今回は、東京特別区を志望する人、特に港区を志望先として考えている人に向けた記事です。
この記事では、面接を受けるにあたって、これだけは知っておきたいという、街の基本情報を紹介します。
ちなみに現在港区の区長である武井雅昭(たけい まさあき)氏は、港区役所の元職員です。
- 【この記事を書いた人】
- 政令市の消防士、町役場の行政職員、政令市の行政職員を経験
- 公務員試験は独学・予備校利用の両方で合格した経験あり
- YouTubeも始動 ⇒「3回公務員 ケイゴ」
★目次
- 港区について調べる時間が取れない人に
- 5つの地区に分かれている
- 港区の人口分布の特徴
- 財政状況は優等生
- 子育て環境が良くなっている
- 選挙には無関心の港区民
- そのほか気になること
- まとめ
1.港区について調べる時間が取れない人に

♦なかなか時間がない
特別区の採用試験では、筆記試験に合格したあとに、人事委員会による面接と区による面接が待っています。
みなさん面接に向けて自己分析をして、話す内容などを考えていることと思います。
また、面接を受ける以上、自分のことだけでなく志望先がどんなところなのか、自治体の基本的な情報も把握しておくことが必要です。
しかしアルバイトや仕事、自己分析、ほかの試験勉強など、なかなか志望先のことを調べる時間が取れないかもしれません。
私もかつて、二次試験対策のために、志望先のことについてネットや図書館などで調べたりしましたが、意外と時間が掛かります。
♦公式データを基に
そこで時間のない受験生のため、少しでも役に立てるように区の基本的な情報をまとめました。
あくまで基本的な情報ですので、その他必要な情報は自分で調べてみてください。
今回は、港区についてです。
この記事は港区、公益財団法人特別区協議会、総務省などが公表している数値を基にまとめています。
2.5つの地区に分かれている

港区は、東を江東区、北は中央区・千代田区・新宿区、西を渋谷区、南は品川区と、6つの区に囲まれており、東側は東京湾に面しています。
そして、港区内は大きく分けて5つの地区で成り立っています。
♦①芝地区
新橋、虎ノ門がある芝地区は、有名企業の本社が多く集まっており、日本経済の中心です。
有名な名所として、東京タワーがあります。
また、芝公園1丁目には港区役所の本庁舎もあります。
♦②麻布地区
西麻布、六本木がある麻布地区は、高級マンションや大型商業施設があり、華やかなイメージがある地区です。
有栖川宮記念公園や六本木ヒルズもあります。
かつては志賀直哉や島崎藤村など、多くの作家が暮らしていた地域でもあります。
また、港区内で一番外国人の割合が高い地域です。
あと、5つの地区で坂が一番多い地域。
♦③赤坂地区
赤坂、南青山を代表とする赤坂地区は、ファッションやグルメなどの情報発信地として、賑わいを見せています。
昔は多くの芸者さんが赤坂に暮らしていました。
5つの地区で一番人口が少ないです。
地区内には、赤坂サカスや迎賓館赤坂離宮があります。
♦④高輪地区
高輪地区は、白金を中心に高級住宅街のイメージが強いですが、由緒ある寺社が数多く残っており、歴史的な名所地でもあります。
5つの地区で一番面積が少ないですが、人口は一番多いです。
高輪地区には、泉岳寺や慶応義塾大学三田キャンパスなどがあります。
♦⑤芝浦港南地区
台場などがある芝浦港南地区は、東京湾に面しており、埋め立てによって造成された土地が多いです。
日本のプロ野球が発症した場所でもあります。
この地区には、お台場海浜公園やレインボーブリッジがあります。
3.港区の人口分布の特徴

港区のホームページによると、港区の人口は、令和4年3月1日現在で、推計257,680人となっており、これは23区内で7番目に少ない人口です。
人口は、毎年増加傾向にあります。
♦昼間の人口増加率はナンバーワン
昼間の人口は94万人を超え(平成27年国勢調査)、夜間人口の約4倍です。
これは全国の区市町村の中で、最も高い増加率です。
勤務先として港区に通勤している人が、非常に多いと考えられます。
♦女性が多い
人口の男女比ですが、男性が121,200人、女性が136,480人で、女性の人口を100とした場合の男性の割合は、88.8となっています。
特別区全体の男女比は、男性96.4:女性100となっているので、港区は他の区に比べ、女性が多いことが分かります。
特に20代、30代の女性が多いです。
なので女性目線のまちづくりも大切です。
♦外国人が多い
また、港区に暮らす外国人の人数は16,901人で、 区に占める外国人の割合は6.6%、これは区内で5番目に高い割合です。
港区内には以下の国籍の方が多く在住しています。
- 中国 :3,907人
- 韓国・朝鮮:3,042人
- アメリカ :2,386人
- フィリピン:937人
- フランス:544人
区民イコール日本人ではありません。
港区には、外国人もたくさん生活していることを忘れないように。
また、日本には現在、約150か国の大使館がありますが、その半数以上が港区に集中しています。
♦高齢者が少なく子どもが多い
下の一覧は年齢別の人口構成を示しています。
- 0歳~19歳:43,218人
- 20歳~39歳:68,769人
- 40歳~59歳:88,641人
- 60歳~79歳:42,189人
- 80歳~99歳:14,730人
- 100歳以上 :133人
65歳以上の人数は44,402人で、港区の高齢化率は17.2%です。
平成27年の国勢調査では、特別区全体の高齢化率が22.4%だったため、港区の高齢化率は低いと言えます。
これは中央区に次いで2番目の低さです。
一方、14歳までの年少人口は35,419人で、割合は13.7%です。
この割合は特別区で最も高く、港区は子どもが多い区と言えます。
♦23区の中では低い人口密度
面積は20.37㎢で、23区内では12番目の広さ、ちょうど真ん中です。
人口密度は12,650人/㎢で、23区内で3番目に低い数字となっています。
日本全体の人口密度が337人/㎢であることを考えれば、十分密度は高いということが分かります。
4.財政状況は優等生
令和3年度の港区の予算は以下のとおりです。
- 予算総額 :2,084億円
- 一般会計予算:1,624億円
そして、令和元年度のデータによる港区の財政状況は以下のとおりです。
- 財政力指数 :1.27(特別区:0.54)
- 公債費負担比率:0.2(特別区:2.5)
- 経常収支比率 :70.1(特別区:79.2)
♦財政力指数がかなりいい
財政力指数とは、基準財政収入額を基準財政需要額で除した数値で、過去3年間の平均で示されます。
ざっくり簡単に言うと、税などの収入から、自治体が必要とする需要額を割った値です。
1に近いほど、もしくは1を超えるほど、財源に余裕があるといえます。
例えば、自治体の収入が1億円で、自治体が必要とする金額が1億2千万円だった場合、1億 ÷ 1.2億で、財政力指数は0.83となります。
港区の財政力指数は1.27で、23区内でダントツで高い数値です。
葛飾区と荒川区が0.34で最も低いです。
♦公債費負担比率も優秀
公債費負担比率とは、一般財源総額に占める公債費の比率のことです。
ざっくり簡単に言うと、自治体が自由に使える収入の中から、自治体の借金返済に使われた割合です。
15%を超えると、借金返済で苦しい状況と言えます。
港区は公債費負担比率が0.2%でかなり余裕があります。
これは千代田区に次いで2番目に低い数字。
最も高い江戸川区でも6.9%で、特別区は平均的に公債費負担比率が低いです。
総務省のデータによると、平成30年度における公債費負担比率の全市町村の平均は、13.8%なので、港区はかなり優秀です。
♦経常収支比率もバッチリ
経常収支比率とは、経常的に支出される経費と、経常的に収入となる一般財源の割合。
ざっくり簡単に言うと、地方税など自治体に決まって入る収入から、人件費や借金の返済など、自治体が必ず支払う必要があるお金がどれだけ充てられたかの割合。
この割合が低いほど、余裕のある財政運営ができます。
港区の経常収支比率は70.1%となっており、23区内で一番低い数値となっています。
最も経常収支比率が高いのは大田区で85.9%です。
総務省のデータによると平成30年度の全国の市町村平均は93.6%でした。
以上3つの観点から見ると、港区の財政状況は非常に良好で、日本トップレベルの健全な自治体です。
- 【関連記事】公務員試験に合格した人の学歴が気になる方はこちら
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5.子育て環境が良くなっている
♦平成31年度に待機児童ゼロ達成
港区では平成元年以降、30年連続して待機児童が発生していましたが、平成31年度にはじめて待機児童の数がゼロとなりました。
港区の保育課によると、保育施設の空き情報をホームページや郵送でお知らせしたり、保育園の空きクラスを活用するなど、待機児童解消に向けて取り組んできたようです。
♦出産助成金の引き上げた
港区では令和2年12月4日から、子どもの出産にかかる、出産費用の助成金の上限額を18万円から31万円に引き上げました。
“子どもの出産にかかる費用の一部を負担することにより、子育てする家庭の経済的負担を軽減し、子どもを産み育てやすい環境を整備します。” :港区ホームページより
子どもが欲しい世帯にはありがたいことです。
♦子どもを守るキッズゾーン!
港区では都内で初めて、子どもの安全を守るキッズゾーンを設定しています。
“保育園児が日常的に利用する道路のうち、歩道と車道が分離されていない道路や見通しの悪い道路など、特に配慮が必要な道路にキッズ・ゾーンを設定することで、保育施設等が行う散歩等の園外活動時の子どもの安全確保を図ります。”:港区保育課より
子供が多い港区ならではの取り組みです。
6.選挙には無関心の港区民

どの選挙においても、総じて投票率がかなり低いです。
港区が地元ではない転入者が多いのか、政治への関心が低いようです。
区民が政治・行政の当事者意識を持つように、投票率を上げるアイデアが必要。
♦都知事選
令和2年7月に行われた都知事選の投票率は、港区内で49.32%でした。
これは23区内で最も低い投票率です。
前回平成28年7月に行われた都知事選も、投票率57.38%で、下から4番目に低い数字です。
♦区長選
令和2年6月の港区長選挙の投票率30.36%。
他の区で行われた直近の区長選挙と比べると、23区中2番目に低い数字です。
前回の区長選も、24.25%で他の区と比べて2番目に低い数字でした。
♦区議会議員選
平成31年4月の区議会議員選挙の投票率は35.37%で、直近の他の区の投票率に比べ、最も低い投票率となりました。
また、その前の区議会議員選挙も、港区の投票率は36.02%で、これも最も低い投票率です。
♦自由民主党が人気
港区では自由民主党を支持する人が最も多く、34.82%を占めます。
他の区と比較しても4番目に高い割合。
7.そのほか気になること
♦災害対策
■電線の地中化
災害が発生すれば、電柱の倒壊や、電線の切断等により2次災害が発生する恐れがあります。
安全で円滑な避難経路を確保するためにも、港区では電柱を地下に埋める「電柱の地中化」を推進しています。
現在電線類の地中化率は23.0%で、これを2026年には24.4%まで上げることを目標にしているようです。
目標設定がゆるい?
■マンホールトイレ設置の推進
地震が発生すれば断水し、常時トイレが使用できなくなる恐れも。
そのため港区では、下水道管路の上のマンホールから用を足せる「マンホールトイレ」の普及に取り組んでいます。
公園や避難所への設置を進めており、防災訓練時には、マンホールトイレ組み立て訓練も行っています。
♦生活保護受給者が少ない
港区内の生活保護受給者の割合は0.79%と低く、これは中央区に次いで2番目に低い割合です。
区内の人口は増えている一方で、保護受給者の割合は平成25年の1.12%から連続して低下しています。
新型コロナウイルスの影響で今後は増える可能性もあります。
♦交通事故が多い
特別区協議会のデータによると、港区内での平成31年の1年間の交通事故状況は以下のとおり。
- 交通事故発生件数:1,256件
- 死傷者数 :1,446人
1日平均3.4件の交通事故が発生し、約4人が毎日交通事故で負傷しています。
事故発生件数、死傷者数ともに23区内で5番目に多いですが、昼間の人口が多いことを考えると事故が多いのも当然かもしれません。
特にタクシーが関与する事故が全体の4割を占めているため、警察とだけではなく、事業者とも連携して、事故防止へ取り組むことが必要です。
♦23区内で事業所が一番多い
港区は、23区の中で一番事業所、つまり会社が多い区です。
虎ノ門、新橋エリアなど、港区に本社を構える有名企業は非常に多いです。
- 大塚製薬
- 森永製菓
- 日本たばこ産業
- エイベックス
- 電通
- ヤフー
- ソニー
- 三菱自動車工業
- 鹿島建設
- 資生堂
- フジテレビ
- 伊藤忠商事
- 全日本空輸 など
ざっと挙げてもこれだけ出てきます。
港区は、「日本ビジネスの中心」と言っても過言ではありません。
ちなみに、5つのテレビキー局(テレビ東京、フジテレビ、日本テレビ、テレビ朝日、TBS)全ての本社が港区に集中しています。
8.まとめ

以上、いろんな資料やデータを参考にまとめました。(港区役所、特別区協議会、区報、総務省、GoogleMapなど)
この記事が、港区を志望する人の少しでも役に立てたのなら嬉しいです。
面接対策頑張ってください。