日本で一番デカい消防組織はどこだと思いますか?

それはもちろん東京消防庁です。

職員数はなんと18,000人を超える日本のキングオブ消防。

今回はそんな東京消防庁の採用試験について、過去の出題傾向から、押さえるべき科目と捨ててもいい科目を解説します。

なお、この記事は東京消防庁Ⅰ類試験を受験する人向けに書いていますが、Ⅱ類も試験内容は似ていますので、Ⅱ類志望の方も参考にしてください。

ちなみに私は、東京消防庁Ⅰ類と政令指定都市の上級消防職に合格し、実際に政令指定都市で消防士として働いた経験があります。

目次

  1. 筆記試験の概要
  2. 教養試験の傾向と目標
  3. 取る科目・捨てる科目
  4. 出題科目数の移り変わり
  5. オススメの問題集
  6. まとめ

1.筆記試験の概要

東京消防庁の筆記試験は1次試験で実施されます。

内容としては以下の3つです。

  • 教養試験
  • 論文試験
  • 適性検査

試験のメインとなるのは教養試験です。

教養試験

五肢択一式(選択肢5つの中から答えを1つ選ぶ)の問題が45問出題されます。

解答時間は2時間で、出題科目は非常に多いです。

出題科目:文章理解、英文理解、判断推理、空間概念、数的処理、資料解釈、国語、歴史、地理、法学、政治、経済、社会事情、数学、物理、化学、生物

※受験案内に記載されているとおりの科目名を書いていますが、この記事では出題科目を分かりやすいように以下のように呼びます。
文章理解を文章理解(現代文)、英文理解を文章理解(英文)、数的処理を数的推理、歴史を日本史・世界史、社会事情を時事。

⇒ 東京消防庁の受験案内

この記事ではのちほど教養試験について深掘りしていきます。

論文試験

与えられた課題に対し、800字以上1,200字程度で論文を書きます。

制限時間は1時間30分。

参考に令和3年度、2年度の課題を紹介します。

令和3年度

「デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現が人間社会にどのような影響を与えるのか、あなたの考えを具体的に述べなさい。」

令和2年度

「下の資料から傾向を読み取り、行政機関が発信する情報を都民に広く周知するための効果的な方法を考え、具体的に述べなさい。」※実際の問題用紙には棒グラフと表が記載されています。

適性検査

東京消防庁の適性検査では、数字をひたすら足し合わせていく内田クレペリンと、性格適性の検査があります。

2.教養試験の傾向と目標

東京消防庁の教養試験は、理系出身か文系出身かで難易度は違ってきます。

東京消防庁の問題はそこまで難しくない

東京消防庁は、消防志望者から人気で受験倍率は高いですが、問題自体はそれほど難しくありません。

おそらく問題の内容自体は、政令指定都市上級の消防試験の方が難しいです。

政令指定都市の教養試験に比べ、シンプルな問題が多いです。

全科目、難易度は高くありません。

また、他の試験に比べ、出題数が多い科目と少ない科目がはっきりしているので対策が取りやすいです。

理系に有利

東京消防庁の教養試験は、自然科学(数学・化学などの理数系)や資料解釈の問題が、ほかの採用試験と比べかなり多く出題されるのが特徴です。

これはおそらく、消防士になると空気呼吸器の使用時間の計算、消防車から放出する水圧の計算、薬剤に関する知識、などが求められるためと思われます。

東京消防庁で出題される自然科学の問題レベルは、理系の人からすると基本的なレベルです。

他の消防試験よりも、自然科学の重要性が高いので、文系の受験生にとってはより難しい試験になります。

27~30問正解を目標にする

公務員の筆記試験を合格するには、6割の点数を取ることが目安だと言われています。

ただし、6割取れたからと言って必ず合格するわけではありません。

6割はあくまでボーダーで、合格する可能性があるということです。

よって、合格の可能性を高めるには6割ではなく、6割5分を目指すようにしましょう。

東京消防庁の問題数は全部で45問なので、27問正解で6割、30問正解で約6割5分です。

最低でも27問、できれば30問正解を目標に。

ただ、筆記試験は論文試験も加味されますし、その年度の難易度によって合格のボーダーも変わってきます。

26点以下で合格する場合もありますし、31点以上で落ちる可能性もあります。

3.取る科目・捨てる科目

出題内訳

令和3年度1類の教養試験で、出題された科目の内訳です。

  • 文章理解(現代文):5問
  • 文章理解(英文):3問
  • 判断推理  :6問 ※1
  • 数的推理  :4問
  • 資料解釈  :5問
  • 政治    :3問 ※2
  • 経済    :1問
  • 時事    :3問 
  • 世界史   :1問
  • 日本史   :1問
  • 地理    :1問
  • 国語    :2問
  • 数学    :4問
  • 物理    :2問
  • 化学    :2問
  • 生物    :2問
  • 合計    :45問

※1:空間把握(空間概念)を含む
※2:法学を含む

このように出題科目が多いので、試験勉強の時間があまり取れない人は、捨て科目を検討する必要あり。

ここでは、捨ててはいけない科目と捨てても大丈夫な科目について説明します。

まず結論から言うと、単純に出題数が多い科目は必ず勉強して、出題数が少ない科目から捨てていきます。

東京消防庁の問題の難易度は全て難しくないので、難易度については考慮せず、出題数だけで判断して大丈夫です。

捨てたら死ぬ科目

この8科目は絶対に捨ててはいけません。

  • 文章理解(現代文)
  • 文章理解(英文)
  • 判断推理
  • 数的推理
  • 資料解釈
  • 政治
  • 時事
  • 数学

この8科目だけで45問中33問も出題されます。

極端な話、この8科目33問だけ勉強しまくり、そのうち27問正解すれば、残りの8科目12問の中から、勘で3問当てると、6割5分の点数が取れることになります。

それぐらい大きなウェイトを占めています。

最重要は判断推理

中でも「判断推理」は最も出題数が多く、6問出題されます。

1科目で全問題の13%を占めている最重要科目です。

また、「数的推理や数学は苦手だから捨てようかな・・・」こう考えたら絶対にダメです。

45問中、8問捨てたことになります。

苦手だとしても逃げずに、そして諦めずに頑張りましょう。

資料解釈が多いのは東京消防庁の特徴

さらに東京消防庁は他の試験と違い、資料解釈が5問も出題されます。

他の消防試験では資料解釈は1、2問程度しか出題されません。

資料解釈は時間を掛ければ誰でも解くことができる科目なので、素早く解く練習をして、確実に点数を取れるようにしておきましょう。

【関連記事】資料解釈のオススメの参考書を紹介
⇒【資料解釈のオススメ参考書・問題集】6冊を厳選して徹底比較

捨ててもいい科目 4問

以下の4科目は、それぞれ1問ずつしか出題されません。

  • 経済
  • 世界史
  • 日本史
  • 地理

捨て科目を作るなら、真っ先にこの4科目から選ぶべきです。

それぞれ、全問題数に占める割合はわずか2%のみです。

文系の人なら勉強したい科目かもしれませんが、勉強とその対価が比例しません。

コスパが悪いです。

もちろん試験日まで十分余裕がある人は勉強しましょう。

さらに勉強する科目を減らしたい人

先に挙げた、「経済・世界史・日本史・地理」を全て捨てたけど、それでも勉強時間が足りない、捨て科目を追加したいという人は以下の科目から選びましょう。

  • 国語
  • 物理
  • 化学
  • 生物

それぞれ2問ずつ、合計8問出題されます。

どれもそこまで難易度は高くないので、時間があるなら勉強しておきたいところです。

文系の人は、物理や化学に苦手意識があるかもしれませんが、頑張って取り組めば点数は取れます。

国語は、四字熟語や慣用句の意味などを問われます。

もし捨てる場合は、自分が苦手だと思う科目から順に捨てましょう。

4.出題科目数の移り変わり

参考までに、過去の教養試験の出題科目数の変化です。

平成27年度 ⇒ 平成29年度 ⇒ 令和元年度 ⇒ 令和3年度の順に並べています。

出題数が変わっている所を太字にしています。

  • 現代文 :4問 ⇒ 4問 ⇒ 5問 ⇒ 5問
  • 英文  :2問 ⇒ 2問 ⇒ 3問 ⇒ 3問
  • 判断推理:7問 ⇒ 7問 6問 ⇒ 6問
  • 数的推理:4問 ⇒ 4問 ⇒ 4問 ⇒ 4問
  • 資料解釈:3問 5問 ⇒ 5問 ⇒ 5問
  • 政治  :4問 3問 ⇒ 3問 ⇒ 3問
  • 経済  :1問 ⇒ 1問 ⇒ 1問 ⇒ 1問
  • 時事  :2問 ⇒ 2問 3問 ⇒ 3問 
  • 世界史 :1問 ⇒ 1問 ⇒ 1問 ⇒ 1問
  • 日本史 :1問 ⇒ 1問 ⇒ 1問 ⇒ 1問
  • 地理  :1問 ⇒ 1問 ⇒ 1問 ⇒ 1問
  • 国語  :1問 ⇒ 1問 2問 ⇒ 2問
  • 数学  :5問 ⇒ 5問 ⇒ 4問 ⇒ 4問
  • 物理  :3問 ⇒ 3問 2問 ⇒ 2問
  • 化学  :3問 ⇒ 3問 ⇒ 2問 ⇒ 2問
  • 生物  :3問 2問 ⇒ 2問 ⇒ 2問

6年間であまり大きな変化はありませんが、理数系の問題が減り、文章理解・時事・国語などが増えたことが分かります。

それでも他の試験に比べれば、資料解釈や自然科学などの問題が多いです。

【関連記事】
⇒ 消防士の試験に合格するためにはいつから予備校に入るべき!?

5.オススメの問題集

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自分の実力試しや時間配分の練習をすることができます。

さらに予想問題集1セット付いている優れものです。

※現代文と英文の中には、著作権の都合上、掲載されていない問題があります。
解く時間を測る場合は、あらかじめ代替え問題を準備しておくなど、注意が必要です。

6.まとめ

この記事のまとめ、重要な科目はこのような感じです。

  • 最重要:判断推理、資料解釈、文章理解(現代文)
  • 重要:数的推理、数学、文章理解(英文)、政治、時事
  • 普通:国語、物理、化学、生物
  • 捨ててもいい:経済、世界史、日本史、地理

東京消防庁のⅠ類を目指している方は、受験要件に該当すれば専門系、Ⅰ類1回目、Ⅱ類、Ⅰ類2回目と4回も試験にチャレンジをすることができます。

1回落ちたくらいで落ち込まず、諦めずに挑戦し続ければ筆記試験は必ず合格できます。

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