【専門試験の捨て科目】各公務員試験の捨てNG科目・捨てOK科目

公務員試験で「捨て科目」をどうしようか迷っている方へ。

この記事では、地方上級など8つの試験において「捨ててもいい科目」を紹介しています。

どれを捨てるかは自分の戦略に合わせて考えてください。

併せて、捨ててはいけない「押さえるべき科目」も紹介します。

【この記事を書いた人】
政令市の消防士と行政職、町役場を経験
公務員試験は独学・予備校両方で合格を経験
YouTube ハチサン公務員

目次

  1. 捨て科目の考え方
    • なぜ捨て科目は必要?
    • 捨て科目を選ぶ基準
  2. 地方上級の押さえる科目・捨て科目
    • 全国型
    • 関東型
    • 中部・北陸型
  3. 市役所上級の押さえる科目・捨て科目
    • 市役所A日程
    • 市役所B日程
    • 市役所C日程
  4. 特別区の押さえる科目・捨て科目
  5. 国家一般職の押さえる科目・捨て科目
  6. まとめ

1.捨て科目の考え方

なぜ捨て科目は必要? 

試験範囲は膨大

教養試験だけでなく、専門試験も実施される公務員試験の場合、出題される科目が膨大なためかなりの勉強が必要となります。

だからと言って、試験日までの限られた時間で、全ての科目を網羅的に勉強することはオススメできません。

ほとんどの人はそのように勉強してしまうと広く浅い学習になってしまいます。

そのためどの科目でも知識が定着せず、点数を伸ばすことができません。

効率が大事

もちろん、勉強時間に余裕がある人は全科目勉強しても構いません。

しかし多くの人は仕事や部活、授業等で勉強時間が限られています。

点数を取るためには思い切って勉強をしない科目を作り、効率的に勉強していくことが必要となります。

それが捨て科目という考え方です。

捨て科目を選ぶ基準 

しかし、何でも自由に捨ててもいいという訳ではありません。

絶対に捨ててはいけない「押さえるべき科目」もあるからです。

出題数と難易度

捨て科目を作る際の判断基準は、主に科目ごとの出題数と難易度です。

効率よく勉強していくためには、出題数の多い科目を押さえて、出題数の少ない科目を優先的に捨てるべきです。

また、難易度の高い科目は習得するのに時間がかかるため学習効率はよくありません。

捨てる科目に迷った場合は、出題数を考慮しつつ難易度の高い科目も捨て科目として検討してください。

【関連記事】
⇒ 公務員試験の捨て科目とは?その意味や戦略の立て方をゼロから解説

注意点

科目ごとの出題数については多少年度によって変わる可能性があります。

そのため、この記事は傾向の把握として見てください。

また、選択解答の場合は回答できる問題を選ぶことができるので、必須回答よりは柔軟に捨て科目を選ぶことができます。

ちなみに経済系の科目は、「ミクロ経済学」、「経済事情」など細かく科目分けせずに「経済原論」や「経済学」として、まとめて出題している自治体も多いです。

2.地方上級の押さえる科目・捨て科目

地方上級試験で、紹介するのは以下の3つの試験です。

  1. 地方上級(全国型)
  2. 地方上級(関東型)
  3. 地方上級(中部・北陸型)

出題数と難易度 

出題数は各自治体によって多少の違いがあります。

科目  全 国   関 東  中部北陸 難易度
政治学 2 2 2 ★★★☆☆☆
行政学 2 2 2 ★★★☆☆☆
憲法 4 4 5 ★★☆☆☆☆
行政法 5 5 8 ★★★★★☆
民法 4 6 7 ★★★★★★
刑法 2 2 2 ★★★★☆☆
労働法 2 2 2 ★★☆☆☆☆
ミクロ経済学 5 7 5 ★★★★★☆
マクロ経済学 4 5 3 ★★★★★☆
経済政策 0 2 2 ★★★★☆☆
経済史 0 1 0 ★★★☆☆☆
経済事情 0 0 2 ★★★☆☆☆
経営学 2 2 0 ★★★☆☆☆
財政学 3 4 4 ★★★★☆☆
社会政策 3 3 2 ★★☆☆☆☆
国際関係 2 3 2 ★★★★☆☆
社会学 0 0 2 ★★★☆☆☆
合計 40 50 50

関東型と中部・北陸型は50問から40問を選択して解答させる自治体が多いです。

①地方上級(全国型) 

押さえる科目

  • 憲法
  • 民法
  • 行政法
  • ミクロ経済学
  • マクロ経済学

どれも4問以上出題されるので押さえておくべき科目です。

この5科目だけで22問出題されます。

捨て科目候補

  • 第一候補群:刑法国際関係
  • 第二候補群:政治学・行政学・経営学

刑法は出題数が少なく、難解な問題もあるため捨て科目筆頭です。

ただ、捨てる科目を増やすほど、ほかの科目にしわ寄せが来ます。

②地方上級(関東型) 

押さえる科目

  • ミクロ経済学
  • 民法
  • 行政法
  • マクロ経済学

選択解答なので、必須解答の試験に比べると絶対的重要度は下がります。

ただ、ミクロ経済学は出題数が多く最も重要な科目です。

捨て科目候補

  • 第一候補群:経済史刑法経済政策
  • 第二候補群:政治学・行政学・経営学

「経済史」は教養経済、「経済政策」はミクロ・マクロと内容が被るので、元々それらに特化して勉強する人は少ないです。

捨てるというより、ほかの経済系科目の勉強で事足ります。

③地方上級(中部・北陸型) 

押さえる科目

  • 行政法
  • 民法
  • 憲法
  • ミクロ経済学

この4科目だけで半数の25問が出題されます。

50問から40問選択するので、極端な話、この4科目だけで6割点数が取れます。

捨て科目候補

  • 第一候補群:刑法経済政策国際関係
  • 第二候補群:政治学・行政学・経済事情・社会学

どれも2問ずつのみの出題です。

刑法は他の科目と親和性も低いので、捨てても他の科目に影響はありません。

3.市役所上級の押さえる科目・捨て科目

市役所上級試験で、紹介するのは以下の3つの試験です。

  1. 市役所A日程
  2. 市役所B日程
  3. 市役所C日程

市役所A日程は6月の後半、B日程は7月の後半、C日程は9月の後半に試験が実施されます。

出題数と難易度 

各自治体によって、出題数は多少の違いがあります。

また、専門試験には、解答必須タイプと選択解答タイプががありますが、ここでは解答必須タイプの出題内訳を記載しています。

科目 A日程 B日程 C日程 難易度
政治学 2 2 2 ★★★☆☆☆
行政学 2 2 2 ★★★☆☆☆
憲法 4 4 4 ★★☆☆☆☆
行政法 5 5 5 ★★★★★☆
民法 4 4 4 ★★★★★★
刑法 2 2 2 ★★★★☆☆
労働法 2 2 2 ★★☆☆☆☆
ミクロ経済学 5 3 2 ★★★★★☆
マクロ経済学 6 3 4 ★★★★★☆
経済政策 0 3 4 ★★★★☆☆
経済事情 0 2 1 ★★★☆☆☆
財政学 3 3 3 ★★★★☆☆
社会政策 3 3 3 ★★☆☆☆☆
国際関係 2 2 2 ★★★★☆☆
合計 40 40 40

①市役所A日程 

押さえる科目

  • マクロ経済学
  • ミクロ経済学
  • 行政法

マクロ経済学とミクロ経済学は経済原論として11問出題されます。

次いで行政法が5問出ます。

捨て科目候補

  • 第一候補群:刑法国際関係
  • 第二候補群:政治学・行政学

刑法と国際関係が捨て科目の第一候補。

労働法も2問のみの出題ですが、難易度が低いため、捨てるのはもったいない。

②市役所B日程 

押さえる科目

  • 行政法
  • 憲法
  • 民法

行政法が5問と最も多く出題されます。

憲法は出題数が多く難易度が低いため、押さえておきたい科目です。

捨て科目候補

  • 第一候補群:刑法国際関係
  • 第二候補群:政治学・行政学

捨て科目候補でも、自分の得意な科目であれば学習しても構いません。

経済事情は出題数が少ないですが、経済学として出題されているので、ほかの経済科目と一緒に勉強しましょう。

③市役所C日程 

押さえる科目

  • 行政法
  • 憲法
  • 民法

憲法は多く出題されますが、難易度が低いためおいしい科目です。

民法は難易度が高いですが、出題数を考えると押さえておきたいところ。

捨て科目候補

  • 第一候補群:刑法国際関係
  • 第二候補群:政治学・行政学

自分の得意科目は、出題数が少なくても無理に捨てる必要はありません。

「ミクロ経済学」、「マクロ経済学」、「教養科目の経済」を学習すると、「経済政策」と「経済事情」もカバーできます。

【関連記事】
⇒【公務員試験の政治学これで分かります】勉強法や重要度など解説

4.特別区の押さえる科目・捨て科目

特別区は55問から40問を自由に選択して解答できるので、必ず押さえるべき科目はありません。

捨て科目も同様です。

出題数と難易度 

科目 特別区 難易度
憲法 5 ★★☆☆☆☆
行政法 5 ★★★★★☆
民法Ⅰ 5 ★★★★★★
民法Ⅱ 5 ★★★★★★
ミクロ経済学 5 ★★★★★☆
マクロ経済学 5 ★★★★★☆
財政学 5 ★★★★☆☆
経営学 5 ★★★☆☆☆
政治学 5 ★★★☆☆☆
行政学 5 ★★★☆☆☆
社会学 5 ★★★☆☆☆
合計 55

特別区 

押さえる科目

  • 憲法

自由に解答できるので、絶対に押さえるべき科目はありません。

ただ、難易度が低い憲法は得点化しやすいです。

捨て科目候補

  • 第一候補群:民法Ⅰ・民法Ⅱ
  • 第二候補群:ミクロ経済学・マクロ経済学・行政法

これらの科目は、ほかの試験では重要科目なので、併願を考えている場合は、慎重に選びましょう。

また、特別区はほかの試験に比べ、出題される科目数が少ないので、捨て科目を積極的に作る必要はありません。

【関連記事】
⇒ 【公務員試験の国際関係】捨てるか戦うか。難易度・勉強法を紹介

5.国家一般職の押さえる科目・捨て科目

国家一般職は80題から40題を選択して解答することができます。

ただ特別区とは違い、完全に任意の40題を回答するのではなく、8つの科目を選んで回答しなければいけません。

出題数と難易度 

科目 国家一般 難易度
政治学 5 ★★★☆☆☆
行政学 5 ★★★☆☆☆
憲法 5 ★★☆☆☆☆
行政法 5 ★★★★★☆
民法(総則・物権) 5 ★★★★★★
民法(債権・親族・相続) 5 ★★★★★★
ミクロ経済学 5 ★★★★★☆
マクロ経済学 5 ★★★★★☆
財政学・経済事情 5 ★★★☆☆☆
経営学 5 ★★★☆☆☆
国際関係 5 ★★★★☆☆
社会学 5 ★★★☆☆☆
心理学 5 ★★★★☆☆
教育学 5 ★★★☆☆☆
英語(基礎) 5 ★★★★☆☆
英語(一般) 5 ★★★★★★
合計 80

国家一般職 

押さえる科目

  • 憲法

特別区と同様に、難易度が低い憲法はオススメです。

また、選択する科目は、ほかの科目と親和性の高いものを、まとめて選ぶといいかもしれません。

捨て科目候補

  • 第一候補群:民法(総則・物権)・民法(債権・親族・相続)・英語(一般)
  • 第二候補群:行政法・ミクロ経済学・マクロ経済学

英語(一般)は英語が得意な人以外は避けた方が無難です。

そのほかの捨て科目候補は、ほかの試験では重要科目であることが多いので、併願先との兼ね合いを考えて選びましょう。

【関連記事】
⇒公務員試験【専門科目の難易度】21科目の難易度を格付け比較

6.まとめ

専門科目の捨て科目について紹介しました。

何も知らずに捨て科目選んでしまうと、失敗する可能性があります。

ここで紹介した内容を参考に、自分のスペックなどに落とし込んで、どの科目を捨てて、どの科目を取りに行くか戦略的に考えていきましょう。

捨て過ぎると、ほかの科目でミスできなくなるので注意してください。

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