが、筆記試験が終わり、気が抜けて対策を疎かにする人は多いです。

事前に集団討論の準備をするのとしないのとでは、結果が大きく変わります。

実際、試験本番で「この人かなり準備してきたな」という人は何となく分かりますし、「この人何も対策してないな」って人も討論すると分かるもんです。

今回は私の実体験も踏まえ、公務員試験における集団討論のコツなどをお伝えします。

【この記事を書いた人】
政令市の消防士と行政職、町役場を経験
公務員試験は独学・予備校両方で合格を経験
YouTube ハチサン公務員

目次

  1. 集団討論の形式
  2. 出題される課題について
  3. 役職について
  4. 集団討論で取るべき行動
  5. 実際に参加した集団討論のリアルな流れや服装
  6. 必ず事前に集団討論の練習をする
  7. まとめ

1.集団討論の形式

受験する官庁により多少は違いますが、一般的な公務員試験の集団討論を簡単に説明すると、だいたい1グループ6~12人程度で行い、それぞれ受験者に対しアルファベットや数字が割り振られます。

1つの課題が出題され、それについてグループで話し合い結論をまとめます。

最初に役職を決めることが多く、制限時間は60分前後が多いです。

2.出題される課題について

実際に出題された課題 

参考に、実際に出題された集団討論の課題をいくつか紹介します。

令和4年度:宮城県大卒程度(全職種)

「宮城県の特産品を一つ挙げ,その特産品の販路を拡大するためには,どのような取組が有効か」というテーマで議論し,グループの意見をまとめなさい。

令和4年度:熊本市上級職等

近年、企業CMや自治体PR動画などが「炎上」する事態が相次いでいる。熊本市が冊子やSNSなど、様々な媒体を用いて情報発信をする際に気を付けなければならないことや、炎上してしまった後の対処法について、グループで話し合い、意見をまとめなさい。

令和3年度:沖縄県上級

コンビニエンスストア等、私たちの周りには24時間営業している店があり、日時を問わず様々なサービスを利用することができる一方、24時間営業には防犯上の課題や過酷な勤務実態等、様々な問題が指摘されています。
コンビニエンスストア等の24時間営業について、討論してください。

民間企業のテーマは「理想の社会人とは」、「無人島に持って行くとしたらどれ」など漠然としたものが多いのに対して、公務員試験の集団討論は、上記のような行政目線の課題が出題される傾向です。

そのため事前に予備知識を持っておくことが必須です。

自分の志望先の過去課題をチェックする 

もし、志望先の過去に出題された課題を確認することができるなら、是非チェックしてください。

抽象的な課題、具体的な課題、日本全体の課題、自治体の問題に絡めた課題、毎年似たような課題、特殊な形式の課題、出題の形式、傾向は官公庁によって様々です。

出題されやすいテーマ 

各官庁により出題傾向は違いテーマも多種多様ですが、以下のような課題は割と出題されやすいです。

  • 選挙の投票率を上げるには
  • 観光客を増やすには
  • 少子化対策にどう取り組むべきか
  • 災害に強いまちにするには
  • 犯罪に強いまちにするには
  • 地域コミュニティを活性化させるには
  • ワークライフバランスを推進させるには
  • 国際化にどのように対応していくか
  • 公務員に求められるもの
  • 住民とどのように協働していくべきか

出題されやすいテーマを見ても分かるように、行政としてどう対策していくかを問われる場合が多いです。

何も知識がなければ、自分の意見を言うことさえできないので、インターネットでもいいので、事前に情報を仕入れておくことが前提条件です。

試験まで時間がある人は、出題されそうなテーマを数十問ピックアップして、その基本的な知識と応用的な知識を仕入れておくことをオススメします。

知識が増えることにより引き出しが増え、落ち着いて討論に参加することができます。

試験まであまり時間がない人は、最低でも出題されやすいテーマの基本的な知識だけは身に着けておくべきです。

知識量がそのまま結果に直結すると言っても過言ではありません。

3.役職について

各役職 

集団討論では最初に役職を決める場合が多いです。

  • 司会者
    討論の流れや方向性を決めたり、人に話を振ったり、グループをまとめる人。
  • 書記
    討論で出た意見を記録に書き留めます。最後にまとめた意見を書記が発表する場合もあります。
  • タイムキーパー
    時間を管理し、討論する時間や、意見をまとめる時間を考えたり、「残り〇分です。」と時間を気にする人。

特に役職に就く必要なし 

役職には無理に就く必要はないです。

タイムキーパ―について

まずタイムキーパ―ですが、時間を管理するだけの人です。

「司会者は難しそうだけど、タイムキーパ―なら簡単だし、一応やっておこうかな」っていう人がなる役職です。

あなたが面接官ならどれだけ加点しますか?

タイムキーパ―が時間の管理を失敗したら減点されるかもしれませんが、うまく時間を管理してもたいしたアピールにはならないと思います。

むしろ討論しているみんなが各自で時間を気にしていると思うので、タイムキーパ―の存在意義はあまり見出せません。

というか実際に社会に出てから会議でタイムキーパ―なんて必要ですか?って話です。

書記について

次に書記ですが、書記は討論内容を上手に記録して、中間発表をしたり最後に意見をまとめて発表したり、うまくやれば加点されます。

しかし、記録することに夢中になり、自分の意見が言えなくなれば本末転倒です。

試験官も人間ですので存在感が薄ければ加点も減ります。

そのため、書記という役職はリスクもあります。

司会者について

そして司会者、まあ分かると思いますが、これが一番ハイリスク・ハイリターンです。

討論をうまく回すことができればもちろん評価は高まりますが、討論がグダグダになれば、それをまとめることができなかった司会者は間違いなく低評価。

なので、基本的に自信がある人以外は司会者にならない方が無難です。

あと、一次試験と二次試験の合計得点で最終合格が決まるという採点方式の場合で、一次試験の点数がギリギリだった人や、面接試験を失敗した人などが、一発逆転を狙って司会者をするのはあり。

裏司会になる 

先述したことから、無理に役職に就く必要はないです。

役職なしの平民でもきちんと討論に参加をすれば評価されます。

そしてオススメなのが裏司会です(勝手に命名)。

裏司会とは

これは役職として司会にはなっていないけど、論点がズレてきたときに軌道修正をしたり、たまに「これについて詳しく話してはどうでしょうか?」と司会に提案したりする人のこと。

さり気なく討論を回し、司会者の補助的な立場になるポジションです。

このポジションが上手くできれば、高確率で高評価がもらえます。

なぜ裏司会がいいのか

役職に就いていないのでリスクはないですし、司会者が困っているときに裏司会が登場すれば、グループ全体が沈没することを防げますし、司会を上手くサポートしたことで評価が得られやすいです。

ローリスク・ハイリターン。

役職のプレッシャーがない状態で、のびのびと意見を言うことができます。

例えば10人の討論の場合、2人程度裏司会がいれば上手く討論が回るはずです。

実際に私が集団討論を受けたときに、裏司会の役割を担っていた人は全員合格しています。

4.集団討論で取るべき行動

①【コミュ障必須】緊張緩和&第一印象アゲ作戦 

みなさん集団討論本番は緊張すると思いますが、特にコミュ障であればなおさら緊張することでしょう。

そんな場合は勇気をもって、あえて一番最初に発言をすることがオススメです。

最初が肝心

議論が始まれば緊張して発言するタイミングを見失い、口達者な人たちにペースを作られ、受け身になってしまう可能性が十分あります。

そこで試験開始直後、何でもいいので適当に発言をして緊張をほぐします。

自分の殻を破るんです。

周囲にも好影響

例えば、「みなさん緊張していると思いますが、今日は一緒に頑張りましょう!」とか「ここにいるみんな全員が、合格する気持ちで頑張りましょう!」など適当に何か言えさえすればいいです。

自分の緊張だけでなく周りの人の緊張もほぐれますし、面接官にも、協調性があり好印象をもってもらえるはずです。

また、全員が緊張して序盤に誰も発言しないという最悪の「お通夜状態」も回避できます。

②周囲を敵として見るのではなく仲間として見る 

周りの人を試験のライバルとして打ち負かそうとすると、グループ全体の雰囲気が悪くなり、面接官にも悪い印象を与えかねません。

逆に人の意見を否定せずに、皆が協力的に議論を進めることで発言がしやすくなり、全体の印象も良くなります。

そしてグループ全体の評価も高まります。

私が参加した集団討論の時は、討論中に受験生同士で笑いもありました。

集団討論は、協力し合いながら議論を進めることが大切です。

③人の話を聞いているふり作戦 

試験官は、自分の意見を言うだけでなく、相手の意見をきちんと聞くことができているかも見ています。

しかし実際の討論中は、「やばい、次はどんな発言しよう。。。」と自分のことで精いっぱいになり、人の発言を聞く余裕がない人が多いでしょう。

もちろん、自分の意見が言えて相手の意見も全部聞くことができれば、それに越したことはないのですが、なかなか難しいです。

そこで、「人の話を聞いているふり作戦」を発動させます。

これは相手が意見を述べているときに、頷いて、聞いている雰囲気を醸し出しながら、実際は脳内で自分の意見をまとめているという作戦です。

特に、誰かがどうでもいい発言をしているときに発動させましょう。

相手の目を見て「なるほど~」と言えるくらいの演技ができれば完璧。

④メモを取る 

集団討論は60分前後と長丁場です。

最初の方で提案された意見などは忘れてしまいがちです。

誰がどんな発言をしたか簡単にメモを取っておくことで、議論の振り返りができ、討論をより発展させることに繋がります。

たまに鬼司会者から「Aさん、前半のBさんの発言について何か意見はありますか?」などキラーパスが来る場合もあるので、その対策にもなります。

⑤自信がない人ほど声は大きく笑顔で 

討論に自信がない人は声が小さくなり、顔も冴えない表情になりがちです。

発言が少なく、見た感じの印象も悪いと最悪です。

声が小さいと試験官に聞こえないこともあります。

印象だけでも良くなるように、声は大きく顔は笑顔で討論に参加することで「私、余裕ですけど」感を出していきましょう。

私はいつも試験の時は心臓バクバクでしたが、「私、余裕ですけど」感だけは出すようにしていました。

5.実際に参加した集団討論のリアルな流れや服装

服装はもちろんスーツですがクールビズスタイルでOKでした。

以下は実際にとある自治体の集団討論試験を受けたときの流れです。

  • 集合場所の会議室に集められ、時間が来たら会議室を出て、廊下で受験番号順に並びます。
  • 若い番号からABCと数字を割り振られ、職員に連れられ討論会場に入室します。
  • 入ってすぐのところに荷物置きがあるので、各自荷物を置きます。
  • 会場中央には長テーブルが4つ、真ん中向きに四角形でセットされており、1テーブルに3人、Aから時計回りに座ります。
  • 試験官は外側1か所に1人、もう1か所に2人、計3人座っています。
  • 年齢は50代くらいの男性、40代後半くらいの男性、40代半ばくらいの女性。
  • 試験官が座っているテーブルにはそれぞれパソコンが置いてあります。
  • 引率した30代半ばくらいの職員が討論の説明をします。
  • 最初に課題の書かれた用紙が配られ、スタートから最初の10分で各自課題について考察し、55分間討論をします。
  • 試験官は途中で場所を入れ替わります。
  • 試験官は常に人を見ているというよりも、下を見ながら聞いたり、メモを取りながら聞いたりしていました。

参加者の特徴と結果

上記の集団討論に参加していた同じグループの人の特徴と合否です。(把握している人のみ)

  • A:雰囲気は良いが発言は少なめ
    • →合否不明
  • B:知的な感じはあるがかなり不愛想
    • →合否不明
  • C:笑顔があり発言も多く声が大きい
    • 合格
  • D:タイムキーパ―だが発言は少なめ
    • →合否不明
  • E:発言は少なかったが、書記を務めて意見を上手くまとめていた
    • 合格
  • F:発言の回数は並、要所要所で的確な意見を出していた
    • 合格
  • G:欠席
  • H:発言が多く、知識もある
    • 合格
  • I:発言が多く、雰囲気が良かった
    • 合格
  • J:発言が多く、良い意見を述べていた
    • 合格
  • K:司会者、緊張をしていて空回り
    • →合否不明

6.必ず事前に集団討論の練習をする

集団討論は面接と同じように、練習をして慣れておくことが重要です。

初めて挑むことには誰でも緊張と不安が付きまといます。

私も練習する前は、集団討論のやり方も分からず不安だらけでした。

練習でも発言するタイミングが分からなかったりして、グダグダでした。

しかし事前に練習したことにより、本番ではもちろん緊張しましたが、少しだけ余裕を持つことができました。

集団討論の練習ができる場所としては、以下のようなところがあります。

  • 公務員予備校の講座
  • 通っている大学(社会人なら出身大学)の就職講座
  • ジョブカフェ(若者向け就職支援施設で都道府県により呼称は異なる)

ぜひ活用してみてください。

7.まとめ

集団討論は個人面接と同じくらい苦手意識を持っている人が多いと思います。

しかし人生が掛かった大一番です。

筆記試験が終わると気が緩みがちになりますが、集団討論の対策もきちんと行い、満を持して試験に臨みましょう。

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