公務員に興味がある人は、試験を併願すべきか専願で行くべきか迷っている人もいるかもしれません。

結論として専願はNGです。

必ず併願しましょう。

この記事では、最適な併願先の数、併願先を決めるための3つのポイント、実際の併願例などを詳しく説明しています。

【この記事を書いた人】
政令市の消防士と行政職、町役場を経験
公務員試験は独学・予備校の両方を経験
YouTube ハチサン公務員

目次

  1. 併願は必ず行うべき
    ・専願NG・受けすぎNGな理由
    ・併願数は2~5で十分
  2. 併願先を決めるポイント
    ・試験日程を確認する
    ・筆記の出題内容が近い併願先を選ぶ
    ・過去の採用倍率をチェックする
  3. 併願パターン
    ・オススメ併願例
    ・民間企業と公務員の併願
    ・縁もゆかりもない地域の併願
  4. まとめ

1.併願は必ず行うべき

専願NG・受けすぎNGな理由

専願はリスクが高い

公務員試験は、正しい方向に努力をしてきちんと対策を取れば、誰もが合格する可能性が十分あります。

ただ、基本的に公務員試験は、年に1回の一発勝負(年に数回試験を実施する官公庁もあり)。

もしも試験に落ちれば、また来年の試験まで1年間も待つことになります。

公務員試験を年に1回しか受けないことは、非常にリスクが高いため、複数の官公庁の試験を併願して受けることが一般的になっています。

受けすぎると日程がきつくなる

しかし、いくつも併願できるからといって、1年に7か所も8か所も闇雲に受験することはオススメしません。

仮に、たくさんの官公庁の1次試験が受験可能でも、その分、全体のスケジュールは過密になってしまいます。

運よく1次試験に複数合格した場合、複数同時に2次試験対策を進めていく必要がありますし、まだ1次試験が終わっていない官公庁の勉強も、継続して続けていく必要があります。

2次試験は面接や集団討論が実施されますが、対策には意外と多くの時間が必要です。

やるべきタスクが一気に増え、1つの試験対策に割ける時間が減るため、最悪、全滅になってしまう恐れもあるのです。

特に社会人など、試験対策に充てる時間が限られている受験者にはオススメできません。

先願で落ちたらまた来年

ただし、ここでしか絶対働きたくないという確固たる強い考えがある場合は、無理に併願する必要はありません。

その志望先に照準を当てた対策を行いましょう。

その代わり落ちた場合はまた1年後の挑戦になります。

ただ、民間・公務員志望に関わらず、1か所しか受験しない人はあまりはいないと思います。

併願数は2~4で十分

本命+1~3

先述したとおり、1回ではリスクが高いですが、たくさん受けすぎても対策が間に合わなくなります。

バランスを考えると、受験先の数は第一志望を含めて、2~4程度で十分です。

まずは本命の第1志望を1か所決めます。

試験対策にあまり時間を取ることができない人や、狙い撃ちして受かる自信がある人は、本命+1か所、もしくは2か所、合わせて2、3か所受ければ大丈夫です。

その分1つの試験対策に、しっかり時間を充てることができます。

それ以外の人は本命+3か所程度を限度と考えておきましょう。

第5、第6志望に受かったところで・・・

受けた1次試験にことごとく落ちる場合は、追加で受験先を増やすことは仕方ないですが、最初から大量に受けようと考える必要はありません。

仮に6か所以上の官公庁を受験して、運よく6番目に志望していた官公庁に合格したとしても、仕事のモチベーションは上がらないですよね。

また、予備校の中には、できる限りたくさん試験を受けるよう指示するところもあるかもしれません。

筆記試験の合格実績を上げるために指示することもあるので従う必要はないです。

ただ、試験の練習と割り切って受験する場合は、この限りではありません。

2.併願先を決めるポイント

併願先を決めるポイントは、大きく分けて以下の3つです。

  1. 試験日程
  2. 出題パターン
  3. 採用倍率

①試験日程を確認する

大前提として併願先は試験日程が被らない官公庁を選びましょう。

参考までに、令和5年度の主な公務員試験の日程を紹介します。

日程の変更可能性もあるのであくまで参考程度に。

【参考】令和5年度の試験日程

  • 4月1日(土)
    ・衆議院事務局(総合職)
    4月9日(日)
    ・国家総合職(院卒者)
    ・国家総合職(大卒者)
  • 4月15日(土)
    ・参議院法制局職員(総合職・総合職技術)
  • 4月16日(日)
    ・参議院事務局(総合職)
  • 4月22日(土)
    ・自衛隊幹部候補生(一般・第1回)
  • 4月29日(土)
    ・国立国会図書館職員
    ・警視庁Ⅰ類(第1回)
  • 4月30日(日)
    ・東京都(Ⅰ類B・事務)
    ・特別区(Ⅰ類・事務)
  • 5月13日(土)
    ・裁判所事務官
    ・家庭裁判所調査官補
  • 5月14日(日)
    ・海上保安学校学生(特別)
    ・東京消防庁(Ⅰ類1回目)
  • 5月20日(土)
    ・衆議院事務局(一般職・大卒程度)
  • 5月27日(土)
    ・国立国会図書館職員(障害者・係員級)
  • 6月4日(日)
    ・皇宮護衛官(大卒程度)
    ・法務省専門職員
    ・財務専門官
    ・国税専門官
    ・食品衛生監視員
    ・労働基準監督官
    ・航空管制官
    ・海上保安官
    ・防衛省専門職
  • 6月10日(土)
    ・外務省専門職(1日目)
  • 6月11日(日)
    ・国家一般職(大卒程度)
    ・外務省専門職(2日目)
  • 6月18日(日)
    ・地方上級
    ・市役所A日程
  • 6月24日(土)
    ・自衛隊幹部候補生(一般・第2回)
  • 7月9日(日)
    ・市役所B日程
  • 9月2日(土)
    ・衆議院事務局(一般職・高卒程度)
    ・衆議院事務局(衛視)
  • 9月3日(日)
    ・国家一般職(高卒程度)
    ・国家一般職(社会人試験)
    ・税務職員
  • 9月10日(日)
    ・裁判所事務官(一般職・高卒者区分)
  • 9月16日(土)
    ・防衛大学校学生(推薦・1日目)
    ・防衛大学校学生(総合選抜)
  • 9月17日(日)
    ・刑務官
    ・警視庁Ⅰ類(第2回)
    ・防衛大学校学生(推薦・2日目)
    ・市役所C日程
  • 9月18日(月)
    ・航空学生(自衛官)
  • 9月24日(日)
    ・皇宮護衛官(高卒程度)
    ・入国警備官
    ・航空保安大学校学生
    ・海上保安学校学生
    ・東京消防庁(Ⅰ類2回目)
  • 10月1日(日)
    ・国家総合職(大卒程度・教養区分)
  • 10月日28(土)
  • ・気象大学校学生
    ・海上保安大学校学生
    ・防衛大学校学生(一般)
  • 1月7日(日)
    ・警視庁Ⅰ類(第3回)

この試験日程は一部のみで、このほかの日にもいろんな官公庁が試験を実施しています。

極端な話、年齢などの受験資格をクリアしていれば、1年に20か所以上の公務員試験を受けることも可能です。

【関連記事】
⇒【47都道府県警掲載】警察官採用試験の日程一覧!採用案内も再確認

年に複数回試験を実施する所も

基本的に、公務員試験はそれぞれ年に1回実施されますが、実施機関によっては同じ区分で、年に複数回試験を実施しているところもあります。

例えば、警視庁は4月、10月、1月の年3回試験を実施しているので、もし4月の試験に落ちたとしても、10月、1月でリベンジすることができます。

もしも、本命や第二志望先が複数回試験を実施している場合は、併願先を増やすのではなく、同じ試験を何回も受けるべきです。

いろんな官公庁の試験を受けるよりも、同じ試験を複数回受けた方が、筆記試験対策・人物試験対策ともに負担は少なくて済みます。

②筆記の出題内容が近い併願先を選ぶ

筆記試験の内容は公務員試験によってバラバラです。

まずは試験内容を把握することから始めましょう。

試験内容が離れると対策は難しい

実施されている試験内容の違いが大きいほど、試験対策は取りづらいです。

◎例1:警察・消防 ⇒ 国家一般職

まず分かりやすく極端な話をします。

たとえば、警察官や消防士を本命としている人が、国家一般職を併願先として選ぶことは避けるべきです。

公安系の試験のほとんどは教養試験のみですが、国家一般職は専門試験も実施されます。

あまりにも試験内容が違うため、併願したとしても受かることは難しいです。

◎例2:千葉市(地方上級) ⇒ 国税専門官・外務省専門職員

もう一つ例を挙げます。

千葉市(地方上級)の行政職を第1志望としている人がいるとします。

この人は第2、第3志望として、出題パターンが異なる国税専門官や、外務省専門職員を選ぶべきではありません。

千葉市(地方上級)は、オーソドックスな択一の専門試験が課せられますが、国税専門官の専門試験では、商法や会計学が多く出題され、それに加えて記述式の試験もあります。

また、外務省専門職員は、記述式の国際法や記述式の外国語の試験などが出題されます。

それぞれ専門試験の内容にかなり相違があるため、第一志望として千葉市の試験対策を行っている人が、これらの試験を受けても点数が取れる可能性は低いです。

このように試験内容が離れた官公庁を併願先と選んでも、負け戦になる確率が高いです。

試験内容が近い官公庁を受験する

千葉市のような地方上級を受ける場合、専門試験の内容が近い特別区や、国家一般職を第2、第3の志望先として受験した方が試験内容が被るため、合格する確率は上がります。

  • 千葉市(地方上級関東型)
    • 政治学行政学憲法行政法民法・刑法・労働法・経済原論・経済政策・経済史・財政学経営学・社会政策・国際関係
  • 特別区(Ⅰ類)
    • 憲法行政法民法1民法2ミクロ経済学・マクロ経済学財政学経営学政治学行政学・社会学のうち任意の40題を選択

同じように、専門試験のない福岡市消防局を第一志望としている人が、専門試験のある国家一般職を第二志望で受験するより、同様に専門試験のない東京消防庁や警視庁を受けた方が合格可能性は上がります。

なるべく試験内容が近い官公庁を併願先として選ぶことで、第二第三志望あっても合格するチャンスは高まります。

おおまかな出題内訳は、官公庁の受験案内や、公務員試験の参考書などを参考にしてください。

③過去の採用倍率をチェックする

筆記試験と人物試験の採用倍率

公務員試験は、主に筆記試験(教養試験・専門試験など)と人物試験(個別面接・集団討論など)に分かれており、筆記試験は1次試験、人物試験は2次試験もしくは3次試験で実施されることが多いです。

試験の倍率は、実施機関によって筆記試験の倍率が高いところ、人物試験の倍率が高いところ様々です。

そして受験者も、筆記試験が苦手な人、人物試験が苦手な人、それぞれいると思います。

そう考えると、筆記試験が苦手な人は筆記試験の倍率が低いところ、人物試験が苦手な人は人物試験の倍率が低いところを併願先に選んだ方が、受かる確率が高くなることが分かると思います。

目安として近年の公務員試験の平均的な採用倍率は以下のような感じです。

  • 1次試験(筆記):2.0倍~4.0倍
  • 2・3次試験(人物):1.5倍~3.0倍
  • 最終倍率:3.0倍~8.0倍

コミュ障気味で面接が苦手な人が、人物試験の倍率が例年3倍を超えるような官公庁を併願先として選ぶことは現実的ではありません。

そういった人は、筆記試験の倍率の方が高い官公庁を選んで受験することをオススメします。

過去の採用倍率は、参考書、公務員試験の情報サイトなどを調べると分かるので、それを見ると、今年の競争倍率をおよそ予測することができます。

各実施機関のホームページにも、採用倍率は掲載されていることもありますが、小さな自治体ほど掲載していない場合が多いです。

同じ採用倍率でも人により難易度が違う

同じ最終倍率でも、実は1次試験と2次試験の難易度が違う場合もあります。

ここでは令和元年度に実施された、秋田県庁行政Aの採用試験と長野県庁行政Aの採用試験を例にして説明します。

令和元年度に実施された2つの自治体の採用試験ですが、ともに最終倍率は同じ6.6倍でした。

しかし採用倍率を詳しく見ると、秋田県庁の1次倍率(筆記試験)は4.4倍、2次倍率(人物試験)は1.3倍だったのに対し、長野県庁の1次倍率(筆記試験)は2.2倍で2次倍率(人物試験)が2.8倍でした。

この場合、同じ倍率でも秋田県庁は人物試験の難易度が低く、長野県庁は筆記試験の難易度が低かったと言えます。

また、秋田県庁行政Aと長野県庁行政Aにおける、過去5年間の採用倍率の傾向を調べたところ、5年連続して同じ傾向であることが分かりました。

筆記試験で受験者を絞るのか、人物試験で受験者を絞るのか、官公庁によって人数の絞り方が全く異なるため、実は人によって難易度が大きく変わるのです。

自分が少しでも興味がある官公庁の倍率を、数年分チェックしておくことで、試験の傾向と対策が見えてきます。

採用倍率を見るときの注意点

倍率を見る際に、気を付けてほしい点が1つだけあります。

きちんとした倍率を知るには「申込者÷合格者」ではなく、「受験者÷合格者」で考えるということです。

例えば「1,000人が試験に申し込んで、実際に受験したのは700人、そのうち合格者は100人だった。」この場合申込者で倍率を見ると10.0倍ですが、実際の競争倍率は700人÷100人=7.0倍ですよね。

申込者を基準として採用倍率を載せている官公庁も多いので(特に国家公務員)、気を付けてください。

【関連記事】
⇒【特別区の倍率13年分】難易度は?全職種の採用試験倍率と分析 

3.併願パターン

オススメの併願例

公務員試験は数多く実施されているので、自分に合った併願先を自由に選ぶことができます。

実際どういった併願がオススメで可能なのか、具体的な併願例を5つ紹介します。

この例は令和5年度の日程に基づいています。

国家一般職(近畿地域)が第一志望の併願例

  • 4月9日(日):国家総合職
  • 5月14日(日):大阪府
  • 6月11日(日):国家一般職(近畿地域)
  • 6月18日(日):兵庫県

国家志望なので、市町村という選択肢は排除しました。

国家総合職、国家一般職、兵庫県庁は教養試験と専門試験がありますが、大阪府庁はSPI3のみです。

外務省専門職員が第一志望の併願例

  • 6月4日(日):防衛省専門職員
  • 6月10日(土):外務省専門職員(1日目)
  • 6月11日(日):外務省専門職員(2日目)

外務省専門職員として語学を活かして働きたい方は、同じく語学を必要とする、防衛省専門職員を併願する人が多いです。

ほかに語学を活かせる入国審査官(国家一般職)や、航空管制官は試験日程が重なるため、併願ができません。

さいたま市役所が第一志望の併願例

  • 4月30日(日):特別区
  • 6月11日(日):国家一般職(関東甲信越地域)
  • 6月28日(日):さいたま市
  • 9月17日(日):川口市

さいたま市周辺に絞っています。

川口市は教養試験のみですが、1次試験に面接もあります。

自衛隊幹部候補生が第一志望の併願例

  • 4月22日(土):自衛隊幹部候補生(一般:1回目)
  • 5月19(金)~28(日):一般曹候補生(1回目)
  • 6月4日(日):皇宮護衛官
  • 6月24日(土):自衛隊幹部候補生(一般:2回目)
  • 9月15日(金)~24(日):一般曹候補生(2回目)

自衛隊は年に複数回受験が可能です。

自衛隊幹部候補生に比べると、一般曹候補生の難易度はだいぶ下がります。

国を守ることと似ている皇宮護衛官もオススメです。

福岡市消防局が第一志望の併願例

  • 5月14日(日):東京消防庁Ⅰ類(1回目)
  • 6月18日(日):福岡市消防局
  • 9月17日(日):長崎市消防局
  • 9月24日(日):東京消防庁Ⅰ類(2回目)

東京消防庁の採用試験は福岡市でも実施されるので、福岡の人は受験しやすいというメリットがあります。

同じ九州にある長崎市消防局の筆記は教師県とSPI3から選択可能です。

民間企業と公務員の併願

民間企業と公務員試験の併願は志望先によっては可能です。

公務員試験の筆記試験対策には、かなりの時間を要するため、生半可な気持ちじゃ試験に受かりません。

地方国立大やMARCHクラスの人たちが、公務員試験に受かるために毎日10時間勉強したりしています。

民間企業を本命にしている人が、ちょっと勉強したくらいだと、なかなか公務員の筆記試験を突破することは難しいです。

逆に公務員本命の人が、民間企業を併願すると、公務員試験の勉強が疎かになってしまいます。

ただ最近では、筆記試験を民間と同じSPIのみにしている自治体も増えたため、そういった自治体であれば、十分併願は可能です。

また、人物試験重視の自治体では、筆記試験の倍率が2倍を切ることもあるので、併願するのであればそういった自治体を狙うことをオススメします。

縁もゆかりもない地域の併願

併願先を複数設定すると、縁もゆかりもない地域を受験する場合も出てきます。

果たして、そんな官公庁を受験したところで受かるのか。

これは多くの方が気になることだと思います。

しかし、心配はいりません。

普通に受かります。

私自身、過去3か所で公務員として働いた経験がありますが、縁もゆかりもないけれど、職員として働いてる同期や同僚はたくさんいました。

ただ、田舎の小さい自治体の中には、地元の人間を採用する傾向が強い自治体もあるので、縁もゆかりもない小さな田舎の自治体は注意が必要です。

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4.まとめ

公務員試験の併願について説明しました。

公務員試験を受ける場合、受験先を1つに絞ることはリスクが高いです。

ここで述べた3つのポイントを確認して、必ず2~5か所程度は併願するようにしましょう。

試験勉強と面接対策をまじめに取り組めば、どこかしら受かります。

逆に全滅したとしても、仕事は公務員以外にもたくさんありますよ。

気負い過ぎないようにしましょう。

各公務員予備校を徹底比較!

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