公務員試験を受験するほとんどの人は、初めて試験を受けると思いますが、いきなりぶっつけ本番で筆記試験に挑むのは無謀です。
戦う前には必ず相手を知り、自分の実力を把握しておくことが重要です。
その大事なツールとなるのが公務員試験の「模試」
毎年、公務員予備校や出版会社などが複数回実施しています。
そこで、今回は模試受けるべき理由とデメリットに紹介します。
【この記事を書いた人】
・政令市の消防士と行政職、町役場を経験
・公務員試験は独学・予備校両方で合格を経験
・YouTube ⇒ ハチサン公務員
★目次
- 模試の受験方法と日程
- 模試を受けるべき4つの理由
- デメリット
- 模試は複数回受けた方がいい
- 模試形式の過去問題集を活用
- 面接対策
- まとめ
1.模試の受験方法と日程
♦受験方法
模試を受ける方法は自宅受験と会場受験の2パターン。
■自宅受験
自宅受験の場合、問題用紙が送られてくるので、自宅や図書館などで自分で時間を測って試験を受けます。
そのため、静かに問題を解く環境を自分で準備する必要があります。
問題を解いた後は、答案用紙を模試を実施している会社に返送して完了です。
■会場受験
会場受験は指定された会場に足を運び、他の受験生と一緒に模試を受けます。
公務員予備校が実施する模試の場合は、会場受験があることが多いです。
会場まで行く手間はかかりますが、その場で答案用紙が回収されます。
♦模試の日程
模試を実施している会社は複数あります。
主要な6社は以下のとおり
- LEC東京リーガルマインド
- TAC
- 実務教育出版
- 産経新聞社
- 東京アカデミー
- 資格の大原
- クレアール
各社、1年で複数回模試を実施しています。
例年、早いところで11月から実施しており、模試が一番集中するのは3月4月。
【関連記事】
⇒ 2024年度【公務員試験の模試日程】おすすめ7社まとめて紹介
2.模試を受けるべき4つの理由
模試を受ける理由は以下のとおり。
- 自分の実力が把握できる
- ペース配分がつかめるようになる
- 本番の空気感や雰囲気に触れる
- 知識の再確認と習得ができる
それぞれ詳しく説明します。
♦①自分の実力が把握できる
通学講座や通信講座、独学に関わらず、ただ試験勉強を続けているだけでは、自分の実力がどのくらいか把握することができませんよね。
一方、模試を受けることで、種類によって提供されるデータは違いますが、何点取れたかはもちろんのこと、平均点や順位、判定、偏差値など様々なデータを知ることが可能です。
そのため、模試は勉強の成果を確認するのにかなり役立ちます。
■勘違いを是正してくれる
また、模試を受けずに過去問だけ繰り返し解いていると、問題に慣れ、何でも解けると勘違いしてしまうことがあります。
しかし、模試のような新しい問題を解いてみてください。
意外と点数は取れません。
思ったより順位も低くなるかもしれません。
もしも模試での順位が平均以下だった場合は、より一層勉強に打ち込む必要があります。
ただ結果に悲観せず、現状を知ることができたとポジティブに捉え、そこから努力すれば逆転は可能です。
♦②ペース配分がつかめるようになる
筆記試験では40~50問程度問題が出題されますが、解く時間が足りない人がほとんどでしょう。
特に数的推理や文章理解などがある教養試験は、時間との戦いになります。
私は教養試験で全問きちんと解けたことがありません。
■模試は自分の戦略を試せる場所
なので少しでも効率よく問題が解けるように、問題を解く順番、時間配分などを考えておくことは重要です。
一つの難しい問題に悩み過ぎて、簡単な問題にたどり着く前に制限時間を迎えてしまったら最悪です。
しばらく悩んで分からなければ、諦める勇気を持つことも大切。
こういった実践&練習の場として活躍するのが模試です。
模試を複数回受けることで、上手な時間の使い方ができるようになります。
♦③本番の空気感や雰囲気に触れる
公務員試験本番というのは緊張感があります。
周囲の受験生が、問題用紙のページを次々とめくっていく音が聞こえてくると焦ります。
いつもなら落ち着いて解くことができる問題でも、計算ミスをしてしまうことも。
■できれば会場受験を経験しておきたい
また、自分の席の横や前後の受験生が、貧乏ゆすりや癖の強い人間だった場合はかなり厳しい戦いになります。
しかし、自分の近くの席に誰を座らせるか決めることなんてできません。
そういったことも含めて、本番前に周囲に人がいる状況で、問題を解くことに慣れておくことは大切です。
過去問を黙々と一人で解くのとは勝手が違います。
模試は自宅受験と会場受験の2種類ありますが、できれば1度は会場受験を経験しておきたいところ。
♦④知識の再確認と習得ができる
日頃、受験生は過去問などを解いて復習し、知識を積み上げていくと思いますが、模試の問題も同様です。
問題を解いた後は、結果だけを見て終わりにしてはいけません。
答え合わせしたあとにきちんと解説を読むことで、自分の知識として吸収することができます。
結構、問題解いて放置プレイの人が多い印象。
せっかく、お金を払っているのにもったいないです。
■予想問題が本番で出ることも
また、過去問とは違い、各社予想問題を出しているので、同じような問題が実際に本番で出る可能性もあります。
特に過去問では勉強できない、時事問題を学習できる点が大きなメリット。
なので、なおさら模試の復習は大切。
つまり、過去問で勉強した知識の再確認と、新しい知識の習得、この2つの効果を得ることができます。
3.デメリット
それほど大きなデメリットはありませんが、強いて挙げるなら以下の3点。
♦①お金がかかる
もちろん模試を受験する場合は、受験料がかかります。
各社の受験料を確認したところ、だいたい2,500円~7,000円程度でした。
「教養試験」、「教養試験+専門試験」、+「論文試験」など模試のパターンで金額は変わってきます。
また、会場受験に比べ、書類の郵送などが伴う自宅受験の方が割高になる傾向です。
■将来への先行投資
とはいえ、公務員試験に合格できるかどうかは、自分の人生を左右する大事なことです。
お金がもったいないからと言って、模試を受けないのはオススメしません。
公務員になれば、公務員試験のために出費したお金は微々たるものだったと言えます。
♦②精神的ダメージを受ける
人間なので模試の結果が悪ければ、精神的に不安になるかもしれません。
特に、初めて公務員試験の勉強をする人は、早めに行われる12月、1月の模試では、まだまだ解ける問題が少なく、浪人生と比べて点数が低くなるかもしれません。
「めちゃくちゃ勉強したのに、こんな低い順位かよ!」と落ち込みます。
■それでも受けよう
しかし、自分がまだまだ実力不足ということを気づかせてくれるので、点数が低くなったとしてもそれを糧に、より勉強に集中していきましょう。
「まだあんまり勉強していないし、自分の実力を知りたくない」こう思って模試を敬遠する人もいるかもしれません。
でも逃げずに現状を確認してください。
精神的ダメージは受けるかもしれませんが、やる気も倍増するはず。
♦③時間がかかる
模試を受ける場合、問題を解くのに数時間はかかります。
もしも、教養科目、専門科目、論文のセット模試を受けるなら、朝から夕方までかかるかもしれません。
それに模試の解説、復習まで合わせると2日間かかる場合も。
中には、「そんなに時間がかかるなら過去問を解いていた方がマシ」と考える人もいると思います。
この考えは私も理解できます。
膨大な量を勉強しないといけない公務員受験で、2日間も勉強時間を削るのは痛いですよね。
■決して時間の無駄ではない
ただ、模試も立派な勉強です。
メリットでも挙げたように、ペース配分の勉強になりますし、緊張感に慣れる訓練でもあります。
そして、知識の再確認と新しい知識も習得もできます。
そう考えると、時間をかけるだけの価値はあります。
【関連記事】
⇒【東京アカデミーの公務員模試】日程や特徴を詳しく解説します
4.模試は複数回受けた方がいい
私が実際に公務員試験を受けるときは、模試、もしくは後述する模試形式の過去問題集を使い、毎月実戦形式で自分の実力を試していました。
模試はできれば複数回受けることが好ましいです。
なぜなら、一度だけでは自分の真の実力が分からないからです。
■たまたま相性が良かっただけということも
私は、本番3か月前の模試で、7割近く点数が取れたことがあったので、これでもう楽勝だろうと気が緩んだ時期がありました。
しかし、その次に受けた模試では5割以下という散々な結果に。
7割近く点数が取れたのは、たまたま模試で出題された問題と、自分の持っていた知識とが合致しただけでした。
1回だけの受験ではこのように自分の実力を錯覚してしまいます。
逆もしかりで、点数が全く取れないと落ち込んでいても、実はたまたま模試で出題された問題と、自分の相性が最悪だったというだけの場合もあります。
なので、模試を複数回受けることで、自分の実力をきちんと把握することができるのです。
5.模試形式の過去問題集を活用
とはいえ、毎月毎月模試を受ければさすがにお金がかかります。
そこで、オススメなのが模試形式の過去問題集の活用です。
順位などは分かりませんが、力試しには申し分ないです。
例えば、以下のような模試とのコンビネーションで実戦経験を積むことができます。
- 1月:模試形式の問題集
- 3月:模試(自宅)
- 5月:模試(会場)
- 6月:模試形式の問題集
そこでオススメなのが以下の2つのシリーズです。
♦①科目別・テーマ別過去問題集
巻末に冊子の状態で、最新の過去問がそのままの問題配列で収録されています。
実際の過去問を取り外して使用できるので、模試に近い形で問題を解くことができます。
問題を解くペース配分もこれで確認できますね。
また、自分は今どのくらい点数が取れるのか、現状の立ち位置を把握することもできます。
TACから出版されており、以下の7種類があります。
- 国家一般職
- 国税専門官
- 裁判所職員一般職
- 特別区I類
- 東京都I類B
- 警視庁警察官Ⅰ類
- 東京消防庁Ⅰ類
本命がこれらの官公庁ではなくても、練習として使えます。
※文章理解については著作権の都合で問題が掲載されていない場合もあるので、そこだけ他の過去問を代用することをオススメします。
♦②○○試験早わかりブック
この本は、前半では各試験の概要や、これまでのテーマごとの出題数がまとめられています。
後半には実際の過去問が掲載されているので勉強にも使えます。
実務教育出版から出版されており、現在は以下の7つが販売されています。
- 社会人が受けられる公務員試験早わかりブック
- 市役所試験早わかりブック
- 消防官試験早わかりブック
- 警察官試験早わかりブック
- 地方上級試験早わかりブック
- 高校卒で受けられる公務員試験早わかりブック
- 市町村職員になるための早わかりブック
こちらも良本です。
6.面接対策講座
模試の受験と同時に進めておきたいのが面接対策。
面接試験が不安な方は公務員予備校が実施している面接対策講座の受講を考えてみてください。
面接試験前に模擬面接は必ず受けておきたいところ。
例えばアガルートでは、「筆記試験対策+面接対策」だけでなく「面接対策のみ」の講座を実施しています。
通信なのでどこからでもオンラインで模擬面接が受講可能。
面接慣れをしておきましょう。
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⇒ アガルートの公務員講座の面接対策ってどう?詳しくまとめてみた
【講座の詳細 / 申し込み】
⇒ アガルートの公式ホームページ
7.まとめ
例え模試の点数が低くても、きちんと勉強して、実力はついていると自分で実感できているのであれば、必要以上に気にする必要はありません。
公務員試験合格の目安は6割以上の点数を取ることと言われています。
私が模試で6割以上点数を取れたのはほんの少しだけでした。
それでも実力が磨かれているという実感はありましたし、実際に複数の筆記試験に合格することができました。
みなさん面倒臭がらずに模試を受けましょ~。