今回は公務員試験の採用倍率、中でも社会人採用区分(事務職・行政職)の倍率が気になる方に向けた記事です。
この記事をを見ればどこの自治体が狙い目か分かります。
【この記事を書いた人】
・政令市の消防士と行政職、町役場を経験
・公務員試験は独学・予備校両方で合格を経験
・YouTube ⇒ ハチサン公務員
★目次
- はじめに
- 各自治体の採用倍率
- 採用倍率ランキング
- 参考書籍
- まとめ
1.はじめに
♦社会人経験枠について
市役所などの事務職を目指す場合、基本的に試験は「一般採用枠」か「社会人経験枠(呼び方は様々)」で受験することになります。
一般採用枠の場合は自治体によってバラバラですが、だいたい受験の年齢制限が30歳前後。
社会人経験枠の場合、30代、40代と年齢を重ねても受験ができる自治体が多く、50代で受験可能な自治体もあります。
社会人経験枠の多くは「職歴が〇年以上」などの受験資格を求める場合が多いです。
一般採用枠に比べ筆記試験の難易度が低く、敷居が低いため多くの人が受験します。
一方で、採用人数は一般採用枠に比べ少ないため、採用倍率がかなり高くなります。
♦政令指定都市と特別区の倍率を紹介
今回は、社会人経験枠の難易度が分かるように、政令指定都市と特別区の事務職採用試験における、過去数年間の採用倍率を掲載。
その他の官公庁の社会人採用を考えている方にとっても、難易度の目安になると思います。
ぜひ参考にしてください。
※数字については間違いのないように注意を払っていますが、志望先の倍率についてはご自身でもきちんと確認してください。
2.各自治体の採用倍率
ここで紹介する政令指定都市および特別区の一覧です。
- 札幌市 :社会人経験者 一般事務(行政コース)
- 仙台市 :社会人経験者 事務
- さいたま市:民間企業等経験者 行政事務
- 千葉市 :民間企業等職務経験者 事務(行政)
- 特別区 :経験者1級職 事務(一般事務)
- 特別区 :経験者2級職 事務(一般事務)
- 横浜市 :社会人 事務
- 川崎市 :経験者 行政事務
- 相模原市 :ー
- 新潟市 :民間企業等職務経験者 一般行政
- 静岡市 :事務 創造力枠
- 浜松市 :ー
- 名古屋市 :職務経験者 行政A
- 京都市 :民間企業等職務経験者 一般事務(行政)
- 大阪市 :事務行政(26-34)
- 堺市 :社会人 事務
- 神戸市 :経験者 総合行政
- 岡山市 :ー
- 広島市 :経験者 行政事務
- 北九州市 :行政Ⅱ
- 福岡市 :社会人経験者 行政(一般)
- 熊本市 :社会人経験者 事務職
相模原市・浜松市・岡山市は、ここ数年社会人経験者枠(事務職)での採用試験はありません。
※2次(3次)試験の受験者数が不明な場合、2次(3次)倍率は「1次(2次)合格者÷2次(3次)合格者」の概算で算出。1次試験が2段階に分けれている自治体は1次➀、1次②などと表記しています。
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♦①札幌市:社会人経験者 一般事務(行政コース)
札幌市の1次倍率は例年かなり高いです。
平成30年度の1次試験は743人が受験して、合格したのはわずか35人のみ。
♦②仙台市:社会人経験者 事務
仙台市の採用倍率は社会人採用区分の中では比較的低い方です。
特に2次試験の採用倍率がものずごく低いため、人物試験が苦手な方にオススメです。
♦③さいたま市:民間企業等経験者 行政事務
さいたま市の平均採用倍率は関東の政令市・特別区の中で最も高いです。
特に1次倍率が高くなる傾向です。
♦④千葉市:民間企業等職務経験者 事務(行政)
平成28年度の採用倍率は136倍と伝説的な数字を叩き出しました。
普段は平均的な採用倍率です。
♦⑤特別区:経験者1級職 事務(一般事務)
特別区(1級職)は、社会人経験者枠がある大きな都市の中で最も採用倍率が低い自治体です。
平成30年度採用倍率は社会人枠では異例の3.6倍という低さ。
ちなみに1級職は係員の業務を行う職です。
♦⑥特別区:経験者2級職 事務(一般事務)
特別区(2級職)も1級職と並んで例年採用倍率が低いです。
2級職は係長昇任を前提とした、係長を補佐する職のため1級職より給料が高いです。
受験者は4年連続減少中。
♦⑦横浜市:社会人 事務
横浜市の社会人採用枠は平均的な採用倍率です。
5年連続で受験者が減少しています。
♦⑧川崎市:経験者 行政事務
同じ神奈川県内の横浜市と違い、川崎市は1次の倍率が例年高くなる傾向です。
令和3年度は試験が2回実施されました。
♦⑨相模原市:-
ここ数年、相模原市では社会人経験者枠での事務職採用試験はありません。
♦⑩新潟市:民間企業等職務経験者 一般行政
新潟市の採用倍率は例年非常に高いです。
政令市の社会人枠の中では最難関と言えます。
一方で1次試験の採用倍率は他の自治体に比べ低い傾向。
♦⑪静岡市:事務 創造力枠
創造力枠は純粋な社会人経験枠ではありません。
高い知識、能力もしくは経験がある人に向けた採用枠です。
年齢制限は40歳以内ですが新卒でも受験可能。
3年連続して受験者が減少中。
♦⑫浜松市:民間企業等経験者 行政
ここ5年間、社会人枠の採用がありません。
ただ、平成30年度の採用倍率は97倍。
97人受験して、合格者はわずか1名。
♦⑬名古屋市:職務経験者 行政A
名古屋市は2・3次試験の倍率がかなり高いです。
2次試験でしっかり落とされて、3次試験でもしっかり落とされます。
その代わり1次倍率はかなり低め。
♦⑭京都市:民間企業等職務経験者 一般事務(行政)
京都市は受験者が5年連続して減少。
関西政令市の中では最も倍率が高い自治体です。
♦⑮大阪市:事務行政(26-34)
事務行政(26-34)は純粋な社会人経験枠ではありません。
職歴・学歴問わず34歳まで受験することが可能です。
♦⑯堺市:社会人 事務
堺市の社会人枠の採用倍率は平均的です。
近年は連続して20倍を切っています。
♦⑰神戸市:経験者 総合行政
神戸市の社会人枠は1次倍率が低く、2・3次倍率が高くなる傾向です。
令和5年度からは総合事務や福祉など複数あった職種が統合して、「総合行政職」として年に4回試験が実施されます。
♦⑱岡山市:-
ここ数年、岡山市では社会人経験者枠での事務職採用試験はありません。
♦⑲広島市:経験者 行政事務
広島市の社会人枠はかつてものすごい採用倍率でしたが、近年は急激に低下しています。
令和4年度は遂に7倍を切りました。
♦⑳北九州市:行政Ⅱ
ここ数年、北九州市では社会人経験者枠での事務職採用試験がありませんでしたが、令和5年度、8年ぶりに再会されました。
受験するためには5年以上の職務経験が必要です。
♦㉑福岡市:社会人経験者 行政(一般)
福岡市は新潟市に次いで平均採用倍率が高いです。
特に1次試験は、政令指定都市と特別区の中で最も難易度が高くなっています
♦㉒熊本市:社会人経験者 事務職
熊本市は福岡市同様に、1次試験の倍率が高くなる傾向です。
令和2年度と令和3年度は2つの採用時期に分けて試験が実施されました。
そして令和4年度からは新たに1分程度の動画審査が導入されています。
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3.採用倍率ランキング
♦1次倍率ランキング
1次試験の倍率が高いのはダントツで福岡市でした。
低い年度でも採用倍率は10倍を超えています。
一方、広島市と名古屋市は基本的に2倍前後を推移しています。
中央値は4.8倍。
筆記試験が苦手な方は、1次試験の倍率が低い自治体を受けることをオススメします。
♦2・3次倍率ランキング
3次試験まである自治体は2次試験と3次試験のまとめた倍率です。
新潟市は3次試験まであり、2次試験の平均倍率が4.8倍、3次試験が平均3.2倍と非常にレベルが高いです。
2位の名古屋市とも圧倒的な差があります。
一方、仙台市の2次試験は常に2倍以下なので、1次試験さえ突破さえすれば何とかなります。
北九州市はサンプルが1年しかないので今後どうなるか。
中央値2.9倍。
♦最終倍率ランキング
平均倍率を算出した結果、新潟市、福岡市の採用倍率が非常に高いことが分かりました。
新潟市は令和4年度に1度倍率が20倍を切りましたが、福岡市、札幌市、さいたま市は過去5年間1度も20倍を切ったことがなく安定して超高倍率です。
あくまで平均の数字ですので、年度によって採用倍率は大きく変わります。
例えば単年度だけで言えば、千葉市の平成28年度の採用倍率が136倍というありえない数字を記録しています。
そして、採用倍率の中央値は19.3倍なので、特別区の採用倍率がいかに低いかが分かります。
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4.参考書籍
「社会人が受けられる公務員試験 早わかりブック」
★目次
- 公務員ここがイイ!
- 早わかりガイド
- 教養試験の攻略法
- 過去問の徹底研究
- 実力判定&学習法アドバイス
- 付録:適性試験
- 別冊:過去問模試
こちらは実務教育出版から発行されている社会人に向けた公務員試験の概要本です。
国家公務員試験、地方公務員試験の試験概要がかかれているため、公務員試験の基本的な流れや出題傾向などを知ることができます。
公務員を目指すと決めたら、最初の1冊におすすめです。
実際に出題された過去問も掲載されているので、勉強に使うこともできます。
5.まとめ
社会人経験枠は採用倍率が非常に高いですが、自治体によってかなり差があります。
日程が被らないのであれば、複数受験することも方法の1つです。
筆記試験が得意か人物試験が得意かによって受かりやすいかどうかも変わってきます。
1次試験は筆記試験、2次試験は人物試験という所が多いので、各自治体の倍率を参考にして志望先を選ぶことも大事。