【国家公務員の初任給52職種分を紹介】手取りやボーナスなども説明

公務員は市役所や県庁などで働く地方公務員と、国の機関で働く国家公務員に分かれています。

そのうち、今回は国家公務員の初任給(国家総合職、国家一般職、国税専門官、自衛隊幹部候補生など)について紹介。

初任給の金額だけでなく手取りや手当、ボーナス、給料日、1・2年目の年収等、入庁後の給料に関すること全般についてもまとめています。

【この記事を書いた人】
政令市の消防士と行政職、町役場を経験
公務員試験は独学・予備校両方で合格を経験
YouTube ハチサン公務員

目次

  1. 国家公務員の初任給と地域手当
    ・初任給一覧
    ・地域手当とは?
    ・初任給の推移
  2. いろんな手当やボーナス
    ・たくさんの手当がある
    ・ボーナス(期末・勤勉手当)
  3. 手取りや年収
    ・毎月の手取り額
    ・1年目・2年目の年収
  4. 給料日はいつ?
  5. まとめ

1.国家公務員の初任給と地域手当

新規採用職員の毎月の給料は、主に初任給と地域手当、そのほかの手当の合計が支給されます。

まず、初任給と地域手当について紹介します。

初任給一覧

各国家公務員52職種の、新卒採用時の初任給を一覧にしています。

大学院を卒業していたり、職歴がある場合は経歴に応じて初任給の金額は上がります。

この一覧の金額は、地域手当がない場合と地域手当が1級地(東京特別区)の場合を掲載。

不明な部分は空白にしてあります。

地域手当については後ほど説明。

※1 最初は航空保安大学校がある泉佐野市の級地
※2 最初は海上保安大学校がある呉市の級地
※3 最初は航空保安大学校がある泉佐野市の級地
※4  最初は海上保安学校がある舞鶴市の級地
※5 最初は海上保安大学校がある呉市の級地
※6 最初は気象大学校がある柏市の級地
※7 業務調整手当含む

初任給が高いのは?

国家公務員の中でも初任給が高いのは以下の職種です。

  • 〇〇総合職
  • 公安系
  • 国税専門官
  • 自衛隊幹部候補生

総合職を設けている職種では、一般職に比べて総合職の方が初任給は高いです。

また、皇宮護衛官や法務教官等、職務上危険を伴う公安系公務員は、行政職に比べ給料は高く設定されています。

国税専門官については、公安系公務員ではないですが、名目上、専門的知識を必要とするとの理由で初任給が高くなっています。

ただ専門的知識を必要とする職種は他にもあるため、実際は仕事内容がハードということで高めになっているのかも。

自衛隊の場合は、自衛隊幹部候補生として採用されると初任給は高くなります。

その名のとおり将来の幹部候補生で、採用されると17階級あるうちの、上から9番目の階級(3等陸(海・空)尉)からスタート。

地域手当とは?

勤務地域ごとに支給

総務省の「給与・定員等の調査結果等」の公表様式の用語解説によると、地域手当とは以下のとおり。

“地域の民間賃金水準を公務員給与に適切に反映するため、平成18年度より、これまでの調整手当に代えて、物価等も踏まえつつ、主に民間賃金の高い地域に勤務する職員に支給される手当です。”

日々の生活にかかる費用は、住む地域の物価によって異なりますよね。

民間の給料も都市部と田舎では違います。

たとえば、東京と秋田の平均的な給料や家賃などは全然違うはず。

生活コストがかかる都市部に、田舎と同じ給料で暮らすとことは難しいです。

そういった各地域の生活費の差を、補うために支給されるのが地域手当です。

地域手当の計算方法

例えば、初任給が20万円で、広島市勤務(地域手当10%)の場合、2万円の地域手当が支給されます。

この場合、初任給20万円+地域手当2万円なので22万円が支給。

国家公務員は勤務先が全国に複数あるため、各地域の実情に合った支給割合で地域手当が支給されます。

上の一覧の地域手当なしの金額に、勤務先となった地域の支給割合を掛け合わせることで、それぞれの初任給の額が分かります。

地域手当支給区分

地域手当の支給率は基本的に8段階に分かれています。

◎1級地:20%

特別区のみ

◎2級地:16%(21市)
  • 関東
    • 取手市、つくば市、和光市、袖ケ浦市、印西市、武蔵野市、調布市、町田市、小平市、日野市、国分寺市、狛江市、清瀬市、多摩市、横浜市、川崎市、厚木市
  • 中部
    • 刈谷市、豊田市
  • 近畿
    • 大阪市、守口市
◎3級地:15%(24市)
  • 関東
    • 守谷市、さいたま市、志木市、千葉市、成田市、八王子市、青梅市、府中市、昭島市、東村山市、国立市、福生市、稲城市、西東京市、鎌倉市
  • 中部
    • 名古屋市、豊明市
  • 近畿
    • 池田市、高槻市、大東市、門真市、西宮市、芦屋市、宝塚市
◎4級地:12%(18市)
  • 関東
    • 牛久市、東松山市、朝霞市、船橋市、浦安市、立川市、東大和市、相模原市、藤沢市
  • 近畿
    • 鈴鹿市、京田辺市、豊中市、吹田市、寝屋川市、箕面市、羽曳野市、神戸市、天理市
◎5級地:10%(43市)
  • 東北
    • 多賀城市
  • 関東
    • 水戸市、日立市、土浦市、龍ケ崎市、坂戸市、市川市、松戸市、佐倉市、市原市、富津市、三鷹市、あきる野市、横須賀市、平塚市、小田原市、茅ヶ崎市 大和市
  • 中部
    • 西尾市、知多市、みよし市
  • 近畿
    • 四日市市、大津市、草津市、栗東市、京都市、堺市、枚方市、茨木市、八尾市、柏原市、東大阪市、交野市、尼崎市、伊丹市、川西市、三田市、奈良市、大和郡山市
  • 中国
    • 広島市
  • 九州
    • 福岡市、春日市、福津市
◎6級地:6%(94市町)
  • 東北
    • 仙台市
  • 関東
    • 古河市、ひたちなか市、神栖市、宇都宮市、大田原市、下野市、高崎市、川越市、川口市、行田市、所沢市、飯能市、加須市、春日部市、羽生市、鴻巣市、深谷市、上尾市、草加市、越谷市、戸田市、入間市、久喜市、三郷市、幸手市、比企郡滑川町、比企郡鳩山町、北葛飾郡杉戸町、野田市、茂原市、東金市、柏市、流山市、印旛郡酒々井町、印旛郡栄町、東久留米市、三浦市、三浦郡葉山町、中郡二宮町
  • 中部
    • 甲府市、塩尻市、岐阜市、静岡市、沼津市、磐田市、御殿場市、岡崎市、瀬戸市、春日井市、豊川市、津島市、碧南市、安城市、犬山市、江南市、田原市、弥富市、西春日井郡豊山町
  • 近畿
    • 津市、桑名市、亀山市、彦根市、守山市、甲賀市、宇治市、亀岡市、向日市、木津川市、岸和田市、泉大津市、泉佐野市、富田林市、河内長野市、和泉市、藤井寺市、泉南市、阪南市、泉南郡熊取町、泉南郡田尻町、南河内郡太子町、明石市、赤穂市、大和高田市、橿原市、香芝市、北葛城郡王寺町、和歌山市、橋本市
  • 四国
    • 高松市
  • 九州
    • 太宰府市、糸島市、糟屋郡新宮町、糟屋郡粕屋町
◎7級地:3%(70市町村)
  • 北海道
    • 札幌市
  • 東北
    • 名取市
  • 関東
    • 笠間市、鹿嶋市、筑西市、栃木市、鹿沼市、小山市、真岡市、前橋市、太田市、渋川市、熊谷市、木更津市、君津市、八街市、武蔵村山市
  • 中部
    • 新潟市、富山市、金沢市、河北郡内灘町、福井市、南アルプス市、長野市、松本市、諏訪市、伊那市、大垣市、多治見市、美濃加茂市、各務原市、可児市、浜松市、三島市、富士宮市、富士市、焼津市、掛川市、藤枝市、袋井市、豊橋市、一宮市、半田市、常滑市、小牧市、海部郡飛島村
  • 近畿
    • 名張市、伊賀市、長浜市、東近江市、姫路市、加古川市、三木市、桜井市、宇陀市
  • 中国
    • 岡山市、三原市、東広島市、廿日市市、安芸郡海田町、安芸郡坂町、周南市
  • 四国
    • 徳島市、鳴門市、阿南市、坂出市
  • 九州
    • 北九州市、筑紫野市、糟屋郡宇美町、長崎市
◎地域手当なし(その他の市町村)

初任給の推移

初任給の金額は毎年見直されています。

以下の一覧は、「人事院の国家公務員の初任給の変遷(行政職俸給表(一))」を基にした、過去数年の国家総合職(院卒)、国家総合職(大卒)、国家一般職(大卒)、国家一般職(高卒)の初任給推移の一覧です。

過去10年間の推移

どの採用区分でも10年間でおよそ2万円ほど初任給が上がっていることが分かります。

ボーナスや地域手当も含めて年間で考えると、初任給の上昇に伴い30万円近く年収が増加していることになります。

【関連記事】
⇒ 県庁・都庁・道庁・府庁の初任給ランキング!1、2年目の年収も紹介

2.いろんな手当やボーナス

たくさんの手当てがある

地域手当以外にも国家公務員にはさまざまな手当が支給されます。

手当が充実していることが公務員の良いところですね。

国家公務員の主な手当

たくさんある手当の中からいくつかピックアップして紹介します。

◎扶養手当

配偶者や子供など、扶養親族のある職員に支給されます。 
例えば配偶者と10歳の子供1人いれば月16,500円の支給です。

◎住居手当

借家に居住する職員などに支給されます。
16,000円以上の家賃を払っていれば、最高月28,000円が支給されます。

◎通勤手当

通勤する際に交通機関や自動車などを利用する職員に支給されます。
交通機関の利用者と自動車などの利用者で支給額は異なり、交通機関利用者の場合は、月の支給限度額は55,000円です。

◎単身赴任手当

国家公務員は引っ越しを要する転勤も十分考えられます。
単身赴任手当は、異動に伴って家族などと別居して、単身で暮らすこととなった職員に支給されます。
支給額は職員と家族等の居住の交通距離に応じて変わり、限度額は10万円です。

◎超過勤務手当

通常の勤務時間を超えて勤務した職員に支給されます。
いわゆる残業代です。
残業する日や時間、基本給によって支給される手当の額は異なります。
例えば基本給、地域手当等の合計が月に25万円の人が勤務日の業務後に1時間仕事をした場合、約1,800円が超過勤務手当として支給されます。

◎そのほかの手当

そのほか以下のような手当があります。

  • 広域移動手当
  • 特地勤務手当
  • 寒冷地手当
  • 俸給の特別調整額
  • 管理職員特別勤務手当
  • 特殊勤務手当
  • 休日給
  • 夜勤手当
  • 宿日直手当
  • 期末手当
  • 勤勉手当
  • 本府省業務調整手当
  • 初任給調整手当
  • 専門スタッフ職調整手当
  • 研究員調整手当 etc

ちなみに刑務官が死刑執行を行う場合、死刑執行手当が1回につき2万円支給されるそうです。

ボーナス(期末・勤勉手当)

近年

民間企業のボーナスに相当する手当のことを公務員の場合は、期末・勤勉手当(期末手当と勤勉手当)と呼んでいます。

ただ大半の公務員もボーナスと呼んでいます。

国家公務員のボーナスは年に2回、6月12月に支給。

支給率は年によって異なりますが、令和5年は地域手当を含めた基本給×4.50か月のボーナスが支給されました。

たとえば、基本給が月25万円の場合は令和5年は約112.5万円のボーナスが支給されたことになります(正確な金額は職務段階別の加算や管理職加算、成績、期間率などの数値が必要となり、上のポジションほどボーナスの額も上がります)。

近年のボーナス支給月数

  • 令和5年度 :4.50か月
  • 令和4年度 :4.40か月
  • 令和3年度 :4.30か月
  • 令和2年度 :4.45か月
  • 令和元年度:4.50か月

ただ、新規採用職員の場合、1年目はボーナスを満額受け取ることができません。

基本的に新規採用職員は4月からの採用になるので、6月のボーナスは4月5月分しか算定されません。

そのための6月のボーナスは満額ではなく、約3分の1程度だけ支給されます。

12月のボーナスについては1年目から満額支給されます。

3.手取りや年収

毎月の手取り額

手取りとは総支給額(額面)から所得税や住民税などを控除した(差し引いた)金額です。

手取り = 総支給額(基本給 + 地域手当 + その他の手当) - 税金(所得税 + 住民税など)

個々で支給される金額と控除される金額が違うため、正確な手取りを算出するのは難しいですが、だいたい手取りは総支給の75~85%と言われています。

月の手取りの目安

  • 総支給18万円の場合13.5~15.3万円
  • 総支給20万円の場合:15.0~17.0万円
  • 総支給22万円の場合:16.5~18.7万円
  • 総支給24万円の場合:18.0~20.4万円
  • 総支給26万円の場合:19.5~22.1万円
  • 総支給28万円の場合:21.0~23.8万円
  • 総支給30万円の場合:22.5~25.5万円
  • 総支給32万円の場合:24.0~27.2万円

たとえば裁判所職員(一般職・大卒)として採用され、勤務地が北九州市で住居手当1万5千円、超過勤務手当2万円、通勤手当が1万円だったとします。

その場合、初任給189,700円 + 地域手当5,691円 + 住居手当15,000円 + 超過勤務手当20,000円 + 通勤手当10,000円 = 総支給240,391円

総支給240,391円 × (75%~85%) = その月の手取りはだいたい180,293円~204,332円程度となります。

1年目・2年目の年収

国家公務員の平均年収については見かけることがあっても、1年目や2年目の年収はあまり知られていません。

そこで、国家公務員を目指す方に向けていくつか1年目2年目の年収を例として算出しましたので、ぜひ参考にしてください。

年収の概算方法

1年目の年収は以下の理由で低くなります。

  • 4月から採用のため、1~3月分を除く9か月分の年収
  • 6月のボーナスが約3分の1程度しか支給されない

2年目はこれらが解消されるため、年収は上がります。

また、ここでは2年目に昇給が4,000円あったと仮定して2年目の年収を計算。

手当の額については以下の4パターンで計算しています。

  • 手当がない場合
  • 手当が平均月3万円支給されている場合
  • 手当が平均月6万円支給されている場合

地域手当とボーナスについてはこれとは別に考慮しています。

年収の例

①国家一般職(大卒) 地域手当なしの場合

都市部以外で勤務した場合の年収例です。

熊本市、鹿児島市など。

②国家一般職(大卒) 7級地勤務の場合

2年目からは間違いなく300万円台。

札幌市、北九州市など。

③国家一般職(大卒) 5級地勤務の場合

月々の手当が多いと1年目から年収300万円台。

広島市、福岡市など。

④国家一般職(大卒) 3級地勤務の場合

各種の手当を考慮すると2年目で年収300万円台後半。

さいたま市、名古屋市など。

⑤国家一般職(大卒) 1級地勤務の場合

各種手当がかなり多くなれば2年目から400万円台も可能です。

特別区のみ。

4.給料日はいつ?

国家公務員の給料日は官公庁により異なりますが、人事院規則9-7(俸給等の支給)により毎月16~18日と決まっています。

  • 16日が給料日
    • 会計検査院
    • 人事院
    • 内閣(内閣府を除く)
    • 内閣府本府
    • 宮内庁
    • 公正取引委員会
    • 国家公安委員会(皇宮護衛官)
    • 個人情報保護委員会
    • カジノ管理委員会
    • 金融庁
    • 消費者庁
    • 総務省(公害等調整委員会を除く)
    • 公害等調整委員会
    • 法務省(法務省専門職員、刑務官、入国警備官)
    • 外務省(外務省専門職員)
    • 財務省(税務職員、国税専門官、財務専門官)
    • 厚生労働省(食品衛生監視員、労働基準監督官)
    • 農林水産省
    • 国土交通省(航空管制官、海上保安官、航空保安大学校学生、海上保安学校学生、海上保安大学校学生、気象大学校学生)
    • 環境省(原子力規制委員会を除く)
  • 17日が給料日
    • 特許庁
    • 中小企業庁
    • 文部科学省
  • 18日が給料日
    • 原子力規制委員会
    • 防衛省(防衛省専門職員、自衛隊)
    • 経済産業省(特許庁及び中小企業庁を除く)

以下の場合は支給日が前後します。

  • 支給日が日曜と重なるときは前々日(前々日が14日になる場合は17日)
  • 支給日が土曜と重なるときは前日
  • 支給日が休日と重なるときは翌日(翌日が19日になる場合は15日)

新規採用職員の場合も4月から満額給料が支給されます。

ボーナスは前述したとおり年に2回支給され、支給日はそれぞれ以下のとおりです。

  • 夏季:6月30日
  • 冬季:12月10日

土日祝日と重なった際は、その前の平日に前倒しされます。

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5.まとめ

国家公務員の初任給などを紹介しました。

公務員は投資などしない限り大金持ちにはなりませんが、平均的な安定した暮らしを手に入れることができます。

いろんな職種があるので自分に合った仕事を探してみてください。

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