採用試験を受ける上で、志望先の過去の採用倍率を知ることは非常に重要です。
過去数年の採用倍率を見ることで、その消防本部のおおよその倍率、そして1次試験を重要視しているのか、2次試験を重要視しているのかを把握することができます。
ちなみに令和4年度の消防白書によると現在日本に設置されている消防本部の数は723。
今回はその中でも、日本で一番大きな消防組織である東京消防庁と全国に20市ある政令指定都市の消防局、合わせて21消防本部の過去の採用倍率を調べました。
【この記事を書いた人】
・政令市の消防士と行政職、町役場を経験
・公務員試験は独学・予備校両方で合格を経験
・YouTube ⇒ ハチサン公務員
★目次
- 各消防本部の採用倍率
- 採用倍率ランキング
- 書籍紹介
1.各消防本部の採用倍率
今回紹介するのは主に大卒程度区分の採用倍率です。
- 札幌市消防局
- 仙台市消防局
- さいたま市消防局
- 千葉市消防局
- 東京消防庁専門系
- 東京消防庁Ⅰ類
- 東京消防庁Ⅱ類
- 横浜市消防局
- 相模原市消防局
- 川崎市消防局
- 新潟市消防局
- 静岡市消防局
- 浜松市消防局
- 名古屋市消防局
- 京都市消防局
- 大阪市消防局(男性)
- 大阪市消防局(女性)
- 堺市消防局
- 神戸市消防局
- 岡山市消防局
- 広島市消防局
- 北九州市消防局
- 福岡市消防局
- 熊本市消防局
※2次(3次)試験の受験者数データがないところは「1次(2次)試験合格者数 / 2次(3次)試験合格者数」で2次(3次)倍率を計算しています。入力ミスがないように心掛けていますが、志望先の数値についてはご自身でもしっかり確認してください。
表で1次➀・1次②や2次➀・2次②と記載しているのは、1次試験内で2段階、もしくは2次試験内で2段階の試験があることを示しています。
♦①札幌市消防局
政令指定都市の消防局としては日本で一番北に位置しています。
競争倍率は比較的低く、2年連続で受験者が減少しています。
♦②仙台市消防局
東北地方で最も大きい消防局です。
仙台市は平均的な採用倍率です。
♦③さいたま市消防局
さいたま市消防局の採用倍率は例年高めです。
しかし、300人を超えていた受験者数が近年200人を切っています。
♦④千葉市消防局
千葉市は毎年採用倍率が高い難関消防局でしたが、ここ数年で一気に倍率が低下しました。
ここで紹介している採用倍率は、一番代表的な採用区分である「消防士行政」です。
♦⑤東京消防庁専門系
東京消防庁専門系の合格者は将来の幹部候補として採用されます。
おそらく給料は日本の消防士の中で最も高いでしょう。
最終倍率はそれほど高くありませんが、消防士の採用試験では珍しく、教養試験だけでなく専門試験も課されます。
令和5年度試験は近年稀に見る低倍率となりました。
♦⑥東京消防庁Ⅰ類
大卒区分である東京消防庁Ⅰ類の採用倍率は、ここ数年でかなり採用倍率が下がってきています。
例年、年に2回試験が実施され、採用予定数が少ない2回目の方が倍率は高くなる傾向です。
ただ、令和3年度のⅠ類採用試験は1回だけの実施でした。
「日本で一番大きい消防組織だから」、「試験日程が他と被らないから滑り止めとして」理由は様々ですが、日本各地から受験する人が多いのが特徴です。
■Ⅰ類1回目
■Ⅰ類2回目
♦⑦東京消防庁Ⅱ類
東京消防庁Ⅱ類は短大卒程度のためⅠ類より給料は若干低くなりますが、大卒でも受験することができます。
これまでは競争倍率がかなり高かったのですが、ここ数年は倍率にバラつきがあります。
平成28年度の受験倍率はなんと39倍。
Ⅱ類は1次試験に合格しても2次試験で辞退する人が多いです。
♦⑧横浜市消防局
横浜市消防局は東京消防庁、大阪市消防局に次ぐ規模の消防本部です。
関東の政令市消防局・東京消防庁の中で最も採用倍率が低い消防本部です。
表は消防一般区分の採用倍率。
♦⑨相模原市消防局
相模原市消防局は平均的な採用倍率です。
令和元年までは年に2回試験が実施されていました。
♦⑩川崎市消防局
かつては400人以上の受験者がいましたが、令和5年度の受験者は170人まで落ち込みました。
平均的な採用倍率と言えます。
♦⑪新潟市消防局
新潟市消防局の採用区分は採用時期によってAとBに分かれています。
A区分が一般的で翌年4月1日もしくは9月1日採用、B区分は実施年の9月1日採用と採用時期が違います。
■消防士A
A区分は1次試験の採用倍率が低い代わりに、2次試験の倍率がかなり高くなっています。
■消防士B
B区分は政令市の中で1次試験の採用倍率が最も低いです。
♦⑫静岡市消防局
静岡市消防局の2次試験の採用倍率は基本的に2倍以下。
1次試験が勝負所。
♦⑬浜松市消防局
浜松市消防局の1次倍率はかなり低いため、筆記が苦手な人にはオススメ。
ただ、試験は3次試験まであります。
♦⑭名古屋市消防局
東京、大阪、横浜に次ぐ規模の大きい消防局です。
平成30年の採用試験だけ10倍を超えましたが、基本的には低めの採用倍率です。
♦⑮京都市消防局
令和2年度まで採用時期で試験がAとBに分かれていましたが、令和3年度以降は4月採用のA区分のみです。
2年連続で倍率は低くなっています。
♦⑯大阪市消防局(男性)
西日本でも最も大きい消防局であり、採用時期がⅠとⅡで分かれています。
2次倍率が低いのが特徴です。
■消防吏員AⅠ
1次試験が2段階に分かれている一方、2次試験の倍率は例年2倍を切っています。
■消防吏員AⅡ
AⅡと比べて倍率はかなり低めです。
♦⑰大阪市消防局(女性)
大阪市消防局の女性採用区分です。
こちらも採用時期がⅠとⅡで分かれています。
■消防吏員AⅠ
年度によって採用倍率に差があります。
■消防吏員AⅡ
女性区分でなおかつ採用時期が4月ではないので、かなり倍率は低い傾向です。
♦⑱堺市消防局
堺市消防局は同じ大阪府にある大阪市消防局とは反対に、2次倍率が毎年高いです。
■消防士A
採用倍率にかなり波があります。
■消防士B
A区分に比べて採用倍率は安定しています。
♦⑲神戸市消防局
神戸市消防局の採用倍率は平均的です。
採用区分は総合、土木、建築など複数分かれていますが、ここでは代表的な採用区分の総合の倍率を掲載しています。
♦⑳岡山市消防局
詳細データはありません。
やや低めの採用倍率です。
♦㉑広島市消防局
中国地方で最も大きい消防局です。
試験は3次試験まであります。
10倍超えは当たり前、近年は最難関の消防局です。
♦㉒北九州市消防局
北九州消防局は1次試験の倍率が例年非常に高くなっています。
逆に2次倍率は連続して2倍以下。
♦㉓福岡市消防局
福岡市消防局は九州で一番大きい消防局。
そのため競争倍率は非常に高いです。
特に1次試験の倍率が高い傾向です。
♦㉔熊本市消防局
政令指定都市の中で一番南に位置している消防局です。
採用倍率は例年10倍を超えていましたが、ここ数年は連続して倍率が低下しています。
二次倍率が常に2.0倍という珍しい特徴があります。
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2.採用倍率ランキング
各消防本部採用倍率の平均データをランキングにして紹介します。
♦1次倍率
1次試験の平均採用倍率が高い順に掲載しています。
北九州消防局、福岡市消防局、熊本市消防局、九州にあるこの3つ消防局の平均1次倍率は5倍を超えており、筆記試験の難易度がかなり高いと言えます。
ちなみに1次倍率の中央値は3.0倍。
♦2次・3次倍率
2次倍率の平均、3次試験まである消防本部は2次と3次の合計倍率の平均を出しています。
新潟市消防局のA区分は1次試験を突破しても2次試験でかなり落とされます。
一方、大阪市消防局の2次倍率はどの区分でも2倍以下。
2・3次倍率の中央値は2.2倍。
♦最終倍率
最終的な平均採用倍率について高い順に掲載しています。
採用倍率が高いのは広島市消防局と福岡市消防局という結果になりました。
このほかの消防局でも年度によってかなり倍率が上がることもありますが、広島市と福岡市は安定してい高倍率を維持しています。
広島市は政令指定都市でありながら、採用人数が8年連続して6名以下とかなり少ないため、毎年採用倍率が高くなっています。
しかも8年連続で10倍超え、3年連続で15倍超え。
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3.書籍紹介
『消防官試験 早わかりブック』
★目次
- 消防官になるには? 早わかりガイド
- どんなところが出る? 教養試験の攻略法
- キミは解けるか? 過去問の徹底研究
- これで受かる? 実力判定&学習法アドバイス
消防官採用試験について基本的なことから書いてあるので、この本を読むことで採用試験の概要を知ることができます。
また、問題の出題傾向も書いてあるので勉強する際にも使えます。
そして実際の過去問も収録されています。
消防官を目指す人にとっては万能的な本です。
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消防士を目指す場合、どの公務員予備校を選べばいいか迷いますよね。
以下の記事では公務員予備校14校の料金や特徴、通学はあるのか?通信はあるのか?など分かりやすくまとめています。