今回は、千葉県庁の公務員試験で実施されている集団討論(グループディスカッション)について。
令和4年度、元年度、平成30年度の採用試験で実際に出題されたテーマを紹介します。
令和2年度、3年度については、新型コロナウイルスの影響で集団討論は中止となりました。
※千葉県庁では令和5年度より集団討論が廃止されました。
【この記事を書いた人】
・政令市の消防士と行政職、町役場を経験
・公務員試験は独学・予備校の両方を経験
・YouTube ⇒ ハチサン公務員
★目次
- 概要
・配点 - 平成30年度の課題
・一般行政B以外
・一般行政B - 令和元年度の課題
・一般行政B以外
・一般行政B - 令和4年度の課題
・一般行政B以外
・一般行政B - まとめ
1.概要
千葉県庁の集団討論は、上級職の第2次試験で実施されますが、一般行政Bとその他の職種では、課題が異なります。
一般行政B以外のその他の職種とは以下のとおりです。
一般行政A、心理、児童指導員、農業、林業、水産、畜産、農業土木、土木、建築、化学、電気、機械
一般行政Bは一般行政Aと違い、専門試験は実施されず、代わりにプレゼンテーションが実施されます。
受験できる年齢の上限は高めですが、採用人数も少ないです。
♦配点(令和4年度)
最終合格者は2次試験の合計点で決定され、1次試験の点数は反映されません。
集団討論の点数は、人物試験400点の中で、何点配分されているか分かりません。
■一般行政B以外
- 1次試験:200点
- 教養試験:100点
- 専門試験:100点
- 2次試験:500点
- 論文試験:100点
- 人物試験:400点
・個別面接
・集団討論
・適性検査
■一般行政B
- 1次試験:100点
- 教養試験:100点
- 2次試験:500点
- 論文試験:100点
- 人物試験:400点
・個別面接
・集団討論
・適性検査
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2.平成30年度の課題
♦一般行政B以外
■課題
高齢者ドライバーによる交通事故の防止対策として、効果的と思われる施策に優先順位をつけて、3つ挙げなさい。
■メモ
まず、気を付けてほしいことは、高齢者ドライバーが起こす交通事故の件数は、そこまで増加していないということです。
下のグラフは警視庁のものです。
高齢運転者による交通事故件数が、逓減していることが分かります。
それでも割合でいえば逓増傾向です。
対策としては、自主返納を促す取り組み(運賃割引制度・公共交通機関の拡充等)や運転技術の維持(技術指導・健康維持等)、周囲への意識付け(もみじマーク装着率の上昇等)などが考えられます。
千葉県内の複数の自治体や各交通事業所では、運転免許を自主返納した方に、乗車運賃割引など優遇措置を行っています。
例えば南房総市では、自主返納者に対し市営バスの乗車運賃を半額に。
詳しい割引内容などはこちらから確認可能 ⇒ 「千葉県警察:運転免許自主返納支援措置」
また、警察庁は、過去3年間で違反歴のある75歳以上の免許更新者を対象に、実車試験を導入することを決めています。
2022年6月までに導入する予定です。
♦一般行政B
■課題
このたび、皆さんは、20歳代の若者向けに千葉県の魅力について広報活動を行うことになりました。
皆さんで話し合って、広報企画を1つに絞り、企画の趣旨、媒体、特徴なども含めて発表してください。
■メモ
考えるポイントはいろいろありますね。
- ターゲットの性別は?
- 男
- 女
- LGBT
- 性別不問など
- 企画は一人向けは複数人向けか?
- 個人
- 友達グループ
- カップル
- 子連れの夫婦など
- どこい住んでいる人に向けて?
- 県内在住者
- 県外在住者
- 外国に住んでいる外国人など
- 発信する魅力のジャンルは?
- レジャー系
- 生活環境
- 企業や仕事など
- 魅力を伝えてどうしたい?
- 千葉県に住んでほしい
- 千葉県に観光に訪れてほしい
- 千葉県内の企業で働いてほしいなど
また、広報に利用する媒体には以下のようなものが考えられます。
テレビ番組、テレビCM、ラジオ、ラジオCM、映画、新聞、雑誌、広報誌、フリーペーパー、屋外広告、インターネット、YouTube、SNSなど。
ちなみ、毎年ブランド総合研究所によって行われている「都道府県魅力度等調査」の2020年の、千葉県及び周辺自治体のランキングは以下のとおりです。
- 4位:東京都
- 5位:神奈川県
- 21位:千葉県
- 38位:埼玉県
- 40位:群馬県
- 42位:茨城県
- 47位:栃木県
千葉県は全国的にみると、平均より少し上の魅力度みたいです。
3.令和元年度の課題
♦一般行政B以外
■課題
現在、労働力人口の減少が深刻な問題となっている。
この問題への対策として、千葉県としては何を行うべきか、優先順位をつけ、3つ挙げなさい。
■メモ
まず、労働力人口とは15歳以上の就業者と完全失業者のことを言います。
- 15歳未満
- 15歳以上
- 労働力人口
・就業者
・完全失業者
- 非労働力人口
・通学
・家事
・その他(高齢者など)
- 労働力人口
日本の人口減少に伴い、労働力人口が減少している都道府県もありますが、まだ増加している地域もあります。
総務省統計局のデータによると、労働力人口が5年以上連続して増加している地域は、以下の11都府県です。
- 埼玉県
- 千葉県
- 東京都
- 岐阜県
- 愛知県
- 京都府
- 大阪府
- 広島県
- 福岡県
- 熊本県
- 沖縄県
千葉県も今のところ、9年連続で労働力人口は増加しているので、今後の減少を見越しての課題と思われます。
◎千葉県の労働力人口の推移
年 | 総人口 | 15歳以上人口 | 労働力人口 |
2016 | 624.0万人 | 546.8万人 | 333.6万人 |
2017 | 625.6万人 | 548.5万人 | 336.0万人 |
2018 | 626.9万人 | 550.1万人 | 339.5万人 |
2019 | 627.9万人 | 551.5万人 | 342.2万人 |
2020 | 628.1万人 | 552.5万人 | 344.3万人 |
対策としては、大きく分けて2つあります。
- 労働力人口を増やす・維持する
- 1人1人の労働生産性を上げる
人口の増減だけではなく、生産性からもアプローチ可能です。
♦一般行政B
■課題
食品ロス(まだ食べられるのに廃棄される食品)を減らすために、どのような取組を行うことが効果的か、グループで話し合いなさい。
■メモ
食品ロスには、大きく分けて2つあります。
- 家庭系食品ロス:各家庭から発生するもの
- 事業系食品ロス:スーパーやコンビニ、飲食店など企業から発生するもの
日本では、年間に約500万tの食品ロスが発生しています。
内訳は以下のとおりです。
家庭から出る食品ロスと、企業から出る食品ロス、それぞれを減らす取り組みを考えなければいけません。
◎家庭系食品ロス対策
家庭系の対策としては、各家庭が日頃から食品ロスについて意識を高める必要があります。
- 必要以上に買わない
- 過剰に料理を作らない
- 余ったものは、捨てずに翌日に食べる
意識向上の手助けとして、マスコミや官公庁、学校などによって、食品ロスについて知識・情報を発信していくことは大切です。
◎事業系食品ロス対策
- フードバンク活動の推進
- 3010運動の普及
- 飲食店で残りものの持ち帰りをOKにする
フードバンク活動とは、処分されてしまう食品を企業から寄贈してもらい、福祉施設や生活困窮者などに提供する活動のことです。
「3010運動」についてですが、飲み会などの宴会では話に夢中になり、出された料理を残してしまうことがよくありますよね。
そういった宴会の際の食べ残しを減らすために、最初の30分と終わりの10分は、自分の席で食事をしましょう、という取り組みが「3010運動」です。
これは長野県松本市が発祥の運動です。
また、今の飲食店は、残り物の持ち帰りについて、一律NGにしているところが多いですよね。
ただ徐々に、自己責任で持ち帰りをOKとする飲食店も出てきています。
ファミレスのロイヤルホストやサイゼリヤなどは、「生ものは禁止」などルールを決めて、持ち帰りを可能としています。
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4.令和4年度の課題
♦一般行政B以外
■課題
アフターコロナにおいて、千葉県はどのような取組により、何を目標としていくべきか、グループで話し合いなさい。
♦一般行政B
■課題
誰もが何度でも訪れたくなる魅力ある観光地づくりのために、本県が取り組むべき施策は何か。
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5.まとめ
千葉県庁の集団討論における、実際の課題について紹介しました。
集団討論では、テクニックや技術をを習得することも大事ですが、討論するための知識も必須です。
いくら討論が得意でも、話せる内容がなければ元も子もないありません。
出題されそうなテーマの基本的な知識は頭に入れておきましょう。