公務員に興味があるけど、既卒だし受かるかな?
そう心配する方は多いのではないでしょうか。
この記事では
- 公務員試験に落ちて、まもなく学校を卒業してしまう人
- 学校は卒業したけど就職先は決まらず、これから公務員を目指す人
- 民間に就職したけど、公務員に転職しようか考えている人
このような人に向けて、「既卒でも公務員試験に受かるのか」いやむしろ「既卒でも公務員試験に受かります」ということを私の実体験も交え、説明していきます。
★目次
- 既卒で受かる人はたくさんいる
- 既卒なら民間より公務員という選択
- 既卒が受験する際にするべきこと
- 何歳でも受けられる?社会人経験枠
- 既卒が受かるには通学?通信?独学?
1.既卒で受かる人はたくさんいる

♦私も既卒で合格
まず私の簡単な紹介。
■3回公務員を経験
私はこれまでに、政令指定都市の消防士、町役場の事務職員、政令指定都市の事務職員と3つの官公庁で公務員として働いた経験があります。
もちろん、3つとも正規の職員採用試験に合格しています。
私も初めて公務員試験を受ける際は、試験に合格できるか不安でした。
それは私自身、既卒で公務員試験の勉強をしていたからです。
ネットを見ると「既卒は不利」や「落ちたら悲惨」など不安を煽るようなことばかり書いてありました。
ただ不安を抱きながらも、まじめに試験勉強に取り組んだおかげで、無事内定を貰うことができました。
ネットの情報に踊らされず、試験に向けてきちんと準備をすれば、職歴あり・職歴なしに関わらず、既卒でも普通に受かることができます。
■既卒、短期職歴、高齢受験の全てを経験
既卒以外に、短期職歴や高齢受験であっても、適切な対策を取れば公務員試験に受かることは可能です。
3つの公務員を経験したとお伝えしましたが、どの試験に受かったときも、上記のようなハンデがありました。
- 1回目 既卒職歴なしで合格
- 2回目 短期職歴で合格
- 3回目 高齢受験で合格
これでも普通に受かります。
挑戦しないと、受かるものも受かりません。
♦同期や職場の人間も既卒だらけ
各採用試験に既卒で受かったのは、なにも私一人ではありません。
私には、消防、町役場、政令指定都市にそれぞれ同期がいますが、全て既卒の同期がいます。
割合でいうと以下のような感じです。
- 消防士の大卒区分の同期:7~8割が既卒
- 町役場の大卒区分の同期:約8割が既卒
- 政令指定都市の大卒区分の同期:たぶん半数近く既卒
政令市の市役所の同期は人数が多いため、きちんと把握していませんが、体感的には半数近くは既卒かなと感じました。
また、私は公務員学校の通学講座を受講していましたが、そこにいた人達は、現役大学生よりもむしろ既卒の方が多かったです。
そして、多くの既卒者が試験に合格していました。
そして実際に、消防署、町役場、政令指定都市で働いてきましたが、どの職場でも、先輩、後輩ともに既卒で入庁した人はたくさんいました。
2.既卒なら民間より公務員という選択
既卒だからと公務員を諦めるのではなく、既卒だからこそ公務員試験を受験する、という考え方もありです。
なぜなら既卒の場合、公務員よりも民間企業(年収が公務員と同程度の企業)に採用される方が難しいからです。
♦既卒で年収700万企業への就職はなかなか難しい
既卒でも、小さい企業や無名の企業に採用されることは、比較的簡単かもしれません。
しかし、新卒でも内定ゲットが難しいある程度大きい企業から、既卒者が内定をもらうことは大変です。
それに見合う優れた経歴や、高いコミュニケーション能力が求められます。
東京特別区(区役所職員)の平均年収は約700万円ですが、同程度の民間企業を既卒で受ける場合、それ相応のポテンシャルが必要です。
一方、公務員試験は、新卒か既卒かは全く関係のない、筆記試験でふるいに掛けられるため、既卒でも大いにチャンスがあります。
筆記試験を突破すれば、平均倍率1.5~3倍程度の人物試験(面接や集団討論)がありますが、大手民間企業の面接倍率に比べればかなり低いです。
つまり、既卒の方でも筆記試験を突破すれば、十分に内定をもらえる可能性があります。
3.既卒が受験する際にするべきこと

♦年齢制限に注意する
既卒でも合格は十分可能ですが、一つ注意する点があります。
それは公務員試験には受験の年齢制限があることです。
近年、全国的に公務員試験の年齢制限は引き上げられていますが、国家公務員・地方公務員共に年齢制限は30歳前後の官公庁が多いです。
■受験の年齢制限の例
- 地方公務員
- 東京消防庁(大卒程度):29歳
- 大阪市消防局:27歳
- 警視庁(大卒程度警察官):35歳
- 愛知県警(大卒程度警察官):33歳
- 北海道庁(大卒程度一般行政):30歳
- 宮城県庁(大卒程度):35歳
- 東京都庁(大卒程度):29歳
- 仙台市役所(大卒程度):35歳
- 特別区(大卒程度事務):31歳
- 福岡市役所(大卒程度行政事務):29歳
- 国家公務員
- 国家総合職(大卒程度):30歳
- 国家一般職(大卒程度):30歳
- 国税専門官:30歳
- 財務専門官:30歳
- 労働基準監督官:30歳
これはほんの一例です。
30代後半や40代でも受験できる官公庁はあります。
逆に制限が24歳までとケチ臭い官公庁もあります。
年齢制限は変更される可能性があるので、受験を検討する際は必ず自分で確認してください。
- 【関連記事】都道府県庁採用試験の年齢制限が気になる方はこちら
- ⇒都道府県庁は何歳まで受けられる?年齢制限を一覧で紹介します
♦採用倍率を確認する
近年の公務員試験の採用倍率は、だいたい5~7倍程度が平均的です。
しかし試験によっては3倍を切ったり、逆に20倍を超えることもあります。
また、受験先によって筆記試験の倍率が高いのか、人物試験の倍率が高いのかも変わってきます。
どこを志望先とするかは自分のスペックと相談する必要あり。
以前に比べ、公務員試験の倍率は全体的に低下傾向なので、チャンスは十分あります。
- 【関連記事】公務員試験の採用倍率が知りたい人はこちら
- ⇒【特別区の倍率11年分】難易度は?全職種の採用試験倍率と分析
- ⇒ 消防士の採用倍率はどのくらい?【東京消防庁・政令指定都市消防局】
♦複数の試験を受ける
公務員を目指すと決めたら、次はどこを受験するか決めるわけですが、受験先を1つに絞る必要はありません。
「どうしてもここで働きたい!」、「ここ以外は嫌だ!」という考えがあれば別ですが、公務員試験では、複数併願することが一般的です。
闇雲にたくさん受けることはオススメしませんが、本命と親和性のある官公庁も受験することで、受かる確率は上がります。
また、1年に複数回試験を実施するところもあります。
例えば、警視庁による大卒程度の警察官試験は、年に3回実施。
1回目で筆記試験に落ちても2回目に再チャレンジ、2回目に面接試験で落ちても3回目にチャレンジ、そして合格というパターンも可能です。
受験する回数を年に1回と決め打ちすると、ものすごいプレッシャーを感じますが、何回もチャンスがあると思うと、少しは気が楽になります。
4.何歳でも受けられる?社会人経験枠
これまで紹介した一般採用枠と別に、社会人経験枠という別の採用区分を設けている官公庁も多いです。
♦実は何歳でも目指せる公務員
社会人経験枠は、民間企業や他の官公庁などで、一定の勤務経験を有する者が受験をすることができます。
「民間企業等職務経験者」、「社会人経験者」など呼び方は様々です。
職務経験4年以上など、各自治体の受験資格をクリアすれば、20代から50代まで幅広い年齢の方が受験できます。
■年齢制限の例
- 神奈川県庁(社会人経験者(副主幹級)):59歳まで
- 埼玉県庁(民間企業等職務経験者):59歳まで
- 千葉県庁(民間企業等職務経験者):59歳まで
- 新潟市役所(民間企業等職務経験者):59歳まで
- 神戸市役所(社会人):39歳まで
- 広島市役所(職務経験者):59歳まで
社会人経験採用試験の特徴としては、試験対策の時間があまり取れない社会人に配慮して、筆記試験のボリュームが一般採用枠に比べ少ないです。
その代わり、面接試験など人物試験を重視する傾向です。
- 【関連記事】社会人経験枠の詳しい採用倍率についてはこちら
- ⇒【公務員】社会人採用試験の倍率どのくらい?特別区・政令市の倍率一覧
♦あなたが受けられる採用枠は
■既卒で職歴がない人
⇒ 一般採用枠のみ
例:24歳のフリーター
■既卒で一般採用枠の年齢制限を超えているが、職務経験年数をクリアしている人
⇒ 社会人経験枠のみ
例:34歳で民間での社会人経験10年
■既卒で一般採用枠の年齢範囲内かつ、職務経験年数をクリアしている人
⇒ 一般採用枠と社会人経験枠
例:28歳で民間での社会人経験5年
受験資格は各官公庁によって違いますので、それぞれ確認してください。
- 【参考】令和3年度受験案内
- 川崎市(民間企業等職務経験者) ⇒
受験案内 - 新潟市(民間企業等職務経験者) ⇒ 受験案内
- 川崎市(民間企業等職務経験者) ⇒
中には職歴を必要としない社会人経験枠もあります。
社会人経験枠は年齢制限が緩く筆記試験のハードルが低いため、どの官公庁でも毎年たくさんの人が受験しています。
しかし、社会人経験枠は一般採用枠よりも採用数がかなり少ないため、競争倍率はものすごく高くなります。
令和3年度の社会人枠の採用倍率の一例です。
- 札幌市(社会人経験者 一般事務):26.0倍
- 仙台市(社会人経験者 事務):13.2倍
- 横浜市(社会人 事務):28.2倍
これはほんの一例、中には60倍を超えるところや、逆に10倍を切るところもあります。
社会人経験枠だと倍率は高くなる傾向ですが、既卒で受験する人の選択肢の一つになります。
5.既卒が受かるには通学?通信?独学?

どうやって試験勉強に取り組むか、これは多くの人が迷うところですね。
公務員試験の勉強は以下の3つに分けられます。
- 公務員学校に通って講義を受講する通学講座
- Web動画や送られてくる教材で学ぶ通信講座
- 自分で参考書を選んで勉強する独学
♦お金と時間に余裕があれば通学
お金と時間があれば、公務員学校や資格スクールの通学講座をオススメします。
通学して講座を受講すれば、講師に分からない問題を直接質問できますし、学校から試験情報の提供もあります。
公務員試験では、情報があるだけで他の受験生に差をつけることが可能です。
また、筆記試験のみならず、面接や集団討論の対策をしてくれる学校も多いため、最終合格の可能性も高まります。
さらに、通学すると周囲にはたくさんのライバルがいることから、モチベーションアップに繋がりますし、高い受講料を払っているので、怠けることは少なくなります。
受講料は、公務員1年目の給料ですぐ返せるので、将来への投資をケチるのはもったいないです。
- 【関連記事】予備校に通っても落ちる人の特徴はこちら
- ⇒【予備校通っても公務員試験に落ちる人の特徴】主体的な独学者が強い
♦通信と独学でも合格可能
ただ、通信講座や独学では決して受からないわけではありません。
どちらも十分受かります。
お金が厳しい方や、社会人で通学が難しい方は独学か通信で戦いましょう。
私自身も、政令指定都市の事務職を受けたときは独学でした。
独学の場合は、通学講座や通信講座以上に、試験情報の収集を主体的に取り組んでください。
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