今回は教養試験について。
ほとんどの公務員試験では教養試験が課されます。
出題科目が膨大でどの参考書・問題集を使えばいいか迷いますよね。
私は低スペックにも関わらず、これまで何回も公務員試験に合格し、消防士、町役場の行政職員、政令指定都市の行政職員と3つの職場で働いてきました。
その経験を踏まえ、教養試験の学習でオススメの参考書・問題集を紹介していきます。
【この記事を書いた人】
・政令市の消防士と行政職、町役場を経験
・公務員試験は独学・予備校両方で合格を経験
・YouTube ⇒ ハチサン公務員
★目次
- 新スーパー過去問ゼミ
- 速攻の時事
- 畑中敦子の資料解釈ザ・ベストプラス
- 過去問500
- 理解しやすいシリーズ
- 科目別・テーマ別過去問題集
- まとめ
1.「新スーパー過去問ゼミ」
いわゆる「スー過去」です。
実務教育出版が出版している「新スーパー過去問ゼミ」は公務員試験の問題集・参考書の中ではおそらく一番メジャーなものです。
これまでに多くの合格者に愛用されてきた参考書。
私も予備校に通っていた時に「新スーパー過去問ゼミ」を使っていましたし、独学で合格した時もこれを使っていました。
♦なぜ「新スーパー過去問ゼミ」が優れているのか
- 試験別に出題傾向が記載されている
- すべて実際に出題された過去問が使われている
- 問題の難易度や重要度が示されているので効率よく勉強ができる
■①試験別に出題傾向が記載されている
テーマごとに国家総合職、国家一般職、国家専門職、地方上級(全国型)、地方上級(東京都)、地方上級(特別区)、市役所(C日程)など職種別に過去十数年分の出題数がリスト化されています。
そのため、志望する試験に合わせて効率よく勉強することが可能です。
普通の参考書なら、出題範囲が分からずに、何となく一冊丸ごと勉強すると思います。
しかし「新スーパー過去問ゼミ」であれば、自分が志望している試験の過去十数年間の出題傾向を見て、1問も出題されていないテーマがあればそこを省くことができるんです。
そして、逆にリストを見て、毎年問題が出題されているテーマは、重点的に学習をしていく必要があります。
例えば、「スーパー過去問ゼミ(社会科学)」の「法学一般」というテーマをリストで見てみます。
地方上級(特別区)の試験では、過去15年間で約15問出題されている重要テーマですが、国家専門職の試験では、なんと15年間で1問も出題されていません。
こういった出題傾向が分かってしまうのが「新スーパー過去問ゼミ」の優れている点です。
■②すべて実際に出題された過去問が使われている
参考書の名前の通り「新スーパー過去問ゼミ」に掲載されている問題は、全てこれまで各公務員試験で実際に出題された問題です。
国家公務員試験や一部の地方上級試験は、試験内容が公表されているため、それらを基に「新スーパー過去問ゼミ」には問題が収録されています。
それ以外の問題についても受験生から得た情報から、復元されたものが収録されています。
ほかの参考書の中には、独自に作られた問題で学習を進めていくものも多いです。
しかし公務員試験は、過去に出題されている問題と似た問題が非常に多く出題されるため、実際に出題された過去問を解いて学習していくことが重要です。
■③問題の難易度や重要度が示されているので効率よく勉強ができる
「新スーパー過去問ゼミ」に収録されている問題には、必修問題と雷マークの付いた重要問題が含まれています。
そして全ての問題には1~3レベルまで難易度が示されています。
これらすべての問題を解くことができればそれに越したことはないです。
しかし、公務員試験は範囲がものすごく広いので、おそらく全科目全問題を何周も解くことは難しいです。
そのため、「必修問題と重要問題だけは必ず解く」、「難易度3の問題は諦めて、難易度が易しい問題だけ完璧に解けるようにする」など自分のスケジュールと合わせて、取捨選択して効率よく学習していくことが重要。
「新スーパー過去問ゼミ(社会科学)」
政治、経済、社会が収録されています。
「新スーパー過去問ゼミ(人文科学)」
日本史、世界史、地理、思想、文学・芸術が収録されています。
「新スーパー過去問ゼミ(自然科学)」
数学、物理、化学、生物、地学が収録されています。
「新スーパー過去問ゼミ(文章理解・資料解釈)」
現代文、英文、古文、資料解釈が収録されています。
2.「速攻の時事」
先述した各科目は「新スーパー過去問ゼミ」での学習が有効ですが、時事問題については、実務教育出版から発行されている「速攻の時事」をオススメします。
時事問題の参考書としては「速攻の時事」がおそらく一番受験生から支持されており、一番売れています。
♦なぜ「速攻の時事」が優れているのか
- 新しい情報が記載されている
- 幅広いジャンルの時事を扱っている
■①新しい情報が記載されている
公務員試験は、毎年似た内容の問題が出題されるため、過去問を解いて勉強することが基本となりますが、時事問題については、その性質から新しい情報が必要となります。
「速攻の時事」は毎年毎年その年度の試験に合わせて新しいバージョンで出版されるため、新しい知識で時事問題に対応することができます。
注意すべき点は、前年度の「速攻の時事」を間違って買わないようにすることです。
新しい年度に対応した「速攻の時事」を購入しましょう。
まだ、出版されていない場合、新しく出版されるまで待つべき。
■②幅広いジャンルの時事を扱っている
政治・経済を中心に、スポーツや環境、社会問題といった様々なテーマを取り扱っており、守備範囲が広いです。
そのため「速攻の時事」で時事を勉強しておけば、小論文、集団討論、国際関係など、他の試験でも学んだ知識を活かすことが可能です。
【関連記事】
⇒『速攻の時事』の評価は?買うタイミングについても解説します
3.「畑中敦子の資料解釈ザ・ベストNEO」
出題される表やグラフの意味を把握して、素早く解答しなけれならないのが資料解釈。
資料解釈は「畑中敦子の資料解釈ザ・ベストNEO」での学習が効果的です。
♦オススメする理由
資料解釈は、表やグラフを読み解く問題で問題自体は簡単なので、中学生でも解くことができます。
しかし、コツを知らずに問題を解いていけば、かなり時間を消費してしまいます。
制限時間内に、多くの問題を解かなけれならない公務員試験では、1問に多くの時間を費やすことは致命的です。
「畑中敦子の資料解釈ザ・ベストNEO」では資料解釈を単純に計算して解いていくのではなく、より簡単に問題が解けるように、計算のテクニックを紹介しています。
このテクニックを使うことで効率よく問題を解くことが可能です。
さらに収録されている問題は、全て過去問を使用しているため、実戦的な学習ができます。
問題の出題傾向が記載されている、「新スーパー過去問ゼミ」を合わせて利用することもオススメです。
4.「過去問500」
♦知識の底上げに
「新スーパー過去問ゼミ」と併せて使用をオススメする問題集が、実務教育出版の「過去問500」シリーズです。
「過去問500」は、公務員試験の問題集としてはかなりメジャーなものです。
「新スーパー過去問ゼミ」の専門試験科目は、1教科ごとに1冊出版されていますが、教養試験の「新スーパー過去問ゼミ」は複数の科目が1冊にまとめられています。
そのため、掲載問題数が物足りないと感じる場合があるかもしれません。
それを補う知識の底上げとして「過去問500」の活用がより重要となります。
♦過去問500の仕様
実際に出題された十数年分の過去問約500問を科目ごとに分け、それを1冊にまとめた仕様になっています。
基本的に1ページに問題と解説の両方が載っており、非常にシンプルです(解説を紙やシートで隠して使いましょう)。
一口メモや挿絵など無駄がないので使いやすいです。
さらに、この問題集の良いところは、最初のページで実際の試験における出題の内訳が複数年分掲載されているところ。
これにより、どの科目を重点的に勉強すべきか、把握することが可能。
「過去問500」は以下のシリーズが出版されています。
- 市役所上・中級(専門試験と併用)
- 大卒警察官
- 国家専門職(大卒)(専門試験と併用)
- 地方上級
- (大卒高卒)消防官
- 国家一般職(大卒)
- 東京都・特別区(Ⅰ類)(専門試験と併用)
- 国家総合職
また、最新版では前年度の試験問題も掲載されています。
【関連記事】
⇒ 国立大学法人試験用の過去問500はある?ないならどれを選ぶべきか
5.「理解しやすいシリーズ」
自然科学(数学/物理/化学/生物/地学)が苦手 で「新スーパー過去問ゼミ」と「過去問500」だけでは学習が不安という方は文英堂から出版されている高校生用の参考書「理解しやすいシリーズ」を追加で購入することをオススメします。
これは全て一から読むのではなく、過去問を解いて分からないところにぶち当たった場合にその部分だけ見る、あくまで副読本的な位置づけで利用するといいです。
「理解しやすいシリーズ」で数学が理解できなければ、それよりも入門的な内容で同じく文英堂から出版されている「これでわかるシリーズ」がオススメ。
※2023/9/11追記:出版年が2013年ごろと少し古く、改訂版も出ていません。
6.「科目別・テーマ別過去問題集」
そして、より実戦的な問題集がTAC出版から出版されているこちらの「科目別・テーマ別過去問題集」です。
実際の過去問が科目別・出題テーマ別に収録されている点は過去問500シリーズと一緒(過去5年分)。
それだけではなく巻末に冊子の状態で、最新の過去問がそのままの問題配列で収録されています。
実際の過去問を取り外して使用できるので、模試に近い形で問題を解くことができます。
問題を解くペース配分もこれで確認できますね。
また、自分は今どのくらい点数が取れるのか、現状の立ち位置を把握することもできます。
※著作権の問題で掲載されていない問題もあるので、問題を解き始める前にチェックしておきましょう。
「科目別・テーマ別過去問題集」シリーズは試験別に以下の7種類が出版されています。
- 国家一般職
- 国税専門官
- 裁判所職員一般職
- 特別区I類
- 東京都I類B
- 警視庁警察官Ⅰ類
- 東京消防庁Ⅰ類
こちらから試験種別に購入が可能です ⇒ 科目別・テーマ別過去問題集
7.まとめ
教養試験のみの公務員試験と、教養試験+専門試験の公務員試験では勉強しなければならない範囲が全然違います。
教養のみの公務員試験を受験する人は、「新スーパー過去問ゼミ」や「過去問500を」を中心に勉強し、不安があれば高校用の参考書を確認用で使ってください。
専門試験もある場合は全ての科目、全ての範囲を万遍なく勉強することは非常に難しいです。
「新スーパー過去問ゼミ」や「過去問500」を利用して効率のいい学習方法を確立させましょう。