【ここが嫌!】町役場の公務員として働くメリット・デメリット

公務員を考えるのであれば、選択肢の1つとなるのが町役場の職員。

そこで今回は、町役場に就職しようか考えている人、転職しようかと考えている人に向けて、町役場の職員になった場合のメリット・デメリットを紹介します。

【この記事を書いた人】
政令市の消防士と行政職、町役場を経験
公務員試験は独学・予備校両方で合格を経験
YouTube ハチサン公務員

目次

  1. 町役場職員のメリット
  2. 町役場職員のデメリット
  3. 一概には言えないこと
  4. おわりに

1.町役場職員のメリット

町役場の公務員として働くメリットは主に以下の6点です。

  1. 生活の安定
  2. 福利厚生が充実
  3. 転勤がなく将来図が描きやすい
  4. 町役場の職員という信頼感
  5. 職員同士の距離が近い
  6. 昇進がしやすい

① 生活の安定 

まずは何と言っても安定していることです。

民間だと景気が悪くなれば、会社の業績がもろに給料に響きます。

コロナ禍でボーナス全カットや、自宅待機にして給料〇%カットした企業も多くありましたね。

また、倒産は当たり前で、全国で毎年約4,000件の会社が倒産しています。

倒産やクビはほぼない

一方、町役場に勤めるのであれば、そういった心配はしなくても大丈夫。

不景気の場合は、多少のボーナス減額はあるかもしれませんが、倒産することはほぼないです。

“ほぼ”といったのは、まれに財政再建団体に陥る(民間でいう倒産みたいなもの)可能性があるからです。

ただ、現在全国には1,700を超える地方自治体がありますが、平成以降で財政再建団体になったのは赤池町と夕張市の2市町のみ。

たまに「IT化が進み、公務員も安泰ではない」みたいな話を聞くこともありますが、例えそうなったとしても、新しく採用する職員は減っていくかもしれませんが、既に採用された職員をクビにするようなことは考えにくいです。

② 福利厚生が充実 

民間だと福利厚生の充実度は、企業ごとにバラバラだし、ブラック企業の場合悲惨ですよね。

その点、町役場の福利厚生はきちんとしています。

有給休暇は年間40日取得することができますし、子どもができた場合は育児休業も可能です。

休暇の一例は以下のとおり。

  • 年次休暇
  • 夏期休暇
  • 産前・産後休暇
  • 結婚休暇
  • 病気休暇
  • 介護休暇etc

これ以外にも様々な休暇がありますが、自治体によって多少違うので確認は必要。

また、慶弔事があると職員が加入する共済組合から、各種手当等をもらうこともできます。

子どもが生まれた場合は出産費、災害により家が被害に遭った場合は災害見舞金、そのほか育児休業手当、介護休業手当、埋葬料、家族埋葬料など。

さすが公務員。

③ 転勤がなく将来図が描きやすい 

民間であれば転勤はつきもの。

公務員であっても国家公務員であれば引っ越しを伴う異動は当たり前、都道府県庁職員も最低1度は遠くに飛ばされます。

引越しが伴う異動とはほぼ無縁

一方、町役場の職員であれば管轄は町なので、出向でもない限り勤務先は町役場か町内の出先機関になります。

そのため、異動になっても引っ越しや単身赴任になることはありません。

引っ越しに怯えずに済むので、将来設計は立てやすいです。

「どこに住むか」、「子どもが出来たらどこの保育園を選ぶか」、「高校はどこが近いか」など単純に町周辺で考えればいいので。

町外に住んでも大丈夫

しかも町立保育園については、町立だけあってどんな感じなのか内部から情報は入手しやすいです。

また、町役場に勤めているからと言って、必ずその町に住まなければいけないわけではありません。

私が町役場に勤めていた時も、多くの人が町外に住んでいました。

ただし遠すぎるところだと有事の際、すぐに駆けつけることが出来ないので注意。

④ 町役場の職員という信頼感 

町役場の職員は公務員。

そして、田舎は公務員への信頼感が強いです。

地方は企業の数や仕事も多くないので、田舎であれば町役場は、知名度抜群の有名企業のようなもの。

そのため、ちゃんとしている人というイメージは持たれやすいです。

お金が借りやすい

また、公務員だと銀行からローンも組みやすい。

なので20代でマイホームを購入する人も珍しくありません。

しかも都会に比べれば、土地もそれほど高くない。

賃貸の審査も問題なし。

⑤ 職員同士の距離が近い 

町役場の職員数はおそらく平均すると150人前後、多いとこでも300人弱くらいです。

大抵の職員の顔は分かりますし、自分の所属課以外の人とも顔見知りになりやすいです。

顔見知りが多いと、ほかの部署の人に仕事をお願いしたり、質問したり気軽にできるので、町役場だと仕事は進めやすいですね。

また、職員数が少ないということは、同世代の職員も多くないということなので、その分、同世代の仲は良くなりがち。

大きい市役所だとほぼ他人

さらに、庁舎が小さいので役場の通路で町長に会って、挨拶するなんてことも日常茶飯事。

これが大きい組織だとトップに会うことは滅多にありません。

私は政令指定都市の市役所でも働いた経験がありますが、ほとんどの職員の顔は知らないです。

大企業や大きな自治体だと、同じ組織の人間でも初めましての人ばかりですよね。

⑥ 昇進がしやすい 

私の勤めていた町役場の昇進ルートは、おおまかにいうと「係長 → 課長補佐 → 課長 → 部長 → (副町長)」という流れ。

ポストの割に職員はそれほど多くないので、ほとんど場合みんな課長まで昇進できる感じでした。

なので、ちょっとアレな人でも課長になれます。

さすがにヤバい人であれば部長は難しいかもしれませんが、普通の人であれば部長も目指せます。

大きい自治体の出世は大変

一方、大きな市役所になると、部長の上に局長という役職もありますが、役職の数に比べ、職員数がかなり多くなるので、上まで出世するのはなかなか大変です。

部長まで昇進する人は一握りで、課長まで昇進せずに退職する人も多くいます。

また、大きい自治体だと昇進するためには、昇任試験を受けなければならないところが多いです。

筆記試験や面接試験があるので、仕事終わりや土日に試験対策をしなければならず結構大変です。

対して、町役場のような小さい自治体は昇任試験を実施せず、人事評定などで昇進する傾向なので負担は少なくて済みます。

2.町役場職員のデメリット

続いて町役場職員になった場合のデメリットです。

  1. 都会の大企業や自治体と比べると給料は低め
  2. 兼務が当たり前の何でも屋に
  3. 休日出勤が多い
  4. 消防団活動
  5. 職員間でいろんな情報が飛び交いやすい
  6. ずっとこの町という虚無感

① 都会の大企業や自治体と比べると給料は低め 

町役場の職員はもちろん公務員なので、平均的な給料はもらうことが可能。

普通に生活すれば家計が苦しくなるなんてことはないですし、年収も平均すると550~590万円程度あると言われています。

もちろん平均なので、地域によって550万円以下の自治体や700万円を超える自治体もあります。

町役場の給料だけで年収1,000万円は厳しい

しかし、この金額を上と比べてしまうと物足りないと感じる人もいるかもしれません。

大企業であれば将来的に1000万円を狙うことは可能ですし、大都市の市役所でもかなり上の方まで出世していけば後々1000万円も不可能ではありません。

町役場の場合は、地域自体の物価水準が低く、上のポジションも多くないため、役場給料だけでお金持ちになるということは難しいですね。

資産運用すれば可能ですが。

町役場×町役場なら1,000万円可能

ただ大都市周辺の町役場であれば、物価水準などに応じて支給される「地域手当」が加算されるので、初任給は都市部の大きな市役所にも遜色ありません。

たとえば、中国地方全体で初任給が最も高いのは広島市役所ではなく、府中町役場です。

【関連記事】
⇒【中国地方の主要な市役所・町役場】平均年収ランキング!広島?岡山?

また、町役場に勤めている職員同士で結婚する人も結構いますが、そうなると世帯収入は余裕で1000万円を超えていきます。

② 兼務が当たり前の何でも屋に 

自治体の職員は、規模が小さくなるほど1人で複数の仕事をこなす必要があります。

公務員の仕事は基本的にひとりひとり担当を持ち、分業で仕事を行いますが、この任される幅が町役場だと広いです。

大きい市役所分業・小さい市役所兼業

例えば仮に、大きな市役所に「日本課」という課があったとして、その下に、「東日本係」があり、東日本係の中で「北海道」を担当する職員や「埼玉県」を担当する職員がいるとします。

  • 中国課
  • 日本課
    • 東日本係
      • 北海道担当職員
      • 埼玉県担当職員
    • 西日本係

しかし、これが町役場になると、「世界課」という幅広い業務をこなす課があり、その下に「アジア係」という係があり、その中で「日本」を担当する職員が1人いる感じです。

  • 世界課
    • アジア係
      • 日本担当職員

市役所であれば、課の複数人で「日本」という業務をこなす一方で、町役場であれば「日本」という業務を担当1人でこなすみたいなイメージです。

1人で北海道の仕事をしたり埼玉県の仕事をしたり。

分かりにくかったらすみません。

自治体職員はよくゼネラリストなど言われますが、町役場の場合、よりゼネラリスト感が強まります。

予算も職員数も少ないので必然的にそうなってしまいます。

③ 休日出勤が多い 

特に若手だと休日出勤が多いです。

町主催の大きなイベントを行う時は若手が駆り出されます。

祭り会場の設営や撤収、運営など。

こういったイベントは土日や祝日に行われることが多いため、自ずと休日出勤になります。

大きな市でもイベントを開催するにあたり職員を動員することはありますが、小さい町の若手ほどではありません。

そのほかにも、市役所であれば業者に委託しているような業務でも、予算の都合上、役場職員が自分たちで対応するなんてことはざらにあります。

手当てがもらえないことも

ちなみ休日に働いても手当てがもらえないこともありますし、手当をもらう代わりに平日が代休になることもあります。

代休がもらえたからと言っても、職場の雰囲気や忙しさによっては消化しづらいです。

④ 消防団活動 

全ての町ではありませんが、多くの町役場では、役場の若手を中心に消防団を組織しています。

そのため、町内で火災が発生すれば、消防団として平日・休み・昼夜に関わらず災害現場に出動しなければいけません。

自宅が役場から遠い人は結構つらいです。

そして、先述した休日出勤が多いことにも被りますが、土日に町内の消防団員の訓練の準備設営をしたり、自分たちの訓練を行ったりします。

また、災害時や台風シーズンは役場に泊まったり、町内を巡回して、そのまま次の日は帰らずに役場で仕事をするなんてこともあります。

⑤ 職員間でいろんな情報が飛び交いやすい 

これはメリットで挙げたことと相反することでもあります。

職員間の距離が近いことから、変な噂や悪口なんかも回りやすいです。

顔見知りが多いからこそ「あいつ○○な奴だ」という悪口が聞こえたり、「Aさんは○○したらしい」というどうでもいい噂が流れたりします。

まあ人間関係の問題は、どこでもどの規模の組織でもあるので、町役場だけが特殊という訳ではありませんが。

揉め事や大きなミスをしたら周りに広まることもありますが、逆に優秀な人であれば、仕事ができる人間という情報も知れ渡ります。

⑥ ずっとこの町という虚無感 

※これが当てはまるのは、都会や大きな仕事に魅力を感じている人や、町役場が地元ではない人なので、町が地元な人や、田舎が大好きな人にとっては関係ないです。

町役場の仕事はどうしても町内に向けたものになるので、業務の規模はそれほど大きくありません。

何千人規模のイベントを開催することもありますが、それも町民メインのイベントです。

愛着がないとツライ

なので、都会や大きな舞台で活躍したい人にとっては物足りないかもしれません。

もし、そういった人が町役場に入庁したら悶々としながら働くことになるかも。

特に町が地元ではなく、大きな市出身の人の場合は、町に対する愛着もそれほど大きくないと思うので、虚無感を覚えるかもしれません。

愛着が沸かない町の職員として、定年まで働くことはなかなか大変です。

3.一概には言えないこと

メリット・デメリットとして、「残業の量や休みの取りやすさ」が書かれていないと思った方もいるかもしれないので追記。

なんとなく町役場は残業が少なくて、休みがとりやすいというイメージがあるかもしれません。

ただこれは、各町役場によって全然違いますし、部署や担当している業務によっても異なります。

いつも17時台に帰られる部署があれば、日付が変わるまで残業する部署もあります。

なので、一概にメリットにもデメリットにも挙げることはできません。

【関連記事】
⇒ 町役場職員の仕事は楽なのか?きついのか?有給は取れるか?

4.おわりに

町役場職員になった場合の、メリット・デメリットを挙げました。

結局、メリットもデメリットもあるので、プラマイゼロで役場職員は平均的かもしれません。

「金持ちになりたい」、「高いステータスが欲しい」などの野望がなく、安定を求める人は、一度町役場職員になることを検討してみてください。