今回は公務員試験の専門科目である国際関係について。

国際関係を勉強しようか捨てようか迷っている人、もしくはどうやって勉強すればいいか分からない人、そういった方に向けて難易度や勉強方法などを紹介します。

ここで紹介している国際関係の出題分野やテーマは、『新スーパー過去問ゼミ』や『早わかりブック』など複数の書籍を基に紹介しています。

目次

  1. 国際関係を捨てるか戦うか
    • 国際関係はこんな科目
    • 科目の難易度
    • 各試験ごとの出題数と重要度
    • 地方上級(関東型)と国家総合職では重要
  2. 国際関係を捨てずに戦う場合
    • 頻出分野
    • 各試験の頻出テーマと出やすい人物
    • 勉強方法と順番
  3. まとめ

1.国際関係を捨てるか戦うか

国際関係はこんな科目

国際関係は他の専門科目に比べるとマイナーな科目のため、どんな科目なのかよく分からない人も多いかもしれません。

ただ、ほとんどの人が初めて勉強する民法や行政法などに比べ、実は国際関係の方が内容には馴染みがあります。

国際関係では、世界の経済、政治、歴史、情勢などが出題されます。

そのため、高校までの基礎知識が活かせたり、公務員試験の「政治」「経済」「世界史」「時事」で学んだ知識をそのまま流用することが可能です。

実際の過去問

以下は平成30年度国家一般職採用試験で、実際に出題された過去問です。

【問題】国際協力等の活動に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。

  1. 国際連合の平和維持活動(PKO)は、国連憲章が予定した国連軍が創設されない中、停戦合意の遵守を監視する役割などを遂行するために開始された。冷戦後には暫定統治や武装解除などの多角的な活動を行うようになった。
  2. 各国の間の経済格差を背景にして、途上国に対して国際的な支援を行う開発援助は、19世紀後半に発展した。当初の開発援助は、国民総生産の増大につながる経済成長の促進ではなく人間開発を目標にしていたが、現在はより広範な活動が行われている。
  3. 人道的危機に対応する人道援助活動は、難民支援、食糧援助、医療援助などの活動を通じて行われている。第二次世界大戦後、国連設立と同時に設置された国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、難民の権利保護、本国への強制送還、緊急時の物的援助等を行っている。
  4. 人権問題への対応は、国際社会の大きな取組の一つである。国連憲章上の国連の主要機関である国際刑事裁判所(ICC)は、広く人権一般に対する罪を犯した個人を処罰する機関であり、国際社会が協力して人権に対する犯罪の不処罰を許さないことで、犯罪防止に貢献している。
  5. 政府開発援助(ODA)は、国家と国家の間で行われる二国間援助であり、国際機関に対する拠出や出資を含まない。ODAの主たる目的について、開発援助委員会(DAC)により、途上国の経済開発や福祉の向上、軍事的な支援等とされている。

正解1

どうでしょうか。

選択肢の中に出てくる国際連合やPKO、ODAなどは他の科目でも勉強しますよね。

答えが分からなかったとしても、何となく聞いたことがある人名や用語は問題で結構出てきます。

出題される6分野

国際関係で出題される分野は、大きく6つに分けることができ、それぞれ他の科目と親和性があります。

◎国際機構

国際連合、ASEAN、NATOなど国際機関について問われます。
主に重なる科目:教養政治

◎外交史

キューバ危機など世界の外交や、日韓基本条約など日本の外交について出題されます。
主に重なる科目:世界史、日本史

◎安全保障

中東戦争や核軍縮など、これまでの世界の紛争に関する問題が出されます。
主に重なる科目:世界史

◎国際関係理論

国際関係について、より学問的な問題が出題されます。
学者の名前や〇〇主義など、馴染みのない言葉が多く出題されるため、ほかの科目とはあまり親和性がありません。
国家総合職の問題では英文も多く出題されます。
暗記することが多いため、面倒くさいテーマです。

◎国際経済

GATTやWTOなど世界経済・貿易に関することが問われます。
主に重なる科目:教養経済

◎国際社会

近年の国際情勢全般に関する問題が出されます。
主に重なる科目:時事

ほかの科目と関連性が多い

このように他の科目とも関連性が高いため、完全なゼロ知識の科目よりは、取り組みやすい科目と言えます。

逆を言えば、ほかの科目を勉強していれば、ある程度知識があるため、改めて国際関係は勉強しないという選択もできます。

科目の難易度

国際関係は、暗記科目で範囲が広いため、難易度が高いという人もいますが、個人的には他の科目と比べて特に難しいという印象はありません。

平均的な難易度です。

ほかの暗記科目、たとえば行政学と比べても、特段に暗記する量が膨大という訳でもありません。

民法や行政法の方がよっぽど難易度が高いです。

もちろん、国家総合職で出題される国際関係は、ほかの試験の国際関係に比べると若干が難易度が高くなります。

ただ、国家総合職の問題は、全体的に難易度は高いので、国際関係だけに限って難しいということではありません。

また、これまで述べてきたように、国際関係はいくつかの科目と親和性が高い科目です。

世界史、日本史、時事、経済、政治あたりを得意もしくは好きな科目としてる人にとっては、むしろ戦いやすい科目です。

英文での出題

国家総合職では、10問中3問、国家一般職では5問中1問、英文の問題が出題されています。

例えば、条約や安保理決議、首相の演説として妥当な英文を選ぶ問題など。

英文問題は、国際関係の知識及び、英語を理解する能力も必要なため難易度は上がります。

ただ、難しい単語もありますが、国際関係の知識があれば、選択肢から取捨選択可能な問題も多いです。

また、文中のキーワードとなる単語を理解すれば、全体の意味が分からなくても、何とかなる問題もあります。

各試験ごとの出題数と重要度

国際関係を捨てるかどうかの判断基準として、一番大事なのは国際関係の出題ウェイト。

以下が各試験における、国際関係の出題数です。

試験種類 出題数 重要度
地方上級(全国型) 2問 /40問中  C
地方上級(関東型) 3問 /40問中 ※1 B+
地方上級(中部・北陸型) 2問 /40問中 ※2 C
東京都 出題なし
特別区 出題なし
市役所(A日程) 2問 /40問中 C
市役所(B・C日程)必須 2問 /40問中 C
市役所(B・C日程)選択 5問 /30問中 ※3 B
市役所(B・C日程)選択 5問 /40問中 ※4 B
国家総合職(政治・国際) 10問 /40問中 ※5 A
国家総合職(法律) 出題なし
国家総合職(経済) 出題なし
国家一般職 5問 /40問中 ※6 B
法務省専門職 出題なし
財務専門官 出題なし
国税専門官 出題なし
食品衛生監視員 出題なし
労働基準監督官 出題なし

※1:全50問から40問を選択を選択して解答。そのうち国際関係は3問
※2:全50問から40問を選択を選択して解答。そのうち国際関係は2問
※3:※全50問から6科目30問を選択して解答。そのうち国際関係は5問
※4:全50問から8科目40問を選択して解答。そのうち国際関係は5問
※5:全55問から40問を選択して解答。国際関係10問は必須
※6:※全80問から8科目40問を選択して解答。そのうち国際関係は5問

これを見ると全般的に、国際関係の出題数は少ないことが分かります。

国家総合職(政治・国際区分)を除いては、出題がない・出題数が少ない・選択して解答ができる、の3パターンなので、基本的に重要度は高くありません。

よって、基本的に捨て科目にすることは可能です。

地方上級(関東型)と国家総合職では重要

地方上級(関東型)はやや重要

地方上級(関東型)の場合は選択式ですが、国際関係は3問出題されるので、安易に捨てないことをオススメします。

関東型では、政治学、行政学、刑法、労働法、経営学の5つの科目はそれぞれ2問しか出題されません。

そのため、1科目勉強して3点狙える国際関係を選ぶことは有効です。

難易度も含めて考えると、関東型で2,3問出題される科目の重要度は、「国際関係 = 労働法 > 行政学 = 政治学 = 経営学 > 刑法」といった感じです。

国家総合職(政治・国際区分)は最重要

国家総合職(政治・国際区分)では、政治と並んで国際関係が核となる科目です。

この2科目で40問中20問を占めています。

重点的に勉強しましょう。

2.国際関係を捨てずに戦う場合

頻出分野

各試験の分野別の出題頻度です。

国総:国家総合職(政治・国際区分)
国般:国家一般職
地全:地方上級(全国型)
地関:地方上級(関東型)
地中:地方上級(中部・北陸型)
市C:市役所B・C日程(必須タイプ)

◎:かなり出題される。〇:割と出題される。△:出題される。×:ほとんど出題されない。

出題分野 国総 国般 地全 地関 地中 市C
国際機構
外交史
安全保障
国際関係理論 ×
国際経済
国際社会 ×

国家総合職では、国際関係理論に関する問題がかなりの頻度で出題されています。

国家総合職と国家一般職以外の試験では、出題分野に大きな偏りはありません。

各試験の頻出テーマと出やすい人物

上記の6分野をさらに細かく分けたテーマで、各試験の頻出テーマを紹介します。

  • 国家総合職:国際関係理論
  • 国家一般職:国際関係史
  • 地方上級(全国型): 頻出なし
  • 地方上級(関東型): 頻出なし
  • 地方上級(中部・北陸型): 頻出なし
  • 市役所B・C日程(必須タイプ):頻出なし

国家総合職:国際関係理論

国際関係理論分野の中の「国際関係理論」が最頻出テーマです。

以下の3人はよく出題されるので覚えておきましょう。

ナイ(アメリカの国際政治学者:じいちゃんだけど多分若いころイケメン)・・・国際政治学者のコヘインと共に、国や企業、NGO等はお互いに依存しあっているという「相互依存論」を展開し、それにより軍事力の有効性の低下を主張しています。
そして、外交においては、国の文化や価値観などの「ソフトパワー」を重要視しました。
→ 軍事力などハードよりもソフトを!

モーゲンソー(アメリカ国籍国際政治学者:眉毛が凛々しい)・・・モーゲンソーは、国際政治を国益(自己利益)ための権力闘争と考え、古典的現実主義を確立。
また、「ベトナム戦争は、アメリカに国益をもたらしていない」と戦争の継続を批判しました。
→ ベトナム戦争は意味なし!

ウォルツ(アメリカの国際政治学者:メガネ)・・・ウォルツは、戦争の原因は人や国家よりも「国際システム」によって起こると唱えています。
また、複数に力が分散する「多極システム」よりも利己的な行動を抑制しがちな「二極システム」の方が安定すると考えました。
→ アテネとスパルタ、アメリカとソ連みたいな二極!

国家一般職:国際関係史

外交史分野の「国際関係史」がよく出題されています。

アメリカのトルーマン、ケネディ、ニクソン、ロシアのゴルバチョフあたりがよく問題に登場します。

トルーマン(33代大統領:1945~1953)・・・ソ連の力を抑える封じ込め政策を実施したアメリカ大統領です。
また、核兵器を中国に落とすことを主張した、マッカーサーを解任した人物でもあります。

ケネディ(35代大統領:1961~1963)・・・キューバ危機の頃のアメリカ大統領で、キューバを海上封鎖しました。
首脳同士が直接通話できるホットラインも設置しています。

ニクソン(37代大統領:1969~1974)・・・ベトナム戦争で、アメリカ軍を撤退させた大統領です。
1971年、金とドルの交換停止、アメリカ大統領が中国を訪問したことなど、世界の秩序を変革させるこの二つの出来事を合わせて、ニクソンショックと呼びます。

ゴルバチョフ(ソ連最後の指導者:1985~1991)・・・冷戦終結の立役者となったソ連の書記長で、改革政策ペレストロイカを実践しました。
1989年、東欧諸国の体制改革が進む中、軍事介入を行うこともありませんでした。

地方上級(全国型):頻出なし

地方上級(全国型)では頻出テーマはありません。

逆に国家間や民族間の「国際紛争」と「各国情勢」については、ほとんど出題されません。

地方上級(関東型):頻出なし

地方上級(関東型)についても頻出テーマはありません。

「地域機構」と時事的問題が多い「各国情勢」については、これまでにほとんど出題されていません。

地方上級(中部・北陸型):頻出なし

地方上級(中部・北陸型)も出題テーマに偏りはありません。

国家総合職では最頻出テーマの「国際関係理論」ですが、ここではほとんど出題されていません。

市役所B・C日程(必須タイプ):頻出なし

市役所B・C日程(必須タイプ)も偏って出題されるテーマはないです。

ASEAN、EUなどの「地域機構」についてはあまり出題されません。

勉強方法と順番

国際関係を勉強する順番

国際関係を捨てずに勉強する場合で、出題数が少なく重要度Cの試験を受ける時は、国際関係の勉強は後回しで構いません。

公務員試験は範囲が広く、高確率で勉強時間が足りなくなるため、まずは重要度の高い科目から攻めていくべきです。

もしも勉強時間が足りずに、国際関係の勉強まで行き着かなかった場合でも、国際関係と関連性のある政治、経済、世界史、時事などを勉強していれば、ワンチャン点数が取れる場合もあります。

なので重要科目の勉強がある程度はかどった後に、国際関係の勉強に取り掛かりましょう。

逆に、国際関係の勉強から先に始めて、重要度の高い科目の勉強に行き着くまでに、試験日を迎えてしまったら最悪です。

勉強方法

勉強は他の科目と同様に、何度も過去問を解くことが基本です。

具体的には『新スーパー過去問ゼミ』を使用することをオススメします。

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国際関係の分野で「国際社会」分野のみは、時事的要素が強いため、教養時事問題の勉強を兼ねて、『速攻の時事』で勉強をすることをオススメします。

『速攻の時事』は、時事問題の対策本として最も人気のある参考書です。

半捨て

「国際関係を捨てようと思っている人」、「国際関係をきっちり勉強しようと思っている人」の中間的な戦略が「半捨て」です。

国際関係の各出題テーマは、それぞれ連動しているわけではないため、必ずしも全て勉強する必要はありません。

したがって頻出テーマのみ勉強して、出題頻度が少ないテーマは勉強しないという方法もありです。

これが部分的に捨てるという戦略「半捨て」です。

3.まとめ

国際関係について紹介しました。

私が志望していたところの試験では、国際関係の重要度は高くなかったので、捨ててもよかったのですが、好きな科目でもあったので、後回しにして「半捨て」で重要な部分だけ集中して勉強しました。

みなさんも単純に捨てる・捨てないと決めるのではなく、志望先の傾向なども考えて、戦略的に勉強に取り組みましょう。