長野県庁の公務員採用試験を受けようと思っている方、受験する区分によっては、グループワーク(集団討論)が実施されることは知っていますか?

今回は長野県庁のグループワーク(集団討論)で、実際に出題された過去問の紹介と、その考察を行います。

紹介するのは、令和元年度に出題された2題です。

目次

  1. 試験の概要
    • 配点
  2. 令和元年度の課題
    • 課題1
    • 課題2
  3. まとめ

1.試験の概要

長野県庁のグループワークは、大卒程度区分の採用試験で行われ、2次試験で実施されます。

最終合格者は、2次試験の総合得点で決まるため、1次試験の点数は反映されません。

口述試験の配点は900点ですが、グループワークのみの配点は不明です。

配点 

行政A、行政B、技術系一般職種

  • 2次試験合計:1200点
    • 論文試験:300点
    • 口述試験:900点
      • グループワーク
      • 個別面接2回

デジタル

デジタル区分は、令和3年度の試験から導入されました。

論文試験の代わりに1次試験で専門論述試験があります。

  • 2次試験合計:900点
    • 口述試験:900点
      • グループワーク
      • 個別面接2回

2.令和元年度の課題

実際の課題を2題紹介します。

課題1 

学生の主体的な海外留学を促進しグローバルな人材を育成するためには、どのような取組が効果的か。

メモ

留学に関する課題です。

最近は国際化が進み、こういったグローバル的な課題も増えています。

現状

日本学生支援機構の令和元年度の調査によると、日本人学生の留学者数は、年々増加しており、約10年で倍増しています。

「最近の若者は内向き志向だから、海外に興味がない」なんて言われたりすることもありますが、そんなことないみたいですね。

  • 2019年度:107,346人
  • 2017年度:105,301人
  • 2015年度:84,456人
  • 2013年度:69,869人
  • 2011年度:53,991人

留学先の上位国は以下のとおりです。

  1. アメリカ   :18,138人
  2. オーストラリア:9,594人
  3. カナダ    :9,324人
  4. 韓国     :7,235人
  5. イギリス   :6,718人
  6. 中国     :6,184人
  7. タイ     :5,032人
  8. 台湾     :4,894人

英語圏と近隣のアジア諸国に集中しています。

海外留学のメリット

留学するとどんなメリットがあるか考えてみます。

*①語学力が伸びる

現地に行けば、日本にいるよりも、外国語に触れる機会が確実に増えます。

上達の程度に差はありますが、現地で外国語漬けになれば、努力次第で語学力はグンと上がります。

*②友人や知り合いが増える

留学先の学校や寮、アルバイト先など、現地の人と知り合いになる機会はもちろん多いです。

また、現地の人だけでなく、別の国からの留学生や、日本人留学生の友人もできます。

*③海外の文化や価値観に触れることができる

日本では知ることができなかった、海外の文化を知ることができます。

また、日本人とは違うモノの考え方に触れることで、新しい考え方や、柔軟な考え方が身に付きます。

*④自分に自信がつく

家を離れて海外で生活することは不安だらけです。

1人で通学、炊事、洗濯、買い物などを毎日しなければいけません。

ただ、慣れない経験を積むと、自分に自信を持てるようになり、帰国する頃には大きく成長しています。

*⑤就職活動でアピールできる

留学で磨いた語学力は、就活の際に十分アピールできる武器になります。

また、外国で暮らした経験や、留学に行く行動力などが評価されるかもしれません。

*⑥日本に詳しくなる

留学すると、日本と海外を比較することが増え、日本という国について考えることが増えます。

また、外国人から日本の文化について質問されることも多いため、それに応えるためにも、留学中に日本のことを調べる人は多いです。

海外留学のデメリット

もちろんデメリットもあり、そのせいで留学しない人も多いです。

*①お金がかかる

アメリカに半年間留学した場合、留学費用は合計150~250万円程度かかると言われています。

最大のデメリットは費用ですね。

*②時間がかかる

当然ですが、留学中は、日本でも同じように時間が経過しています。

帰国後、大学の卒業は遅れるかもしれませんし、就職活動にも何らかの影響を与える可能性があります。

*③治安・危険性

日本は世界的にも安全な国なので、ほとんどの場合、留学先の方が治安は悪いです。

実際に留学先で犯罪に巻き込まれている人はいます。

*④健康面

日本で生活してても大なり小なり、なんらかの病気にかかる人は多いのではないでしょうか。

留学先は食生活や衛生面が日本と違うので、病気になる可能性は日本以上にあり得ます。

外国の病院は不安になりますし、保険や費用も確認する必要があります。

*⑤生活環境に馴染めないことも

高い留学費用を払っても、海外での生活に全く馴染めない可能性はゼロではありません。

食事が合わない、友人ができない、勉強についていけない、カルチャーショック、これらが重なると、生活そのものが苦痛になります。

取組

ではどういった取り組みが効果的でしょうか。

*①奨学金の周知

国や日本学生支援機構では、留学を検討している人に対して、奨学金制度を準備していますが、そのことを知らない学生も多いです。

例えば、月10万円貸与などがあります。

留学を考える上で、最も気になることは費用です。

極端な話、無料で留学できるなら留学者は爆増しますよね。

制度のさらなる拡充及び、制度の存在を周知させることで、費用面で諦めている人をサポートできます。

*②国内で海外に関する教育の推進

海外に興味がなければ、当然留学にも興味は湧きません。

インターネットやSNSの普及で、海外のアーティストやカルチャーなどを見る機会は増えてきています。

それに加え、学校の授業などでも、外国の文化や歴史について学ぶ機会を増やすことで、外国に興味を持つ若者は増えるのではないでしょうか。

ALTや地元に住む在留外国人と接する機会を作ることもいいですね。

*③英語圏以外の留学先についても魅力を伝える

英語圏以外の外国に留学しても、グローバルな人間は十分育ちます。

日本の近隣諸国に留学すれば、渡航費は安く済みますし、アジアであれば欧米に比べ生活費も安い傾向です。

中国語・韓国語は常に需要がありますし、東南アジアの言語を話せる人は、貴重存在と言えます。

また、ロシア語が学べるウラジオストクも穴場で、実は札幌から東京間よりも、札幌からウラジオストク間の方が距離は近いです。

こういった英語圏以外への留学の魅力を国や自治体、教育現場で伝えることで留学のハードルは下がります。

*④企業への要請

まだまだ日本は新卒至上主義が強い傾向です。

新卒以外は採用試験のエントリーができない企業もあり、卒業が遅れた学生や、既卒の学生に対しては不利な面があります。

そのため、就職面の影響を考えて留学を躊躇する人も少なからずいます。

こういった日本の企業に対して、「留学により既卒になった学生は、3年以内は新卒扱いにする」などの対応を、国や自治体が要請していくことも有効です。

日本の企業が留学者に対して柔軟な対応を示し、「留学をしても就職の心配はない」と学生が感じることができれば、留学を志す人は増えるかもしれません。

課題2 

東京オリンピックを活用して長野県内へのインバウンド需要を取り込むためにはどのような取組が効果的か。

メモ

新型コロナウイルスが発生する前の課題です。

新型コロナウイルスのせいで、インバウンド需要どころではなくなりました。

代わりに、2030年の冬季オリンピックに札幌が立候補しているので、『札幌オリンピック2030を活用して長野県内へのインバウンド需要を取り込むためにはどのような取組が効果的か。』という課題があったとして考察していきます。

各国の事前合宿先として立候補する

1998年の長野オリンピック開催や、2018年の平昌オリンピックでの事前合宿受け入れの経験があるため、実績とノウハウは十分あります。

合宿先となれば、選手、チームスタッフだけでなく、各国のマスコミ、当該国のファンなど多くの外国人がが長野県に訪問・宿泊することは予想できます。

観光業へのインバウンド効果はもちろんのこと、世界レベルの実力を間近で見ることができ、長野県民に対するスポーツ振興にも繋がります。

訪日ラボ「長野県のインバウンド需要」によると、2019年の長野県を訪れた外国人の、上位の割合は以下のとおりです。

  1. 台湾     :36.42%
  2. 中国     :11.53%
  3. オーストラリア:10.86%
  4. 香港     :9.51%
  5. タイ     :6.55%
  6. アメリカ   :5.11%

つまり、こういった国々の事前合宿誘致を成功させされば、高いインバウンド需要が期待できます。

ちなみに東京オリンピックでは新型コロナウイルスの影響でインバウンド効果はほとんどありませんでしがたが、長野県内では長野市、上田市、須坂市、飯山市、下諏訪町、山ノ内町、岡谷市、伊那市、駒ケ根市、佐久市、千曲市、東御市、安曇野市、立科町、松川町が事前合宿地となりました。

オリンピック中・開催後の観光客の取り込み

札幌でのオリンピック開催となれば、北海道を中心に外国人観光客は増加するでしょう。

そうなれば、併せて他の地域を観光する客も必然的に増えます。

北海道と同じ東日本にあるため、西日本各県より距離的に近く、東京からもそう遠く離れていないため、長野県への流入も期待できます。

*観光インフラ整備

松本城、地獄谷温泉、軽井沢など外国人向けの観光資源は揃っているため、観光インフラの強化及び観光PRを進めていきたいところです。

観光インフラとして、Wi-Fi環境が整っていることは、観光地にとってもはや標準装備となっています。

当たり前のことができなければ、評価は下がり、次はありません。

せめて、県内の観光スポットではWi-Fi環境を完備する必要があります。

また、多言語対応、公交通機関の充実も然りです。

基本の観光インフラを整備することは、グローバル社会において必須となってきています。

*観光PR

ただ、観光資源やインフラが整っていても、存在が知られていなければ意味がないため、長野県のPRもしていく必要がありますね。

インターネット、SNS、旅行会社・旅行雑誌への取材依頼などPR方法はいくつもあります。

近年は、外国人YouTuberを起用して観光PRを行っている自治体もあります。

ちなみに台湾で人気のSNSはFacebookとLINE、中国ではWeiboとWeChat、オーストラリアはFace bookとFacebook Messenger。

国ごとに使用されているSNSは違うため、SNSを利用したPRの場合、アプローチ先を間違えると効果が薄いです。

どこの国に照準を合わせるかで、PRの媒体も変える必要があります。

3.まとめ

長野県のグループワークについて、過去問などを紹介してきました。

おそらく二次試験の配点は、面接試験が大きなウェイトを占めると思いますが、グループワークもきちんと対策を取っておきましょう。

討論するには、討論できるための知識を持っていることが大前提です。

最低限、出題されそうな課題については、知識を情報を収集しておきたいところです。

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