公務員試験の過去問題集で圧倒的に支持率が高いのは『新スーパー過去問ゼミ』いわゆる「スー過去」です。
そのため「とりあえずスー過去を買ってみた」っていう人は多いかもしれません。
ただ中には、買ったはいいものの「使い方がイマイチ分からない」と感じている人もいるはず。
せっかく「スー過去」を使うのであれば、失敗せずに効果的に使っていきたいですよね。
そこで今回は、『新スーパー過去問ゼミ』を買う予定の人や使い始めの人に向けて、「スー過去」を使って公務員試験に合格するための、効果的な学習法を紹介します。
スー過去6を使って解説していきますが、スー過去7で十分参考になると思います。
【この記事を書いた人】
・政令市の消防士と行政職、町役場を経験
・公務員試験は独学・予備校両方で合格を経験
・YouTube ⇒ ハチサン公務員
★目次
- スー過去使いの基本心得
- テーマ別に飛ばす方法
- 問題ごとに飛ばす方法
- 狙い撃ちして勉強する方法
- スー過去の具体的な使い方
- おわりに
1.スー過去使いの基本心得
公務員試験に合格した多くの受験者は、大抵ここで紹介する基本心得2つを自然に実行しています。
スー過去を使って落ちている人は、おそらくこの基本ができていません。
♦① 全部やらない
■やる時間がない
まず、最初にお伝えしたいことは、「スー過去」はまるまる1冊勉強しなくてもいいということです。
試験まで時間に余裕がある人は、まるごと1冊勉強しても構いませんが、多くの人は仕事や大学、部活などで勉強時間は限られていると思います。
そういった人たちは、1冊隅から隅まで問題を解く必要はありません。
というか時間が足りなくなります。
■飛ばす勇気を持つ
公務員試験、特に専門科目もある試験では、全部で20科目前後の問題が出題されます。
あんな分厚い『スーパー過去問ゼミ』を20科目分、全部やろうとすると相当な時間が必要です。
コスパを高めて効果的な学習をするのであれば、1冊全てをやらずに、不要な部分を飛ばす勇気を持ちましょう。
省く方法については後述しています。
♦② 1回で終わらずに繰り返す
そして、『スーパー過去問ゼミ』は1周だけで終わらせてはいけません。
■1回で覚えるのは厳しい
公務員試験は出題範囲が広いですし、難しい問題も多いです。
「スー過去」の内容ももちろん同様。
膨大にある問題を、1回だけ解いて理解するのはかなり難しいです。
その場では理解できたと思っても、出題範囲が広すぎて、しばらくすると間違いなく忘れています。
それを解決するには、地道に反復することです。
■何回まわせばいいのか
「じゃな何周すればいいの?」と気になると思いますが、それは人それぞれです。
2周でかなり覚えてしまう人もいれば、何周も回す人もいます。
私の場合は、2周、3周回しました。
2,3周で完璧に覚えたというより、勉強期間的にそれが限界でした。
時間があるなら3,4周は回したかったです。
多くの受験者は2~4周程度、特に2,3周が多いと思います。
したがって「スー過去」を2周も3周も回していくためにも、1冊全部の問題を解いていくことはオススメしません。
2.テーマ別に飛ばす方法
1冊丸ごと勉強しないということをお伝えしましたが、次に、どうやって勉強しない部分と勉強する部分を分けるのか、その方法を2つ説明します。
♦テーマごとに構成されていることに注目
1つ目はテーマ別に選別する方法です。
まず、『スーパー過去問ゼミ』の目次を開くと、このように複数のテーマが並んでいます。
各科目、これまでに出題された問題を20前後のテーマに分けてまとめています。
多い科目だと30テーマ、少ない科目だと11テーマほど。
教養科目だと、1冊に複数科目がまとめられているのでさらに少ないです。
■頻出テーマと不毛なテーマがある
次に、各章の冒頭に記載されている「試験別出題傾向と対策」をチェックします。
このページはかなり重要です。
このページでは、試験ごとにこれまでに出題された問題数を、テーマ別にまとめてあります。
つまりこのページを見れば、試験ごとに、重要なテーマとそうではないテーマを判別することができます。
ここで自分の志望先の試験で、過去に1題も出題されていないテーマがあれば、今後も出題される可能性は低いです。
その場合、思い切って1テーマ丸ごと勉強を省いて構いません。
♦非効率な勉強は止める
丸ごと捨てるのは怖いですが、過去15年1度も出題されていないテーマに、勉強時間を充てるのはコスパが悪いです。
たとえば、国家専門職採用試験では、財政学の「予算の原則と制度」の問題が15年間で17問出題されていますが、「日本の財政史」については15年間で1問も出題されていません。
この2つのテーマに同じ勉強時間を充てるのは、どう考えても非効率です。
勉強期間が限られている人であれば、出題ゼロ以外にも、過去15年で1問、2問しか出題されていないテーマは省略候補に挙げてもいいかもしれません。
そこら辺の作戦は、それぞれの状況に合わせて考えてください。
3.問題ごとに飛ばす方法
もう一つはテーマごとではなく、問題ごとに解く問題を省略していく考え方です。
「スー過去」1冊にはかなり多く問題が収録されており、少ない科目で100問、多い科目だと約280問ほど過去問が掲載されています。
平均200問過去問が収録されているとして、仮に「スー過去」10冊を2周するとします。
200問 × 10冊 × 2周 = 4,000
普通に全部解いたら、4,000回問題を解く必要があります。
これはかなりの時間と労力が必要ですよね。
そこでコスパを上げるためには、やはり解く問題と捨てる問題を分ける必要があります。
選別方法をいくつか紹介しますが、お好みで方法を選んでください。
♦掲載問題リストを活用
選び方としては「スー過去」の最初の方のページにある「掲載問題リスト」を活用します(スー過去6の場合)。
ここでは掲載されている過去問が全部リスト化されており、以下の5つの情報が載っています。
- 雷マークの有無
- 必修問題か実戦問題か
- どの試験の過去問か
- 何年度の過去問か
- 難易度
※各ページの問題にも、1問ずつこれらの情報の記載あり
■雷マーク
雷マークのついた問題は「学習効果の高い重要な問題」とされています。
全問題の約3割程度。
■必修問題/実戦問題
基本的に掲載されているほとんどは実戦問題です。
必修問題は、各テーマの最初の導入問題として掲載されています。
つまり1冊に20テーマあれば、20の必修問題が収録されていることになりますね。
必修問題には「合格のために必ずマスターしたい良問」がピックアップされています。
■試験種
「スー過去」1冊の中には、いろんな試験の過去問が収録されています。
国家総合職、国家一般職、国税専門官/財務専門官、地方上級(全国型)、東京都、特別区、市役所など。
ちなみに試験名が変更される前の過去問は、国家総合職や国家一般職ではなく、国家Ⅰ種や国家Ⅱ種と記載されています。
■試験年度
いろんな年代の過去問が掲載されています。
古いものでは平成1ケタ代、新しいものでは前年度の問題。
数十年分の過去問から良問がピックアップされているようです。
■難易度
1問ごとに難易度も表示されています。
難易度は「*」「**」「***」の3段階で「***」が最も難しい問題です。
♦問題の選別方法
これらの情報を基に解く問題と解かない問題を決めます。
たとえば、学習効果の高い必修問題と雷マーク、理解しやすそうな「*」レベルの問題は必ず解くなど。
■難しすぎる問題は効率が悪い
逆に「***」の問題は、難易度が高く理解するのに相当時間がかかるので、積極的に解く必要はありません。
難しい問題は、時間を掛けて何となく理解したつもりでも、本番で少し捻って出題されたら、まったく太刀打ちできないなんてことが多いです。
時間を多くかけた割にリターンが少ないです。
公務員試験は満点を目指す試験ではありません。
6,7割採って合格をさえすればいいんです。
■選び方は自分の状況に合わせて
そのほかには、難易度の高い国家総合職の過去問を無視したり、古すぎる問題は省いたり。
どのくらい本番までに勉強期間があるのかで、やらない問題の量を判断してください。
もしも問題を飛ばし過ぎたとして、試験本番前に逆に余裕ができたとしたら、そこから省いた問題を追加で解けば大丈夫です。
やった問題やっていない問題は、ちゃんと「掲載問題リスト」にメモすることができるので、忘れる心配はありません。
4.狙い撃ちして勉強する方法
♦逆転の発想
やらないテーマ、やらない問題の選び方について紹介しましたが、逆の考えもあります。
これまでは、「1冊全部解くのは大変だから、コスパが低いところは省いていこう」という考え方でした。
これとは逆に「コスパが高い部分だけ勉強していこう」という方法もあります。
公務員試験では勉強期間が限られているので、捨て科目を作る人は多いと思いますが、できればそんなに増やしたくないですよね。
捨てたくはないんだけど、重要科目の勉強に手一杯で、出題数が少ないサブ科目にまで手が回らない。
そんな悩みもあると思います。
そういった場合は、1科目丸ごと捨てるのではなく、「試験別出題傾向と対策」ページを見て、最頻出のテーマのみ、もしくはいくつかの頻出テーマを選んで勉強します。
♦コスパが低い科目でコスパを上げる
例えば、地方上級(全国型)の試験を受ける人にとって、出題数が少ない「国際関係」はサブ科目です。
そして地方上級(全国型)試験における、「国際関係」の過去15年間の出題数は以下のとおり。
- 国際連合 :2問
- 地域機構 :2問
- 国際関係史 :4問
- 日本外交史 :3問
- 国際紛争 :0問
- 平和と軍縮 :5問
- 国家と対外政策 :2問
- 国際関係理論 :3問
- 国際経済と開発支援:6問
- 国際社会問題 :2問
- 各国情勢 :0問
これを見ると「国際関係史」「平和軍縮」「国際経済と開発支援」の3テーマが他よりも比較的多く出題されていることが分かります。
この場合、国際関係を捨てたくないけど、十分な勉強時間が確保できない人は、この3テーマに絞って勉強するといいです。
過去の出題された29問中15問がこの3テーマから出題されています。
3テーマだけ勉強するだけでも、完全に捨てるよりは正解する可能性があります。
■問題で選ぶ方法も
私はサブ科目を勉強する際は、こういったコスパの高い部分だけをピックアップして勉強していました。
また、テーマではなく問題で選ぶ方法もあります。
難易度「*」の問題や必修問題だけを解くなど。
【関連記事】
⇒ 【公務員試験の模試日程】おすすめ7社まとめて紹介
5.スー過去の具体的な使い方
では続いて、『新スーパー過去問ゼミ』を使った具体的な学習方法について紹介します。
各テーマの構成は以下のとおりです。
- 必修問題
- POINT
- 実戦問題(基本レベル:約2~5問)
- 実戦問題(応用レベル:約2~5問)
♦POINT読んで問題解いて
どれから順番に進めてもいいんですが、私はまず「POINT」から読んでいました。
最初に必修問題を解いても全く意味不明だからです。
POINTには各テーマの重要な単語や知識が、2~10ページ程度で参考書のようにまとめられています。
ここで何となくテーマの全体を把握して、そのあと必修問題から順に問題を解いていきました。
実戦問題は「基本レベル」と「応用レベル」に分かれていますが、問題の難易度が「*」で示されているので、あまり気にしなくてもいいです。
■分からなければすぐ解説を
そして初めは、問題を1問1問じっくり時間を掛けて解かなくても大丈夫です。
どうせ難しすぎて分かりません。
分からなければすぐ解説を見ます。
選択肢のどこが間違いで、本当はどう正しいのか解説されているので、その解説を見て学んでいく感じです。
♦徐々に知識は定着していく
1周目はなんとなく理解できれば大丈夫です。
最初のうちからじっくり理解しようと思うと、かなり時間がかかってしまいます。
問題を解く ⇒ 解説を読む ⇒ ざっくり理解する ⇒ 次の問題に進む
こうやって1周目を終えるとぼんやり全体像が掴めてきます。
繰り返すことを前提で回すのです。
■似た過去問に遭遇する
なんとなくでも問題を解いていくと、1周目の1問目で分からなかった問題が、1周目の50問目を解いている頃に、「1問目の問題ってこういうことだったのか~」と分かったりすることがあります。
また、10問目の間違い選択肢が、80問目の正解選択肢で出てくるなんてことも。
さらに、「地理」と「地学」、「政治学」と「行政学」のように違う科目だけど、内容が被る科目もあるので、いろんな科目を勉強していると1周目で意外と知識は身に付いてくるもんです。
これを2周目3周目と続けると、ぼんやりしていた知識も頭に定着するようになってきます。
♦目的を間違えない
ただ、注意してほしいのは1周目だからといって、必要以上に機械的に解くのはNG。
なんとなく分かる程度で大丈夫とお伝えしましたが、それすらも放棄して、何も考えず解くだけだと、何も頭に残らず時間の無駄です。
最終的なゴールは知識の習得なのに、問題を解くこと自体が目的化してしまっては本末転倒です。
理解は難しくても、理解しようとする意識は持ちましょう。
■ノートにまとめることは重要ではない
また「スー過去」で勉強していく場合、ノートはそれほど必要ではありません。
大事なことはPOINTや問題の解説にしっかり書いてあります。
必要なことは「スー過去」自身に書き込んでも構いません。
ミクロ経済学・マクロ経済学や数的推理・判断推理などに限っては、計算方法等をノートに取ってもいいかもしれません。
ただ、ノートにまとめることに満足して、過去問を解くことを疎かにしないように。
【関連記事】
⇒【新スーパー過去問ゼミ5と6の違い】買い替えについても解説!
⇒ 新スーパー過去問ゼミ7はいつ発売する?詳しい発売時期を紹介
6.おわりに
『スーパー過去問ゼミ』の効果的な使い方について紹介しました。
基本的な心得は必ず押さえてください。
- 全部やらない
- 1回で終わらずに繰り返す
そのほか紹介した方法は、自分の受ける職種や、勉強に確保できる時間などを考慮して実践してみてください。
それ以上の細かい使い方や進め方は、自分で工夫して自分のスタイルを確立しましょう。
完全コピーもいいけど、多少自分流にアレンジするのもありです。
♦各公務員予備校を徹底比較!
【クレアール、アガルート、スタディング、EYE、伊藤塾、大原、大栄、LEC、ヒューマンアカデミー、フォーサイト、ユーキャン、SMART合格講座、東京アカデミー、TAC、東大公務員試験予備校、喜治塾、実務教育出版、公務員のライト】
公務員を目指す場合どの予備校を選べばいいか迷いますよね。
以下の記事では、複数の予備校の料金や特徴を分かりやすく比較しているので、予備校選びの参考にしてください。