今回は、府庁及び県庁の事務職・行政職(大卒程度)を目指している方に向けた記事です。
【この記事を書いた人】
・政令市の消防士と行政職、町役場を経験
・公務員試験は独学・予備校両方で合格を経験
・YouTube ⇒ ハチサン公務員
★目次
- はじめに
- 府庁・県庁掲載一覧
- 各採用倍率一覧
- 採用倍率ランキング
- まとめ
1.はじめに
公務員を志望するにあたり、過去の採用倍率を把握しておくことはとても重要です。
自分の実力と見合わない高倍率の自治体を志望すると、かなり難しい戦いになります。
さらに、採用倍率を見ることで、志望先の1次試験のハードルが高いのか2次試験のハードルが高いのかを知ることができます。
これは自治体によって、筆記試験と人物試験の重要度や配点が違うからです。
この記事では、中部地方と関西地方にある府庁、及び県庁の採用倍率を過去数年分まとめています。
これを見て、自分の興味がある府庁・県庁が難しそうだと感じたら、隣の県庁もしくは市役所に第一志望を変えるなど、作戦変更することも選択肢に入れてみてください。
面接が死ぬほど苦手で、2次試験(面接試験)の倍率がもの凄く高い県庁を受けようと思っている人は、再検討が必要かもしれません。
2.府庁・県庁掲載一覧
この記事で掲載している自治体は以下のとおりです。
新潟県庁、山梨県庁、長野県庁、静岡県庁は東日本版で掲載しています。
- 富山県庁
・総合行政 - 石川県庁
・行政 - 福井県庁
・行政、行政(アピール型) - 岐阜県庁
・行政Ⅰ、行政Ⅱ - 愛知県庁
・行政Ⅰ、行政Ⅱ - 三重県庁
・行政Ⅰ、行政Ⅱ - 滋賀県庁
・行政(専門試験型)、行政(アピール試験型) - 京都府庁
・行政A、行政B、行政A(10月) - 大阪府庁
・行政、行政(26-34) - 兵庫県庁
・一般事務 - 奈良県庁
・行政、行政アピール型 - 和歌山県庁
・一般行政職通常枠、一般行政職特別枠
最近は同じ県庁の事務職採用試験でも、年齢別や試験方法の違いなどにより、複数の採用枠が設けられるようになってきました。
例えば、京都府庁の大卒程度の事務職採用試験は、同じ事務職でありながら採用試験は3回あります。
筆記試験が苦手で、何かアピールするものを持っていれば特別枠で受験するのもありです。
3.各採用倍率一覧
各府庁、県庁の公式HPを参考にまとめています。
※2次(3次)受験者数が不明な場合、1次(2次)合格者÷2次(3次)合格者で倍率を算出しています。1次試験が2段階に分かれている自治体は1次➀、1次②と記載しています。
志望先の数値は必ずご自身でも確認してください。
♦①富山県庁
■総合行政
令和5年度は、過去8年間で初めて採用倍率が3倍を割り込みました。
例年2次倍率がかなり低いです。
【関連記事】
⇒ 富山県庁採用試験の集団討論【5年分45問の例題】を紹介します
♦②石川県庁
■行政
中部地方、関西地方の県庁試験で2次試験の平均倍率が最も低いです。
1次試験が突破できれば最終合格する可能性は高い。
【関連記事】
⇒ 石川県庁の集団討論は配点が高め!過去の2年間の例題の掲載と考察
♦③福井県庁
■行政
令和5年度に採用数が一気に減少したことから、採用倍率も久しぶりに3倍を超えました。
受験者が3年連続減少。
■行政(アピール型)
令和4年度から開始された採用区分です。
まだ2年分のデータしかありませんが、今のところ最も平均倍率が低い採用試験です。
♦④岐阜県庁
■行政Ⅰ
岐阜県庁行政Ⅰは例年1次倍率が低い傾向です。
5年連続で2倍を切りました。
■行政Ⅱ
行政Ⅱは行政Ⅰと比べ、非常に採用倍率が高くなっています。
令和2年度から一気に受験者が急増したことが要因です。
♦⑤愛知県庁
■行政Ⅰ
愛知県庁の行政Ⅰ区分は平均的な採用倍率です。
中部地方、関西地方の大卒行政区分で最も採用人数が多いです。
■行政Ⅱ
行政Ⅰに比べ、平均的に倍率は高い傾向です。
特に2次試験の倍率が高く、令和5年度は5倍を記録しました。
♦⑥三重県庁
■行政Ⅰ
三重県庁行政Ⅰ区分は例年2次倍率が非常に低く、現在5年連続して2倍を切っています。
1次試験は他の県庁と比べても平均的な倍率です。
■行政Ⅱ
行政Ⅱ区分はこれまで3次試験まで実施していましたが、令和5年度より3次試験が廃止になりました。
令和5年度は受験者数が過去8年間で最少になりました。
♦⑦滋賀県庁
■行政(専門試験型)
受験者が3年連続で減少していますが、最終合格者はここ2年多くなっています。
その結果、採用倍率は3年連続で低下しています。
■行政(アピール試験型)
専門試験型に比べ、例年採用倍率が高いです。
特に1次試験が2段階に分かれており、1次でかなり絞られます。
♦⑧京都府庁
■行政A
京都府庁の3つの採用区分の中で最も採用倍率が低いです。
令和3年度は超低倍率の2.1倍でした。
■行政B
逆に行政Bの採用倍率は毎年高く、平均10倍を超えています。
ここ7年間で10倍を切ったのは1度だけ。
■行政A(10月)
行政Aの10月採用です。
年度によって採用倍率がかなり異なります。
♦⑨大阪府庁
■行政
愛知県庁行政Ⅰ区分と並んで受験者が多いのがこの大阪府庁行政区分。
1次倍率、2次倍率、3次倍率に大きさ差はありません。
■行政(26-34)
4年連続して受験者が減少しており、採用倍率も4年連続で低下中。
職歴、学歴関係なく受験ができます。
♦⑩兵庫県庁
■一般事務
兵庫県庁の採用試験情報は、受験者数と最終合格者数しか分かりません。
採用倍率は5倍前後で安定しています。
♦⑪奈良県庁
■行政
令和5年度は最終合格者数が過去8年で最多となり、採用倍率はなんと2倍を切りました。
1次試験と2次試験の倍率は同程度。
■行政アピール型
令和5年度より始まった採用区分です。
非常に多くの受験者が集まりました。
♦⑫和歌山県庁
■一般行政職通常枠
採用倍率が逓減しており、ここ数年は連続で4倍を切っています。
特に1次倍率は毎年低い傾向です。
■一般行政職特別枠
1次試験の平均倍率が1.2倍で中部・関西の府県庁の中で最も低い数字です。
ここ2年連続して全員通過しています。
4.採用倍率ランキング
♦1次倍率ランキング
中部・関西の府庁・県庁の平均1次倍率を高い順に並べています。
最も1次倍率が低いのは、和歌山県庁(一般行政特別枠)で1.2倍。
1次試験のみで考えれば、落ちる人の方が少ないということです。
逆に最も採用倍率が高いのは、奈良県庁の行政アピール型で5.2倍。
約5人中1人しか1次試験が受からないということですね。
ちなみに中央値は2.2倍、平均値は2.4倍です。
♦2・3次倍率ランキング
2次試験の倍率、そして3次試験まである試験は2次と3次を合わせた倍率を算出して、高い順に並べています。
中央値は1.9倍、平均値は2.2倍です。
平均すると2人に1人が合格するようです。
そう考えると1位の岐阜県(行政Ⅱ)は非常に高難易度。
♦最終倍率ランキング
中部・関西の府庁・県庁の平均倍率を高い順に並べています。
福井県(行政(アピール型))と京都府(行政A)の採用倍率が2.8倍と最も低く、岐阜県(行政Ⅱ)の採用倍率が20.8倍で最も高くなっています。
中央値は4.3倍、平均値は5.9倍。
5.まとめ
筆記試験が苦手な人は1次試験の倍率が低い自治体を、面接試験が苦手な人は2次試験の倍率が低い自治体を志望先として検討してみるといいかもしれません。
もちろん、興味のある自治体というのが大前提。
また、難易度が高い上の自治体を目指すことは素晴らしい事ですが、全く自信のない人が数十倍の自治体に挑むことは無謀かもしれません。
自分の実力と伸びしろを考慮して、志望先・滑り止めなどを選定しましょう。
♦オススメ参考書
「地方上級試験早わかりブック」
こちらは実務教育出版から発行されている、都道府県庁職員を目指す方に向けた公務員試験の概要本です。
★目次
- 地方公務員になるには? 早わかりガイド
- どんなところが出る? 教養・専門試験の攻略法
- キミは解けるか? 過去問の徹底研究
- これで受かる? 実力判定&学習法アドバイス
本の前半部分では公務員試験の流れや出題数などが記載されており、基本的な事項を解説してくれています。
後半には実際の過去問も掲載されているので勉強にも使えます。
公務員になると決めたら最初の1冊におすすめです。